*特殊設定有
└ついったーでふと思い立った一作。シズ→→(省略)→臨也ですが、好みが激しく分かれそうなネタです。薄暗い変体話なので、肌に合わなさそう、と思ったら読まない方がいいかもしれません。
*ざっと書いたので誤字脱字等あるかもしれませんが、その時はすいません。
















東京都、池袋。その中にある某個人診療所には、隠された名医が日々働いていた。





「今日もよろしく頼むな、静雄」



「――っす」





医院長であるトムから本日ラストの予約患者のカルテを受け取ったのは、金髪の青年。名は平和島静雄。彼は見かけによらず、若くして確かな実力をもった男でもある。


専門は、科で表すのならば、どちらかといえば外科や皮膚。実際、この診療所は外科と皮膚科をメインとしている。





――しかし。
厳密にいえば平和島の専門はどの科にも当たらない。


なぜなら、彼の治療は少しばかり医療科学では認められていない方法で行われるため、未だどのような分類にすればいいのか判断がつかないのだ。




ただ、その治療方を医院長を含め本人も、公にし、科学的に証明してみせようとは思っていない。


それはバレたらめんどくさいことになると分かっているというのもあるが、それ以前に、現時点で平和島静雄がこの治療を施してやりたいと思っている人間がただ一人しかいないからだった。








「嬉しそうな顔しやがって。ほれ、とりあえず手術して縛っといたから、後はお前の好きにしていいぞ」



「いつもありがとうございます」



「いやいや感謝したいのはこっちだべ。本当なら数年かけて治療しなくちゃいけないもんを、お前がいるからたった数ヶ月で出来るんだ。彼にとっては不本意だろうが、まぁ早く治せって言ってきたのは向こうだし、俺らが気にすることもない。それに、お前が楽しんで治療してくれんならそれでいいべ。つか、お前の唾液で傷口が塞がるんなら最高じゃねぇか」



「――トムさん!」



「俺はもう上がるから後はいつものようにお前が満足するまで舐め尽くしてやれよ、静雄」







そう言ってニカリと笑った医院長は、平和島の肩を叩いた。そして奥の手術室を親指で指し示し、催促する。


それに満面の笑みで応えた男は、医院長に頭を下げ、礼を言った。






「はいっ!今日もあいつのために頑張ってきます!!」
























扉を潜ったその先。手術台で全裸のままマニアックな方法で縛られている男は、平和島が気に入っている折原臨也という男だった。


眉目秀麗という言葉を具現化したような容姿を持ち合わす折原。そんな彼の元へ、平和島は足早に駆け寄る。


しん、とした部屋で響き渡るのは、靴音と荒い吐息。ただそれだけだ。






「…………」







平和島は、ごくり、と息を飲んだ。


陶器のような白い肌。それを隈無く堪能しながら、ライトに照らされた下腹部に近い腹へと視線をずらす。


そこにはくっきりと残る手術の跡。それはトムによって本日の治療で施された跡だった。




ごくり、と息を飲む音が再度小さく響く。




陶器の肌にこの傷は似合わない、と平和島は心の中で思う。しかし、その傷に落胆の色を見せながらも同時に、気分はやはり高揚していた。








「――こいつにこんな傷は似合わねぇ」








――そう呟いた、次の瞬間。


くぱりと開いた平和島の口から現れた、てらてらと光る舌は、ゆっくりと、だが確実に、傷口へと伸びていった。







「―――ン、」








舌が少しばかり傷口を押しただけで漏れる、鼻から抜けるような甘い声。


どうやら折原の全身麻酔の効果が薄れはじめているらしい。


それを確認しながらも、平和島は手を止めることなく、たっぷり唾液を纏わらせた舌で、丹念に傷口を舐め回した。


そのたびにピクピクとひくりと引きつる腹筋に、平和島の頬はふにゃりと弛む。


愛しい。そして――。








「――可愛い、可愛い、可愛い」








まるでそれしか言葉を知らないように呟くその姿は、異常者のようでもある。



しかし、これこそが、――かなり下心が含まれているが――、平和島なりの治療方法でもあった。


艶々と光る部分が増えていくたびに赤い線は少しずつ、少しずつ、薄くなっていく。そして、蚓腫れのような後はへこみ、回りの皮膚となんら違和感がなくなっていく。



これがどういったことなのかといえば、残念ながら現在の医療科学では説明が付かない。

そのために何とも言えないのだが、彼が傷口を舐めれば数分も経たないうちに、その傷口がきれいに塞がってしまうのだ。しかも、それは内臓系にも効果を発揮する。


現に今回も折原の内臓には、医院長が手術を施した際にすでに平和島の唾液が塗りこめられていた。



ただし、その効力が一体どこまで適用されるかは未だ医院長や本人にすら分からないために、折原を使って検証中でもあった。


唯一今の段階で言えることは、平和島静雄の唾液には殺菌、細胞の構築を促す効果があるということだけだ。








「―――ぁ、ン…っ!」



「やべぇ、マジでこいつ可愛い。可愛い」







小さく甘い声が響き渡る手術室。

高揚する自身を右手でしっかりと上下で扱きながら、それでも平和島はとおに傷の塞がった折原の身体を、隅から隅まで舐め続ける。


こうして今日も今日とて、平和島は愛する男のために治療に励むのであった。




――自分の存在を唾液と共に擦り込むために。
















11,05,22(sun)


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -