*キャラ崩壊崩壊要注意!!
(「サイケは天使だ!」という方はお気をつけください。そしてシズちゃんが地味に可哀想ですが、管理人はシズちゃんもサイケも大好きです)

















あの無邪気な笑顔に騙されているヤツは数知れない。名前を挙げればキリがないが、少なくとも新羅とドタチン以外の俺の知り合いはすでにアウトだ。みんなサイケを見かければ、デレデレするし、甘やかす。



確かに、サイケは俺の双子の弟とは思えないくらいに可愛い。


無邪気な笑顔に、何処となく子供のような仕草。それによって、信仰とまではいかないが、周囲がサイケをとにかく可愛がりたいと思うのも分からなくはないし、異常だと思える愛で方をしても仕方がないとは思ってもいる。





けれども、みんな分かっているのだろうか。


性格こそ俺とは真反対なものの、サイケには腐っても折原の血が流れているのだ。


間違っても普通な訳がない。






そのことを、一緒に暮らしている俺が一番よく知っている。














「みんなが俺を可愛がってくれるのはいいことだと思うんだ」






あぁまた始まった、と書類を整理する動作を止めて溜め息をつく。


チラリとサイケの方を見れば、たんまりと机に積み上げられたお菓子の山。山。山。


器用にお菓子の箱と箱を積み上げてできた城は、それはそれは天井につきそうなほど大きなものになっていた。




サイケ曰く、今日の収穫、とやららしい。


僅か三時間程、外に出るだけでこんなにもお菓子を貰って帰ってくるなんて、まさにお菓子ホイホイだとそんなことを思う。



しかし、そんな頂き物の山の真正面にあるソファーの上で、サイケは気だるげにその山々を見ていた。



これもいつもの風景だ。









「お菓子をくれるのもいいと思う。でもさ、そこら辺で売っている安っぽい飴玉やクッキーとかじゃなくて、みんなもっといいものくれないかな。フェルミアシェルのクラシックケーキとかアンダ・ウェ・ダンのフィナンシェ詰め合わせセットとか。ジュースもさ、還元系なんか飲めたもんじゃないんだからもっといいものをくれればいいのに」









そうやって主張をするサイケの片手には、先程シズちゃんが手土産にと持ってきたコンビニのプリンが握り締められている。


そして、その反対側の手にはビニール製のスプーン。安っぽいそれはプリンに付属していたものだった。










「サイケを喜ばしたいんならもっともっと頑張らないと意味ないんだって。なんで分かんないのかなぁ」









サイケの手の中でグチュグチュと苛立たし気にリズムを刻んでいるものは、言わずもがなシズちゃんが持ってきたプリンだ。



もう一度、今度は補足を付けて、言わせてもらう。


俺は甘いものはあまり好きではない。ちなみにそのことをシズちゃんはよく知っている。よって、サイケの手の中にある、もはや原形すら止まっていない半固形物は、シズちゃんが、サイケのために、わざわざ持ってきたプリンだ。








「特にシズちゃんは大ッキライーっ!サイケから臨也くんを奪うし、持ってくるお菓子は安っぽいプリンばっかだし。臨也くんの手作りプリン食べてる分際でよくあんな保存料入れまくりの食べ物なんて食べられるよね。サイケ、信じらんないっ!!」








そう言って吐き捨てるように叫んだサイケは、「こんなものいらなーいっ!!」と中身がぐちゃぐちゃになったプリンを容器ごと器用にゴミ箱へと放り投げた。









「――本当にサイケは見かけによらず性格最悪だね」



「見かけ通りに性格の悪い臨也くんには言われたくないけどね。あ、でも俺はそんな臨也くんが大好きだよ!人間なんて大ッキライだけど臨也くんは特別っ!!セカイで、一番、一番、大好きっ!!」



「あー、はいはい」



「ちゃんと聞いてくれてるのーっ?!サイケは臨也くんが好きなのっ」









パッとこちらを振り返ったサイケの顔には満面の笑み。


可愛いものが特をする、とよく言ったものだ。本当にサイケは何でも特をしていると思う。


好意はもちろん、嘘や悪意すらサイケの笑顔に掛かれば許される気がするのだ。



例え、要らない物をただのお菓子の城にするためにわざわざ持ち帰り、挙げ句自分は一切口にすることなどなく鳥の餌や見ず知らずの人間に押しつけたりしても。


俺以外には割と本気で殺意を抱き、毎日のように彼ら人間を消滅させようと企んでいることも。




全部、全部、たとえ誰かにバレたとしてもサイケなら許される。



そんな気にさえさせられる。











「――臨也くん臨也くん!!俺、臨也くんだけが大好きっ!!!」








ぴょんぴょんとこちらへ飛び跳ねてやってくる度に、バタバタと崩れるお菓子のお城。


後片付けをちゃんとしろよと言葉にする前に、サイケの薄い唇が自分のものにぶつかって、何だかもうどうでもよくなった。




片付けはたぶん波江さんがやってくれるだろう。






















脆くて甘い菓子の城
(埋もれてしまえば僕の勝ち)











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なんだかんだいってサイケに甘い(というか、好意に弱い)臨也と、自分のいいところを最大限利用するサイケの話でした!!

(最近シズちゃんばっかりだったので出番を減らそうと思ったら全く出てこなかった、なんて…。ごめんよシズちゃん!!)









11,05,27(FRI)


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