「おー。きっれーに偏ったねー。んじゃ、順々にコメントを伝えていきますね。はい、じゃここは下から行こうかな」
まずは六位の皆さんからかな。といってもコメントを求められそうなのは桜楠さんだけだけど。
「桜楠さーん。桜楠円さーん」
「……出にくいんだが」
ドラムロールとかないですからね。なんでだろ。予算削られたのかな。そりゃないか、こんな絢爛豪華な学校なんだから。あー、キラキラして目がいてぇー。
「はい、じゃコメント伝えますよ」
「君早く帰りたいんだろう」
「そうですよ、この後デートなんだから」
「……なるほど。じゃ、スキップしていこうか」
「どもっす」
話の分かる。
この人が会長なのか。「長々と話すのは疲れるだろうから」って言って一言で挨拶終わる系の人、いいよな。俺も来年委員長になるからそういう挨拶でやっていきたい。
「会長の好きなとこ教えてもらったんでお伝えしますねー」
共依存?ぽいところ
「うぐ……ッ」
「え、大丈夫ですか」
「あ、ああ。大丈夫だ」
大丈夫じゃないな。
膝をついた会長は胸部を押さえている。指摘されたくないところを突かれたらしい。如何にも重傷の反応なんだが、本当に大丈夫か。とはいえ、初対面の相手のどこを慰めたらいいのかなんて見当も付かないのでそっとしておく。面倒事に巻き込まれたくない。
強く生きてくれ。
「では次。五位の人たちですね」
江坂内海、横内陣、田辺流、甲斐樹の四人だ。なんだろ。最後の人、どことなく危ない空気が漂ってて怖いな。ダークサイドに墜ちかけてる霊の空気だ。あんまり関わり合いになりたくない。
チラ、と視線を送ると人の良さそうな笑みを向けられる。こっっっっわ。ぶるりと震えると少し驚いた表情をした後に楽しそうに目を細める。怖い。この人ほんと怖い。
何が怖いって、明らかに幽霊らしい外見の人が奴の周りをフヨフヨしているのだ。何したんだよ、こいつ。
「……じゃあまず、江坂さんの好きなところからいきますね」
さっさといこう。で、早くこの怖い人を追い出してデートに行こう。
性格、見た目、可愛いところ、とっても可愛い💕
「んへへ、照れるね。そう、僕は昔美少女コンテストに出ちゃったくらいかわいいからね! 嘘だけど」
あ、嘘なんだ。
平然と嘘を吐かれたことに内心驚く。女装したことはあるけど、と笑みを引っ込めた江坂さんはどこか暗い雰囲気で呟く。きっと俺と同じようにクラスメイトとかに押しつけられたんだろう。ああいう類いのは楽しんじゃう方がいいっすよ。俺も女装が好きな訳ではないけど、文化祭のあれはちょっと楽しかった。我ながらなかなかのクオリティーだったと自負している。
閑話休題。
えーっと? 次は横内陣、と。
信念通っててかっこいい。
「ふ、ありがとうございます」
「お、大人な感じの反応っすね……」
「君は一年生かな? あと二年もすれば落ちつくよ」
そうかなぁ……。
そうかなぁ……っ?
ううんと視線を彷徨わせると、センパイが両の手の拳をぎゅ、と握り込む。お茶目でかわいい。好き。
センパイも来年は高三だ。ファイト〜とお手製の旗を控えめに振るセンパイも、一年も経てばあーんな余裕たっぷりな人になるんだろうか。想像し、思う。うん、それはそれでかっこいいな。多分そうはならないけど。
人ってそんなに急に変化するものじゃない。
「なれるといいですねぇ……」
「はい、頑張ってください」
善処します。
さて、次は田辺流、と。好きなところは……?
すべて
「ハッハハ! ありがとう! 俺も好きだよ!」
「大人しそうな見た目で吹っ切れたテンションの人だなぁ……」
「よく言われるよ」
だろうな。
にしてもすべてってすごい。
「愛だね」
ですね。
(3/10)