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立海大付属──…







「…。」



白「〜♪」



全国大会抽選会場であるここ、立海大付属に2人はいた。



1人は嫌そうな、乗り気ではない顔をし、もう1人は上機嫌で鼻歌まで歌っている。




「(…やっぱり着いてくるんじゃなかった…。)」



身の危険を感じた理緒は白石と一緒に来ることをえらんだが、やはり後悔していた。



白「ほら理緒行くで。」



「…はーい…。」



理緒は渋々白石のあとに続いて会場に向かう。






会場の中に入ると、すでに来ている学校もあった。



2人はできるだけ前に近い席を選び、座った。



「蔵、なんかさ、」



白「ん?」



「男子多いね。(もしかして男子しかいない…?)」



白「しゃーないやん、男子テニス部の全国大会抽選会なんやもん。」



「そうなんだけど…、てか蔵、"やもん"とか似合わないんだけど。」



白「っ!!」



「(…あれ?いいすぎた?)」



白「……理緒が言うとかわええなぁ。」



「っ!!」



突然のことに理緒は顔を真っ赤に染める。




「あ、あり得ないでしょ…!!からかうのはよしてよ。」



白「(からかってないんやけどなぁ…。)」




2人が話しているうちに、どんどん人が集まってくる。




「(…やっぱ女子がいない…。)」



ぞくぞくと人が集まってくるものの、会場で女子といえば理緒、1人だけだった。



「蔵、私みたいにマネージャーは他の学校っていないの?」



去年は会場でみたんだけどなぁと理緒は呟く。



白「居るみたいやけど、今日は偵察に行っとるみたいやなぁ。」



「え゛!? じゃあ、私も他のマネージャーさんみたいに行かないと行けないんじゃ…。」

(……去年してないけど…。)



白「大丈夫やで。

小石川に行かせたからな。」



「は?普通は逆なんじゃ…?」



白「俺が無理矢理来させたようなもんやし、気にせんでええ。」



「(あ、ちゃんと自分が無理矢理来させたこと分かってるんだ…。)」



[大阪四天宝寺!」



抽選が始まったみたいだ。



「呼ばれたね。」



白「おん、…もうこんな時間か。」



「いいとこ引いてきてよね。できるだけ立海と青学は避けてね、蔵。」



白「無理難題やなぁ。ま、シードやからなんとかなるやろ。」



2人は見つめ合うと、一緒のタイミングでニッと笑い、拳を握り トンッ と拳同士をぶつけ合った。



(端から見たら羨ましい光景。)




そして拳が離れると、トントンと白石は階段を上っていく。




「(…やっぱりなんかオーラが違うなぁ…。)」



理緒には、白石が一番輝いてみえていた。






「(…あれ?)」
























理緒は周りを見渡してみた。



「(立海、氷帝、…六角、…あそこは、比嘉だったっけ?

青学……、部長の手塚さんじゃない人だ…。

まさか──君?や、違うな。

なんか今年は何か起こりそう…、)」




全国大会が楽しみだな と理緒はフッと微笑んだ。







白「理緒─…、」



白石は理緒に話しかけようとしたが、理緒の笑顔の横顔になにも言えず、見とれてしまった。






「…あれ?蔵? くーらっ!!」



白「っ!!」



理緒の自分を呼ぶ声に白石は、我にかえった。




「どうしたの?もしかして、変なところでも引いちゃった?」



あれ?蔵はくじ運わるかったっけ? と、理緒はへにゃ、と効果音が付きそうな笑顔を見せた。



白「…いや、一番端やった。」



「…ブロックに強豪校、来なかったらいいね。」



白「まあ、どこも強豪校には変わらんけど、俺の目標は優勝だけやろ?」




当たるとこ全部倒したるよ、と白石は理緒に向けて真剣の顔をして言った。



ドキッ



「(そんな顔されると困る…!!)」



理緒は顔を真っ赤にする。



「…ま、今回はちょっと難しいくなるかもだけどね。」



理緒は真っ赤な顔をどうにかして冷まし、笑顔を作った。



白「?」



おかしい、こんなに笑うなんて…。



さっきまでは嫌そうな顔をしていたのに、何があったんや?


白石は不思議に思った。



白「どしたん?何かあったん?めっちゃ嬉しそうにしとるやん。」



「…全国終わるのは嫌だけど、早く皆の試合とか見たいなぁと思っただけだよ。」



こんなに笑顔を他の野郎に見られては困ると思った白石は、理緒を自分の方に顔を向けさした。

(肩をトントンと叩いて。)



「…どうしたの?」



白「…金ちゃん見つかったんて。」



「ほんと!?」



白「おん、謙也からメール来た。」



「…よかったー…。」



これで一安心だね、と理緒が言った瞬間



[青春学園、青春学園!いないんですか!?]




「(ほんと、あの人手塚さんと全く違う感じの人だなぁ。)」



白「大石君緊張してるんやろうな。」



「普通はするよ。蔵、大石君って副部長?」



白「おん。」




『待ってくれ大石、俺が引く。』



「!!」



扉が開き、そこにはユニフォーム姿をした人物が立っていた。








運命の抽選





やっぱり登場したのね。









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