*大阪人静雄×京都人臨也
→読み易さを考えてあまり訛ってません。練習用小ネタ



















仕事が終わり、京都市内にある事務所に帰ったらとんでもない光景を見つけた。





「よぉ、臨也」



「……なんで居(お)んの?」



「秘書に入れてもらった」







我が物顔で、でーんと高級ソファーに座っている馬鹿は、からからと氷がたっぷり入ったアイス・カフェオレを揺らしながら、つい最近買い替えたばかりの大型テレビを見ていた。


テレビからはけらけらと大勢の笑い声。そして、ドラマの番宣なのか聞き覚えのある声がそれに続く。


お昼時の、どちらかといえばエンターテイメントに重きを置いた軽い報道番組だろうことは想像に容易い。



まず俺が確実に見ないであろう番組チョイスだ。









「あのさ、来るのは構わないんだけど、ここ、俺の仕事場なんだよ。前もって連絡入れるとかないわけ?」



「あー、たまたま仕事でこっちに来たもんでよ。どうせならお前の顔一目見てから帰ろうって思ってこっちに寄った。悪かったな」









そう言いながらも、彼の目は今だテレビに釘付けだ。


馬鹿が馬鹿のように馬鹿らしいテレビを見続けている。




こんな姿を見てしまえば、お前が一目見たかったのはこの高画質に映る弟の姿じゃないのか、と俺がそう思ってしまうのも無理はない。


からからと鳴る氷の音に反応して頭がガンガンと痛みだす。疲れた身体がさらに悲鳴を上げた気がしたのはきっと気のせいではないだろう。







「なぁ、臨也腹減った」



「あぁ、そう」



「なんか作ってくれよ。それ食ってから帰る」



「………」








なにが、なんか作ってくれよ、だ。
なにが、それ食ってから帰る、だ。




本来なら、というか普通は、仕事で疲れて帰ってきた俺を、恋人であるシズちゃんがあれこれと出迎えをしてくれるもんじゃないのだろうか。


それが、なぜ、どうして、俺の家に勝手に上がり込んでのうのうとしている奴に、晩ご飯製作確定というオマケまで押しつけられなければいけないのか。


流石の俺だってこんな風に出迎えをされたら誰だって不満の一つや二つも持つ。








「――ホント、シズちゃんなんて気が利かない。くそ、さっさと、」







去ね、と言おうとした言葉が実際に音にされなかったのは、ただ単に惚れた手前、というやつだ。やっぱり好きだから嘘といえど去ねとは言いにくい。


しかし、口の中に飲み込んだ不満は、結局余計に胸のもやもやを酷くしただけだった。








「あ゙ぁ?なんか言ったか?」


「……いや、何も」







カラカラなるカフェオレと、ケラケラ笑い声を上げるテレビ。そしてこちらを向かない金髪に、俺は上着を脱ぎ捨てる。


現実打破。それが今俺に出来るすべてのことだ。




そう思って、すぐさまキッチンへと足を運ぶ。



ぐるりと見渡し、お目当てのものを確認するのは早かった。





――ご飯よし、茶よし、茶碗よし。




自分の家から一先ず彼を追い出すために、俺は今から勝負に挑むことにする。




















そうだ、茶漬けを作ろう!!
(口より態度で示す京都人)








11,06,16(THU)


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