*プチ募集で空識さまとイメソンが被っていたのでちょっとだけ(さわりの部分だけ)書いてみました!(しかもかなり私仕様です…。イメージ違っていたらすいませんっ) *見直していないので誤字脱字など変なところがあったらすいません ――君が、君自身の力で傷ついていることは知っているよ。 そのせいで、俺と距離を置きたかったことも知っている。 喧嘩して。 嫌いだと叫んで。 あえてそうすることで俺を守ろうとしてくれたんだよね。 でも、もうそれもお仕舞いにしようじゃないか。 俺は、君のことが好きだよ。 だから、もっと触っても大丈夫。 俺は、君に比べて簡単に壊れやすいけれど、でも、もう君は、その手で壊してしまうだけではないだろう? ここ数年で、力の加減が出来て、感情のセーブも出来るようになってきた。 傷つけてきた分、優しくも出来るし、その手で誰かを救うことが出来る。 その優しい手で、君は人を幸せに出来るんだ。 そのことをもっと分かってほしい。 君は、もう大丈夫だよ。 自信をもって。 そして――、 * 臨也を一目見て、恋に落ちた。しかし、次の瞬間、駄目だと思った。 思い出すのは、あの時のこと。助けようと思って逆に傷付けてしまった、あの出来事。 もう戻れない、過去の産物。 あの人がどうなったかは分からない。けれども俺の心に色濃く残ってしまった傷は、確かに歪み、平和島静雄という男の構築物の一つとして組み込まれてしまった。 人を、愛してはいけない。 人に、必要以上に好意を持ってはいけない。 そして、近寄ってはいけない。 俺と関われば関わるほど、その分この力で傷つけてしまう確率が上がってしまうから――。 「――っつーのに、お前は……」 一緒に寝る許可など出した覚えはない。 そもそも俺たちは、――それは俺の臨也に対する本当の思いを除いた表面上の場合――、一緒に眠りに付くような間柄ではなく、公共の場を問わず喧嘩をする仲だ。 会えば、死ね、殺す、の繰り返し。愛の呟きなどは程遠く、どちらかといえば公定式のように予め定義づけられている相互絶対不可侵的な存在として嫌い合っていたはずだ。 だというのに、俺の腕の中で眠りについている臨也は、それはそれはこちらの気が抜けてしまいそうなほどの間抜け面で寝息を立てている。 いつの間に忍び込んだかは分からない。けれども、布団のぬくもりや寝巻から伝わる体温の具合からして、もう随分と前に俺の布団に潜り込んでいたようだった。 「なんで踏み込んでくるんだよ……」 俺のテリトリーに、とはいうまでもない。 いつだってこいつは自分勝手だ。俺の気を知らない。 取り返しのつかないことになる前に離れていってほしいのに、遠ざけようとすればするほど近くに寄ってくる。まるで猫のようだ。そんなことを思ってしまう。 気紛れなのか、わざとなのか。だれか、真意を教えて欲しい。こうやって無防備に寝顔を晒すなんてこと自体、普段の臨也から想像が出来ない俺には、一向に答えが出そうにない。 だって、こんなこと、まるで――。 「お前は、」 何がしたいんだ。溜息混じりに溺れた声は、もやもやと思考を曇らせていくばかりで、どうしようもない。 触れたかったものが、今、腕の中にあることにただただ胸が高まる。しかし、それはまともに触れてはいけない、神聖なものでもある。 喧嘩をしている時だけ触れることはできる身体。でも、好意を持って触れることはできない身体。触れれば確実に取り返しのつかないことになる、そんなパンドラの箱のようなもの。 触れてはいけない。 触れてしまえば、その先を望んでしまうから。 なのに――、 「臨也、」 舌で味わうように名前を呼んでも反応しない小さな身体を腕の中に静かに抱きしめる。 これは、夢だ。一晩限りの淡い、夢。 そう自分に言い聞かせて、すぅすぅ、と小さく音を立てる薄い唇を恐る恐る右親指でなぞる。 そして、決して壊さないように慎重に、慎重を重ねながら、ゆっくりと額にキスを落とす。 緊張のせいで、手が震えて仕方がない。けれども、何より触れたかった臨也に触れられたことが、俺の心を確かに震わせた。 「――臨也。臨也、」 名を読んでも目覚めようとしない臨也の鼓動が、少しばかり早くなったことには気がつかないフリをする。 これは今だけの、夢物語。 そう、錯覚してはいけない。 俺は、臨也を愛しているから。 だから――。 今だけ。 願わくば、 (夢の中だけ、君に触れることを) 11,06,14(tue) |