*静雄視点
*コスプレ(□社・0式・9)に関してのあまり知識が全くない管理人がぼんやりとシズイザ風に甘く書いたお話です。(ただの馬鹿っぷる話)

















臨也が少し変わった趣味を持ちだした。いや、これはこれで普段以上に構ってもらえるから俺としては約得なのだが、しかし世間一般的に認められる類のものかと言われれば、ちょっと悩む。


「――ナインくん可愛いぃ〜!!」


写支部と言われるサイトで上機嫌に絵を漁る臨也が急に声を上げた。俺はといえば臨也が三日かけて作り上げた今回の衣装に着替えるのに必死でそれどころではない。白のズボンに、黒の上着。真っ赤なマント。それに加えてこれまたレプリカとは思えないほど高いクオリティーを誇る槍までご丁寧に用意されているそれは、今臨也が嵌っているとあるゲームのキャラクターの衣装だった。一寸の狂いもなく、しかも手作りとは思えないそれは、如何に臨也がそのゲームのそのキャラクターにご執心なのかどうかが窺える。



「この衣装もそいつのか?」


「そうだよ!俺ね、今零式のナインくんがもうドンピシャでねぇー!かっこいいくせにこのばかわいさがホントもう堪らない!!!あ、もちろん一番カッコいいのはシズちゃんだし、ばかわいさも俺の中ではシズちゃんが断トツなんだけどー!!」


「……そうか」


「というか、きゃぁぁぁぁぁぁッ!!!やっぱり俺のイメージ通りすぎてどうしようどうしよう!!カッコいいよシズちゃん!!シズちゃんカッコいい!!」



ハイテンションな臨也は俺に視線を向けるなり、バッと椅子から立ち上がって奇声を上げた。そして、そのまま慌ただしい音を立てながら着替えがちょうど終わった俺に抱きついてきた。がばっと腰に腕を回されて猫みたいに額を胸に擦りつけられる。かわいい。



「思った通りシズちゃんにぴったりだった!!シズちゃんって何着てもカッコいいんだけど、ナイン君の衣装はまた違った意味で君の魅力を引き立ててるよ!いいね、いいね!!写真撮ろう!ヤバい、早く写真取ろう!!」



ぴょんぴょんと腰に手を回したまま跳ねる臨也が満面の笑顔を俺に向けた。頬が少し桃色に色付いていて興奮しているのが見て取れる。

それに知らず自分の頬が緩んでいくのはいつものことといえばことなのだが、それでも慣れることなんてないし、況してや飽きることなんてこともない。

最近ではこの無邪気に笑う臨也を見るために進んで趣味に付き合っているといっても過言ではない。

かっこいいと褒めてくれることや俺に似合う服を見繕ってくれることも確かに嬉しいとは思う。けれどもやっぱり、恋人が始終幸せそうに笑ってくれている方がもっともっと俺は嬉しいのだ。



「つーかさ、このタンクトップどうにかなんねぇのか?乳首見えるっつーの……」


「分かってないね」


「何がだ?」


「その見せるか見え何かのチラリズムがいいんだよ!!エロくてかわいいじゃないか」


「そ、そうか……」


「そうだよ!」



無駄に力強くキリリッと返事を返してくるものだから、エロくてかわいいのはお前の方だ、とは返しづらい。むしろこのタンクトップを臨也が着たらと考えるとヤバい。確実に乳首が見えるだろうし、俺一押しの綺麗な鎖骨ラインも全開に違いない。それにちょっと身動げばずれる肩布なんて悩殺ポイント以外何になりうるだろうか。

臨也の趣味は確かに少し変わっている部類に含まれてしまうかもしれないが、趣味というものは人それぞれだと思うし、その趣味で臨也の心が幸せになれるのだったら公私を弁えていればそれでいいと俺は思っている。俺だって盗撮という公には言えないような趣味を持っていたのだから、あまり人のことはいえない。

それに俺からすれば、人間観察をされるよりも臨也が二次元に目を向けてくれている方が安心出来る。人間観察が趣味だった頃は正直あちこちと出掛けていくし、見知らぬ輩に目を輝かせるものだから気が気じゃなかった。それを考えれば本当に今の臨也は俺だけを見てくれているなとしみじみと思う。

誕生日のプレゼントとしてあげた一眼レフのカメラを取りに寝室へ向かう臨也に目を向けながら、手作りの服に上から下まで身を包んでいることを改めて強く実感する。俺にぴったりな採寸は、あいつがそれだけ俺のことを知っていてくれてるということだ。それに服のチョイスだってあいつの趣味だけではなくて必ず俺が着たらどうなるかと考えてくれている。素材も一から揃えて、手間をかけて。その一つ一つに思いを込めて作られる服は決して市販では買えない価値があると思う。

きっと普通の恋人じゃ、こんなこと経験なんて出来ないに違いない。



「しーずちゃん!!せっかくだから化粧もしちゃおっか!!額のとこに斜めの傷いれよーっ!!男前なシズちゃんをさらに俺が男前に仕上げてあげる!!」


「――おう」





――趣味は人それぞれ。同じように愛され方も愛し方も人それぞれ。











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大変遅くなりましたが以上が10万打リクエストとなります!

臨也が人間観察を止めるときっていつなのか悩み悩んだ末にこんな話になってしまいました、すいません…。
でも書いていて非常に楽しかったです(笑)臨也が『シズちゃんシズちゃんーっ!』ってベタベタに甘えるなんてまさに私の理想的な展開!そんな日が早く来てくれたらいいなと切に思います!!

文末になりましたが、このたびは10万打リクエストに参加してくださりありがとうございました!
これからもまったり更新していきますのでよろしくお願いします!!



12,05,26(sat)


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