*モブ臨[モブ視点] └リクエストに向けての練習 「ねぇ、奈倉くん」 白い身体をねっとりと舐め上げるように視線を送れば、鋭い視線が返ってくる。 それに思わず笑みが零れた。 俺は、今、この人の意識を自分だけのものにしている。彼の愛するという数多くの人間の中で、誰よりも存在を刻みこんでいる。 そう思えば、その事実に言い知れないほど、酷く気分が高揚していくのが分かった。 「そんなに睨みつけないでよ。もっと酷いことをしたくなる……」 口をガムテープで閉ざしてしまったのは失敗だったかもしれない。 彼の美しさは口も含めたすべての部分で表現されるのだ。一つでも欠けるなんてこと、本来なら許されるはずがない。 けれども、口を閉ざさなければ、きっとその口からは、俺の望まない言葉ばかり紡がれたことだろう。あの綺麗な声を聞けないのは勿体ないが、自分はそこまで自虐的ではないので遠慮したいのも事実だった。 だから、今はこちらの気を引いてやまない瞳だけで我慢するしかない。今は、それだけで満足。 なぜなら、その視線も、白い身体も、今は、俺だけのものなのだから――。 「ねぇ、奈倉君」 荒く吐きだす息が収まらない。 綺麗で、それでいて可愛い彼を、この俺が好きなように出来る日がくるなんて、まさか思ってもみなかった。 なんてチャンスに俺は巡り合ってしまったのだろうか。これから、気の済むまで、ずっと――。 先のことを考えるだけで、息も、心臓も、アソコも、大きく期待に震える。 「俺と一緒に楽しいことをしよう」 そう呟いて、白い肌を撫で上げる。そして、びくりと震える一周り小さな身体に、勢いよく抱きついた。ドクン、ドクンと俺の振動と同じように深く跳ねる彼の鼓動が愛しい。 あぁ、これから彼とひとつになるのだと思うと、もう――。 「俺が、いっぱい、イかせてあげるからね」 ――赤い目に映り込む自分の顔に、嗜虐さが滲み出ていたことには気がつかないフリをした。 |