私は後悔している
なにに?
高校選び
「名前ちゃーん!!」
「………………げ」
これだ、こいつが原因なのだ
とにかく、こういう時は
「ちょっ!?逃げないでよ!名前ちゃん!!」
「っるさい!!追いかけてくるな及川徹!!!!」
猛ダッシュ
バレー部VSテニス部
な、わけだけど…男と女じゃ体力違う??
なめないでいただきたい。私はテニス部でも長期戦型なのだ
及川に1年の頃から追いかけられているため、体力が相当ついた
中学の頃は短期戦型だったから、すこーしだけほんのすこーしだけ及川には感謝………したくない
少しでもしたくない
「名前ちゃんが逃げるからでしょ!?あと、徹でいいっていってるじゃん!!!!」
「知らん!!なんでそこまで私にこだわるのよ!!!!」
「それは……名前ちゃんのことが好きだから!」
「…はいはい、そこら辺の女子に言ってるのと一緒でしょー」
及川が中学の頃からそうだったのだ
女の子を泣かせてきた最悪なやつなのだ
ぶっちゃけると、私は及川が好きだ
バレーに打ち込む及川を見てると、好きになっていた
と同時に、及川が女好きだと気づいた
淡い恋心は心の奥にしまって、消えることを願った
けど、それは消えてくれるどころか膨らむばかりだ
高校に入って数ヶ月したら、何故か及川が付きまとってくるようになっていた
最初は嬉しかった
けど、苦しかった
及川は人気があるから女の子達からなにかされると思ったが、なにもなくそれはそれでよかったのだけど、なぜ付きまとってくるのか分からなくて苦しかった
だから好きと言われた瞬間、嬉しかった
でも、周りの子達にも言っているところを聞いたことある
それと同じだと思う
本気にしたら泣く運命だろう
本気にはしない
そろそろ体力も尽きそうだ
昼休みだし、部室にでも逃げ込んで鍵閉めよう
そこまでしたら流石に及川は戻るだろう
私は次の授業が自習なので怖くないが、及川はそういうわけにはいかないだろう
よし、ここを曲がれば部室に…
パシッ
「!?」
初めて
追いつかれた
掴まれた手があつい
及川の
力が強い
「お……い、かわ……?」
幸い部室付近なため誰もいない
及川は俯いているので表情は分からないが、息切れしている私と違い大人しい
「名前ちゃんは、いつもそう思ってたの?」
「…っへ?」
いつもより低い及川の声が私の耳に届く
「俺が追いかけるのも、遊びだと思ってたの?」
「遊びっていうか、なんで追いかけられるんだろうって思ってたけど」
変、今日の及川とてつもなく変だ
どう変なのかって、いつもならケーキ顔面にぶつけたいくらいの態度と顔なのに(失礼だとは思わない)、いまはバレーをしてる時と同じ顔だ
流石の岩泉くんでもきっとどつけない顔つきと態度だ
「俺が本気で追いかけるのは名前だけだよ」
「!?」
「こうやってわざわざ追いかけてわざと捕まえず楽しむのも、名前の可愛い姿がみたかったから」
「わ、ざと?」
「うん、だって俺が追いつけないわけ無いじゃん?ってなわけで」
素直に俺に捕まえられて
すがお
とんでもなく
兎の皮をかぶった狼にひかかってしまったようだ
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