【注意】ラブラブなピュア津サイラブな方は以下の文章を読まないようにお願いします。このお話は津軽語りの津サイへ掛かる、津→→臨←←サイです。(津軽とサイケは嫌い合ってます。)電波な話なので大丈夫という方だけ下にお進みください。























「いい加減俺の臨也くんにちょっかいを出さないでくれるかな、津軽」


忌々しいピンク色の瞳が俺を鋭く睨む。嫌いならばこっちを見なければいい。もしくはそのイカれた頭のように目も耳も口もイカれてしまえ。見えなければ、聞こえなければ、それはそれで幸せになれるだろう。サイケの大事で大好きで大好物な臨也を感じられないのはこいつにとっては死にたいくらいの出来事かもしれないが、そのまま自分の世界に閉じこもって、お得意の脳内で臨也もどきを生み出して楽しく暮らしたらいいと思う。そうすれば俺はとても幸せだ。なんていったってこいつがいると俺はいつまで経っても臨也に会えない。俺は臨也に会いたいのに、毎回毎回この電波が邪魔をするから週に二回会えたらいい方なのだ。そんなんじゃこれっぽっちも足らない。プールに赤い絵の具を一滴たらすくらいに足らない。



「あぁ、臨也に会いたい」



情けない声。それでも口から零れた願望はまさに切実この上ない。

サイケが臨也無くして生きていけないのと同じように俺だって臨也に触れていなければ生きていけない。今はどうにか耐えているけれども、それでも心の中はいつだって身も心もぐちゃぐちゃに崩壊してしまうほどの苦しさを味わっている。恋焦がれるという言葉があるがまさにその通り。俺はじわじわと崩壊していく。臨也の愛と、サイケの邪魔のせいで。


会いたい、臨也。
サイケは、殺したい。
けれどもやはり会いたい、触りたい。押し倒したい。
臨也。臨也。臨也。臨也。


願えば願う程頭に思い浮かぶのは三日前に触れた、さらさらの黒髪、あの甘い甘い柔らかな匂い。そして、絹のようにするすると滑る肌は心地よく、ぷっくりと触り心地のある唇は食んだらもう堪らなく腰に響く。真っ赤に染めた頬はもちろん愛らしいと思うし、同じように初な反応見せる揺れる瞳は堪らなく愛おしいと思うのだから、もはや俺は重症だ。臨也が好きで好きで、好き過ぎて堪らない。世界中の誰よりも。サイケよりももっともっと俺は、臨也の事を幸せにしたいという意味で愛している。もちろんあの、喧嘩人形なんかでは考えられないほどずっと甘く、優しく。




「早く、食いたいな」


高々と募る想いを少しでも和らげようと深く吐きだした紫煙。それをぼんやりと目で追う。

いつ見ても、人間に愛の模造品を押しつける臨也の姿は滑稽だと思う。人が好きなんて言いながら惨めで悲しい思いをしているくせに、さも当然のように受け入れることが当たり前になっていて、こんなものかとどこかで錯覚している可愛い臨也。やるからには嫌われて当たり前。好奇心が満たされればそれでいい。後先考えず、目先のことに満足している様は例えるならギャンブルや煙草。止められない。止まらない。戻れない。本人は理解しながら、副流煙のように周りを巻き込み、どんどん深みに嵌まっていく。そして、暗転。


そんな姿が酷く可愛いと思う俺は、確かに歪んで切るのだろう。サイケが俺を嫌う理由も良く分かる。

俺の愛はサイケのように無償ではない。愛されないからこそ、俺が誰よりも優しく包み込むように愛してやりたいのだ。何も知らない臨也に一つずつゆっくりと。それも極上の愛という名のご褒美を添えて、手とり足とり、全てのことを教え込む。あぁ、考えただけでも興奮が隠せない。恐らく愛されたことがない臨也にとって、愛された時の衝撃は大きいに違いない。そして愛され慣れてないからこそ愛することに、愛されることに、臨也はきっと誰よりも貴くなるだろう。それすなわち永遠の愛。少なくとも俺はそう考える。


人ラブ、などと気が違ったようなことを叫んでいても、可愛らしい。人間も俺を愛するべきだよね、と本音をさりげなく伝えても、誰にも相手にされることなく空回りしている姿がまた庇護欲を誘う。独りでいればいるほど俺には愛らしくて。いっそのことこのまま誰にも優しくされることなく生きていて欲しいとすら思う。

あまりにも異物が多いセカイで俺と臨也が、人間という下等種族はもちろん、平和島やサイケ、親しい者たちに邪魔されることなく愛し愛され続けるためには臨也には俺と付き合うまで一人でいてもらわなければならないのだ。だからこそ、サイケには消えてもらわなければいけない。何かに気付き始めた静雄も同じだ。門田の兄さんや、闇医者もだ。秘書も部下も。むしろセカイの全てが、邪魔だ。

臨也には俺と会う以外は一人でいてもらわなければならない。俺を愛するまで、ずっと一人でいなければならない。そしてもう二度と離れられないように、早く俺を愛さなければならない。


煙を割くように銃弾が空中を突っ切っていったのを目に遣りながら俺は、心の中で呪怨を唱える。


死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。


段階、段階で、しっかりと邪魔をしてくるサイケが非常に憎い。




「俺の話、聞いてる?臨也くんには近寄らないで。君は特に」


「聞く気はない」


「死んで」


「お前が消えろ」




冷え冷えとした声。その煩わしい存在に、俺は無視をして煙管に口を付ける。構うのもウザい。こいつの口からは臨也の話題しか出ないのだからもっとウザい。俺だって臨也に毎日会いたい。一緒に暮らしたい。そしてもっともっと腕の中に閉じ込めたい。早く、付き合ってこの腕で押し倒したい。サイケから臨也のことを聞かされるたびに湧きあがる嫉妬は、ふつふつと煮えたぎるように赤黒い。いつかそのうち絶対に殺してやろうと思う。刀で一閃するのではなく、足や手の部位たちをひとつひとつ落ちしながら。確かに。確実に。




「臨也くんに会うな」


「無理だ」


「会うな!!津軽は邪魔なんだよ。ただでさえ自動喧嘩人形に心傾きかけているのに、お前が優しくするとホント迷惑なんだよね。俺の臨也くんが平和島のこと好きになったらどうしてくれるのさ!!」



今日も始まるご高説は、それはもう耳にタコが出来るんじゃないかという程何度も聞いた。サイケは静雄が嫌いだ。俺も嫌いだが、もっともっと次元を超えた意味でサイケは静雄を嫌っている。恐らく本能的に何かを感じ取っているのだろう。サイケの勘は誰もが驚くほどに当たる。それも最悪の方向で。俺の予想が正しければそれはサイケにとっても俺にとっても全く喜ばしくないことで、間違いがない。そんなのは困る。臨也は、絶対に俺のものにならなければいけないのに。そんなことは絶対に、困る。




「俺の可愛い臨也くんが、」


「煩い。俺の臨也だ。お前の臨也じゃない」


「煩いのは津軽の方だ!君は絶対に臨也くんを幸せに出来ないんだよ!!俺は知ってるんだからね!君は、君は絶対に臨也くんを――、」


「黙れ!!!」




サイケは何を知っている。俺の、臨也の、何を知っている。分からない。分からない。電波の考えなんてまともな俺には一切分からない。けれども、サイケは邪魔だ。それだけは明確だ。俺にとっての有害電波。サイケがいるから俺の全てが可笑しくなる。計画も、心も、頭も。全て、全て――。



「お前こそ静雄に会うな。お前が静雄に会うから、臨也が可笑しくなるんだ」


「なにそれ!俺がどういう気持ちで嫌いなあいつのところに行っていると思ってるの?!」


「お前の努力は知っている。けどな、それが間違いだったんだっていい加減に気付け」




サイケが無邪気な顔をして静雄の懐に入り込んだものの、全ては臨也から静雄を遠ざけるための苦肉の策だと知っている。

自分が犠牲になることで、少しでも静雄と臨也の会う時間を減らそうと奮闘しているのも知っている。


でも、それが余計に臨也の心を揺さぶっていることを、こいつはいつまで経っても気付かない。


計画が崩れる。
心も、揺れて、基盤が可笑しくなる。
それもこれも全部、全部。
悪いのはやっぱり――。



「お前が、全部悪い。お前が、俺を、臨也を、」















12,05,23(wed)


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