*お誕生日おめでとうyouna♪デリ物凄い空気だけど匂わす程度のシズ(←)イザというリクエストだったから目を瞑っておくれ……!難産物で申し訳ない!















「はじめましてどうもこんにちはー!!」



意味不明、理解不能な言葉を発しながら俺の前に現れたのは、見間違うなき池袋最強だった。ただし、それはホストみたいな格好とヘッドホンを身につけていなければの話。






「……だれ?」






PC画面から顔を上げて、不法侵入者を睨む。【チョコレート】を引出しから掴み取ったのは、あくまで相手の腰に銃が携えてあったから。俺の知るあいつは絶対にナイフや拳銃といったものを持ちださない単純バカだ。だから、きっとイレギュラーなものを持ち合すこいつは、俺の知るあいつとは違うと思う。

それにやたらと軽々しい香水の匂いは、鼻に付くだけで決していい匂いとはいえない。不快感をやたらと引き立てるという意味では一緒だとしても、どこまでも目の前の男はあいつとは違うかった。







「俺はサイケデリックドリームス02。名はデリックって言ってくれ」



「わざわざご紹介ありがとう。質問ついでにもう一ついいかな」



「どうぞ」



「なんで君はここに来たんだい? そしてなんで銃を持っているのかな?」



「? 質問は一個って言わなかったか?」



「つべこべ言わずに答えろ。打ち殺すぞ」



「怖ぇぇぇ――…っ!!」







前屈みになって怯えたポーズを取る男に苛立ちのメーターが急上昇する。年相応の振舞いとは到底思えないほどオーバーなリアクションは、この平成の時代では演劇やドラマの中でもなかなかお目にかかることは難しいに違いない。それは服装故のものなのか、はたまた香水の匂いが邪魔をしているのかは分からないが、やたらと鼻についてこちらの不快感を煽った。非常に馬鹿にされている気がする。


何より、怯える動作を取っているくせに、ニマニマと笑っているあたりが実に憎らしい。俺の銃口は確かにまっすぐと男に向かって伸びているというのに、こうも危機感なく振る舞えるだなんて、男の神経の方を疑わざるを得ない。同じように銃を持っていたとしてももう少し警戒するのが普通だろう。





「早く答えてくれないかな。俺はこう見えて忙しいんだけど」






狂った頭に一発撃ち込んでやろうか。そう思ってしまう程苛立ちが止まらない。右足が勝手に貧乏揺すりを始めたかと思えば、それは次第に早くなっていって、終いには床をバシバシと叩き始めていた。静かな部屋に歪な音が紛れ込む。






「あぁ、押し掛けたのはこっちの方だもんな。悪い悪い。――で、どっちの質問を答えればいいんだ?」





「――やっぱり、殺す」






引き金を引き、立ち上がる。口端が引きつっているように感じるのはきっと間違いじゃない。今の俺は、たぶん相当酷い顔をしているはずだ。それこそ、眉目秀麗という言葉がなりを潜めてしまうくらいに怒りに駆られている。あぁいえばこういうこの馬鹿は一体何なんだ。俺の上げ足を取ろうだなんて、百万年も早すぎる。馬鹿は馬鹿なりに、馬鹿みたいに俺の質問にただ答えていたらいいんだ。そして、出来ることなら死んでくれ。







「もう、臨也さんってば見かけによらず短気ですね」



「気安く名前を呼ぶな。それに俺がこんなことになるのはお前みたいな奴に限ってだけだ」



「それはつまり俺が特別ってことですか?」



「今すぐ息の根を止めてやりたいという意味では特別かもね、その容姿だけが」







死ね。すぐ死ね。今すぐ死ね。ぐるぐるぐるぐると俺の脳内を駆け巡る単語は、まさにあの単純バカと遭遇した時と同じ感情だった。もちろん、目の前の男は、あの馬鹿とは違うことは分かっている。けれども、容姿が似ているということだけで、これほどまでに人間ラブな俺に不快感やら苛立ちを与えてくるのもまた事実だ。その点を重視して見ると、考えられることが一つだけある。俺は平和島静雄という存在が嫌いというよりも、奴の外見が気に食わないだけではないのか。だから顔に穴の一個や二個でも開いてくれれば、もしかしたら人間たちと同様に愛してやれるかもしれない。

もちろん、あいつに外傷なんてもの期待するだけ無駄だということは分かっているから、一生愛することなんて出来ないだろうけど。まぁ、この際、なんだ。試しに目の前の男でやってみる価値はあるだろう。







「……ねぇ、ちょうどいい。俺の実験に手伝いなよ。お前の顔に風穴を開けたら俺もお前を愛せるかもしれない」



「ちょっと!ちょっと!!顔に風穴って俺死ぬじゃないですか!!」



「別にお前の顔に一つ二つと穴があいてもいいじゃないか。俺は清々する」



「自己中!!」



「勝手に人の家に押しかけて来たお前に言われたくはないね!」







引き金に掛けた指に力を入れる。サイレンサーは付いているから一応大事にはならないだろう。それに世話になるのはいやだが、最悪、粟楠会に始末をお願いすればいい。きっと綺麗にどうにかしてくれるに違いない。


手間も無駄な労力も嫌だけど、まず重要なのは、俺が果たしてあの馬鹿と一緒の容姿を愛せるか否か。姿かたちだけが気に食わないのか、性格が気に食わないのか。この最、今日こそ答えをはっきりさせてしまおう。







「せっかく臨也さんに愛してもらおうとわざわざこの顔にしてもらったのに!」



「残念ながらその顔じゃ俺はお前を愛せないみたいだね!むしろ腹立たしい!!」



「――えぇっ?!性格さえ違ってたらきっと臨也さんに愛されるよって言われたのに!!もしかして俺騙されたわけ?!」



「どこの誰に騙されたのかはこの際聞かないでいてあげる。とりあえずムカつくから黙れ」



「でも……!!」



「後一人で俺は全人類を愛せるかもしれないんだ。性格なら記憶を飛ばすなりなんなり変えようの余地がある。容姿ならそれこそ顔面に傷さえ付けることが出来たら愛することが出来るかもしれない。これは俺、折原臨也にとって重要な実験だ。だから、だから君には協力してもらうからね。――デリック」






そのために、死なない化け物の代わりにお前が一度死んでくれ。


そう願い、俺は噛みしめるように、引き金に添えた人差し指に力を込めた。






















発砲音に舞い込むは吉報
(結局のところ、あなたは彼を愛しています?)















11,10,13(THU)


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