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nameが暗殺チームを抜けてジョルノの側近になってから1ヶ月近く経った。チーム唯一の女だったあいつはそれなりにチームメンバーから可愛がられ甘やかされていたんだなと思う。今となっては。
向こうではブチャラティの監視の元、以前のようにゲームや飲み会やらと好きなように出来ないと愚痴を聞かされたのはつい先日。

「あ〜〜nameの匂いが嗅ぎたい、限界だ俺死にそう」
「そうか、そのまま死ね」
「ちょっとーひどいよプロシュートぉ」
「うっとおしいから引っ付くんじゃねぇ」

nameがいなくなってからあまりアジトへ顔を出さなくなったヤロー共。
俺も例外ではない。そしてnameがいなくなった事によりメローネの鬱陶しさには拍車がかかった。

「ペッシ、コーヒー頼む」
「はいよー兄貴」
「ペッシ俺もー」
「はいよー」

「お、何だよ珍しく騒がしいな」
「お〜お疲れホルマジオ」
「あぁ疲れたぜー、ペッシ俺もコーヒー」
「はいはい」
「で、何で今日はこんな揃ってんだ?」
「知らん」
「何と無く」

といってもここにいるのは俺とペッシとメローネ、ホルマジオの4人だけだ。nameがいた頃はダイニングにメンバー全員集合、なんてのは当たり前だった。

「nameに会いたい...」
「会いに行きゃあいいだろう」
「いや一度会いに行ったんだよ!それがさぁ」

メローネの話によると、ちょうど1週間程前にふと思い立ってnameに会いに行ったらしい。が、護衛チームの冷たい視線とジョルノとブチャラティの鉄壁ガードで中へ入れてもらえなかった...という事だ。まぁ大体予想通りだな。

「でもリゾットやプロシュートはたまに行ってるんだろ?」
「あぁ、もちろん仕事関係でな」
「え〜何それずるい」
「追い返されたのは8割お前に非があるからだと思うぞ」
「えぇっ?!ホルマジオまで...何で??」
「まぁ俺たちのスタンドも人間性も知られたわけだしな」

メローネなんてただの変態、と把握されていてもおかしくはない。当然の事だろうと思う。

「でも俺もnameに会いてぇなぁ、はい兄貴、コーヒー」
「グラッツェ、ペッシ」
「グラッツェ〜」
「グラッツェ」

みんな思う事は同じらしい。
実はつい5日前にnameと食事に行き、そのまま家に持ち帰った...なんて言ったら多分俺はこいつらに一斉スタンド攻撃をされるだろう。いや、そんな事よりメローネが騒ぎ散らし非難の嵐を浴びる事の方がめんどくさい。なのでここは黙っておくしかない。

「ブチャラティの奴は絶対nameに気があるよな」
「あ?そうなのかよ」
「あいつの顔が一番怖かった」
「でもよぉいい奴みてーじゃねえか、nameが絶賛してたろ」
「だから、そこが!怖いんだよ!あいつの笑顔...ありゃ笑って無かった」
「お前そりゃ相当信用されてねぇなぁ」
「まぁ仕方ねーだろ、俺らは元々そういう役所だったんだしよ」
「でもリゾットを幹部にしてくれたあたり、ジョルノはいいやつなんだろうなぁきっとよ」
「収入も倍以上になったしな!」

確かに、ブチャラティの奴は絶対nameに気がある。これは多分間違いねぇだろう。俺が言うのも何だがあいつは黙ってりゃあ申し分ない女だから、仕方ないっちゃ仕方ない。

「何してんだ、お前ら」
「?あ、リーダ〜おかえり」
「リゾット、お疲れさん」
「あぁ、」

いつの間に帰ったのか、珍しくスーツ姿のリゾットが立っていた。そういやこいつの姿をここ2〜3日見てなかったが、仕事だったのか。

「スーツなんて珍しいなぁ、似合ってるぜリーダー」
「あぁ、幹部の集まりがあってな、グラッツェ、ホルマジオ」
「普段からそうしてりゃあいいのに」

リゾットにしろ、メローネにしろ、顔が整ってる分余計に残念感が否めない。メローネに関してはもう何も言うまい。

「そういえばプロシュート」
「あ?何だ」
「nameから預かり物だ」
「...?」

nameから?預かり物?なんだ、頭をフル回転させ考えるが、検討もつかない。つーかこいつ、いつnameに会ったんだよ。あぁ幹部の集まりにあいつもいたのか。
リゾットに渡された紙袋の中身を取り出す。他の奴らも気になるようで、一気に注目を浴びる。

「シャツ?」
「それプロシュートのお気に入りじゃん」
「......あ、」
「?」

そうだ、そういやあいつにパジャマ変わりに寄越せ、と無理やり取られたのを思い出した。あいつが持ってたのか、道理で見なかったはずだ。

「何で...何でプロシュートのお気に入りのシャツをnameが持ってんだよ」
「この前お前んちに泊まった、と言っていたぞ?どういう事か詳しく説明しろプロシュート」
「あぁ?!何だよそれ聞いてねーぞぉ」
「兄貴ィ!」

まずい...この状況は非常にまずい
せっかく俺がここまで隠し通してきたのに、意味ねぇじゃねえか。くそ、リゾットのやつ、絶対わざとだ。こいつはこういう奴だ。

「お前ら、と、とりあえず落ち着け」
「泊まった?泊まったって?どういう事だよプロシュート!」
「お前ちゃっかり連れ込んでじゃねーか!」
「泊まって何したんだよおおおお」
「待て、落ち着け、何もしてねーよ!」
「んなわけねぇだろ!お前が手を出さないはずがねぇ!!」
「お前それは偏見だろ」

俺の話は聞く耳持たずか、こいつら。まぁ気持ちも分からなくねぇが...とりあえず予想していためんどくせぇ事になってしまった。リゾットの野郎め

「で、どういう事なのか詳しく説明してもらおうか?プロシュート」
「......」
「早く吐け」
「そうだそうだー!吐けぇ!」
「吐いちまえよプロシュートお」
「兄貴、諦めて下さい」
「...ぐっ、くそ...っグレートフルデッド!」
「はぁ?!お前っそれは卑怯だろぉぉぉお」
「ぎゃああぁぁぁぁ」
「うわぁぁぁ兄貴ぃぃぃぃ」
「メタリカ」
「ぐぁぁぁぁぁぁ」

アジト内に響き渡る悲鳴とうめき声に、何事かと様子を見にきたギアッチョ。勢いよく開けた扉の先には悲惨な姿の男が5人。

「...何してんだよお前ら」

暗殺チームは今日も平和だ。

20120208

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