オラ達お礼します!2
某日・カプセルコーポ内
ベジータは夕食後のトレーニングを終え、シャワー室にて軽く汗を流していた。そこに唐突に現れたのは、彼の永遠のライバル、我らが孫悟空。
「よっ、ベジータ」
空気を揺らがす事もなく一瞬で現れた彼に、ベジータは目を瞬き、そしてすぐに怒鳴り散らす。
「またか貴様!何度言えば分か・・・っ」
が、己の状態を思い出せば慌ててタオルを腰に巻き、キッと悟空を睨んだ。
「わりぃわりぃ」
「いつもそう言って一向に改善せんだろうが!」
言いながらベジータが動けば、彼の背で遮られていたシャワーの湯が悟空へと勢い良く向かう。
「うわっ」
道着が見事にずぶ濡れになった悟空は、あちゃあ、と声を零しながら困ったように頭を掻いた。
ベジータは、フンッと顔を背ける。
「自業自得だ。サッサと帰れ。風邪を引く前にな」
バカとサイヤは風邪を引かないと知ってはいるが、ベジータは一応、シャワーの湯を止めてやった。
だが振り返ればそこには、当然のように服を脱ぎ始めているバカ、もといサイヤ、もとい悟空が。
「なっ、何をしている!」
「へ?だって濡れちまったからよ」
「だから帰れと言ってるだろうが!」
「そうもいかねんだ」
「は?」
悟空は上半身だけ裸になると、脱いだ道着を放った。
ベジータは思わず後退る。
「な、なんなんだ一体」
「いやまたさ、ありがてぇ拍手がな」
「っっ!」
デジャヴ。
いやホントに二度目だよベジータ。
「だから、またオラ達お礼をしなきゃなんねぇだろ」
「だから誰に言われてるんだ貴様は!」
「だから神様っぽい奴」
「だからぽいとか何!」
喚くベジータに悟空は二カッと満面の笑みを向ける。ベジータはヒクリと頬を引きつらせた。
「今回は特に露出多めでって言われてんだ、オラ」
「だから風呂場を急襲!?」
「さすがだなぁ、ベジータ」
「出てけー!」
繰り出されたベジータの右拳は、だが、悟空により止められ、そのままギュッと握られる。
「なっ・・・!」
「今夜はさすがにオラも本気で行くぞ」
悟空、目がやや尋常ではない。
「な、なんだ急に」
「いやほら、本編もう何話目だよって話」
「は?」
「いまだ○ッ○○成らずって、なぁ」
「待て。本編とか、○ッ○○とか、何を言ってるんだ貴様は」
「仕方ねぇよなぁ。管理人がなぁ」
悟空は溜息がちに首を振りながら、ベジータの腰に手を伸ばす。
「とか言いながら何をしている」
「ん?邪魔だろ?これ」
「待っ・・こら!カカロッ・・・!」
右手は掴まれたまま、ベジータは必死に腰のタオルを押さえる。悟空はもちろんそれを引く。
ギュウギュウ、ギュウギュウ。
あぁ、タオルが今にも外れそう!てか裂けそう!いや裂ける!最後の砦が裂ける!あぁぁぁ!
「か、管理人っっ!」
▼あ、はい。
「き、貴様のせいだぞ!」
▼はぁ。
「はぁじゃない!よく分からんが貴様が○ッ○○とやらを成さんから俺様がこんな目に!」
▼え、いや、いんですか成しても。
「じゃなきゃ超エリートの俺様が今危ないんだ!」
▼・・・同じことかと。
「はぁ?」
▼いえ。
「とにかく早くこのバカをなんとかしろ!」
▼車となんとかは急には止まれないと・・・
「知るか!ちょっ・・カ、カカロット!」
▼どうか読者様の為に一肌。
「脱ぐかぁぁぁ!」
ドンッと大きな音を響かせて、風呂場の壁がヘコんだ。ベジータ、ブチ切れ、つまり、超化。
「離さんかカカロット!」
「んじゃオラも」
「え?」
ドゴンッ!
「ひ、卑怯だぞカカロット!」
「え〜、先にスーパーサイヤ人になったのおめぇじゃねぇか」
迸る強大な気とは不釣り合いな、幼い拗ね顔を見せる悟空。
ベジータ、あまりの末恐ろしさに金髪がさらに総気立つ。
というかたかだかタオル一枚に何をしているこの良い大人二人。大人気ないとか、もう、そんなレベルじゃない。
「き、貴様だって上だけ裸なのだから、俺もこれで良いだろうが!」
「あ、そか。んじゃオラが脱げば」
「脱ぐなぁぁぁ!」
ガチャ。
「うるさぁぁぁい!何時だと思ってんのよ!サイヤ人と違ってこっちは昼間働いてんのよバカ共!」
最強妻ブルマ登場。
パックを貼ったままで叫んだせいか、口元が寄れている。
「わ、わりぃ、ブルマ」
あまりの驚きに妙な体勢のまま硬直する二人。
「孫君。お礼やるなら余所でやって」
「お、おぅ」
「いやそれは待て」
「うっさい!不眠はお肌の敵なのよ!じゃね!」
バタン。
「・・・」
「・・・」
沈黙。
そして、二人共に力が抜けたか。
ハラリ・・・
「「あ」」
その日、ベジータの悲鳴がカプセルコーポに響いたのだった。
▼合掌。
「いや待て合掌って!俺はどうなったんだ!」
▼どうなったというか、どうされたというか。
「待っ、えぇ!?」
「仕方ねぇだろベジータ」
「貴様はとりあえずその鼻血を拭け」
▼ちなみに風呂場は血だらけ(悟空の鼻血)で、ブルマは鬼と化したそうな。
「何纏めようとしてるんだ!」
▼おぉ、こわやこわや・・・
「ちょっと待てぇぇ!」
END
こわやこわや、って。
あ、えと、は、拍手ありがとうございました!
戻る