柚葵とは小さな頃から一緒にいた
どのくらい?
と聞かれたら岩ちゃんよりずっと前の赤ちゃんの頃からって答える
長い長い間ずっと一緒にいた

何をするにも隣には柚葵がいて
俺の横を後ろを
可愛らしく付いてきた

その頃の俺は、柚葵のことを自分にできた妹のように可愛がった
1歳歳が違うと気づいたのもその時
俺が柚葵を守るんだ
俺がお兄ちゃんになってやるんだ
って思いつつ、胸にチクリとした感覚を覚えたのもこの時だった


岩ちゃんと仲良くなって柚葵に会わす時、心がざわついた
けど、岩ちゃんと柚葵が仲良く話しているのを見るとそのざわつきが落ち着いた
幼いながら嫉妬していたんだと思う
けど、岩ちゃんと柚葵をみてると、そんな心配はしなくていいと、この2人は大丈夫だと無意識にそんな心は消えていった




「ばれーぼーる?」
「バレーボール!」
「?」
「このボールでかちまけがきまるゲームのこと!」
「ゴールにいれるやつ?」
「それはバスケだね。バレーはコートで打ちあうスポーツ!」
「へえ!」
「試しにいわちゃんとしてみるからみてて!」
「うん!」



柚葵は所謂ボールに愛されていた
ボールに愛された少女と言ったらいいだろうか
ボール競技のものがすべて得意で
ボールを自由に操れて
ただ、サーブだけは何故だか操れず、人のいないところへと無意識のうちに狙ってるらしく、それは羨ましい癖があった
そんな柚葵がバレーが出来るようになるのが速く、上達した


ただ、そんな柚葵に周囲がプレッシャーをかけるとも知らず
小学の時、柚葵はある事で団体競技をする事が怖くなり、苦手になった
俺は俺でその時から柚葵が好きという自覚を持ち、すこし恥ずかしくて避けていた時期だった
そんな時、あの事は起こった



「徹くん、私もう……バレーとかバスケとかしない」
「!?」
「もう…疲れた」


俺の背中に抱きつき顔を押し付けてくる柚葵の弱々しい声に、自分の無力さに腹が立った
なんでこうしてあげなかったんだろう、なんでそばにいてやれなかったんだろうと


俺が守ってやるって決めたのに


そう思うといてもたってもいられず、柚葵を抱きしめた
そこから泣き出した柚葵を俺は一生何があっても愛して守る存在だと
俺のものにするのだと決意した




だからこその依存がある




中学でテニス部に入部した柚葵にしつこくマネージャーをするよう迫った
もう一度、バレーを好きになって欲しい
みんなに囲まれて幸せそうに笑ってる柚葵を、もう一度俺の手で見たかった


だから、あの日試合を見に来てとお願いした
引退試合を
今思えばその試合を見させず、高校に入って誘えばよかったと後悔した
柚葵のバレーに対する苦手意識は取り除けた
まだ自分が試合するとなるとダメなようだけど
だから
だからなのか


俺の手から離れてしまった



岩ちゃんと柚葵が来るのを待った高校2年成り立ての春
一つしたの学年に及川柚葵はいなかった











「烏野!!!?」


いてもたってもいられず、電話したけど帰ってきた答えは俺の聞きたくなかった答えで


「やりたいことを烏野ならできると思ったから……」



絶望した
そして、その柚葵の言葉を聞いた時、その覚悟を知った
やり場のない感情がバレーに出てきたのだと思う
一発…というか何発も岩ちゃんに殴られたし
柚葵にも怒られた
柚葵に構ってもらえるならこのままでもいいやとさえ思った
けど、俺をみる柚葵が悲しそうにしてたから、俺は我に返った
そこから這い上がり、今の俺がいる

全てを受け入れた俺は、とにかく柚葵に毎日のように連絡するよう義務付けた
時には迎に行こうとも思った
けど、女の子が騒ぐから来ないでと言われたので、柚葵が家に帰ったあと家にお邪魔する事にした


そして、1つの疑問が生まれた
柚葵は放課後何をしている?
テニス部は続けてないのは確かだ
中学であんなに有名校から推薦来てたくらいだ
もし、烏野でテニスをしていたら有名なはず
だけど、そんな噂もない
けど、帰ってくるのは部活が終わった時間…

きっと何かを隠してる

俺に言えないこと?

なにを隠してるの?

俺に

おれにおしえてよ


じゃないと






「柚葵を閉じ込めちゃうよ」








少年Oの恋心


その秘密を知るのは
3年になりたての頃になる









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