「この前ピュンマに飲ませたカルピス、なんかめちゃくちゃ濃かったみたい。ごめんね」
「…………」

てへっと舌を出されて絶句した。
確かに数日前、喉にからみつくほど濃いカルピスを飲まされた。甘い甘いと思いながら流しこんだ思い出が蘇る。

「怒った?」
「……怒ってはないけど、作ってたとき、原液入れ過ぎじゃない?って……僕きいたよね」
「言ってたねぇ」

しかし聞き入れてもらえなかったのだ。そんなわけないじゃ〜ん、なんて笑い飛ばされた。……味見もしていなかった。

あからさまに多量の原液をドバドバ投入されたカルピスは当たり前だが甘くて、これはイジメを受けているのだろうかと疑ったほどだった。
そうでなければ、自分に何かを求めているのだ。
面白い反応だとか、ツッコミだとか、まわりまわって「めっ」てされたいのかな、なんていろいろ考えて。でも、

――どうやら彼女、本気らしい

そうなれば好意で作ってくれたものに文句など言えるはずもない。
戦士ピュンマ、黙って飲んだのだった。

「ピュンマ許してくれる?次はうまく作るから」
「…味見してくれたらそれでいいよ。でも君って、ほんとに……」
「なぁに?」

ほんとに、たまに、とんでもない天然で僕を疲れさせてくれるよね。

その一言を、ピュンマはまた優しさで包み込み、喉の奥へ追いやった。


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