Agapanthus




その後も取って取られの攻防戦が続き
13-14
今も旭さんが打ったスパイクがブロックアウトになり互角に戦っている
あ…でもまずい
徹くんのあの顔………孝支先輩の事がつかめた顔だ
攻略できたと……自信に満ち溢れてる表情をしている
そう、今も岩ちゃんのスパイクが孝支先輩のところを抜いた
再度徹くんのサーブが回ってきた
そして、とうとう烏野の均衡が崩れた
ブレイクされた
まずい、ここで青城がリードしてしまった
ブレイクは流れが動き出す始まり
ここで乗せてはいけない
「ナイッサー」
「ナイスレシーブ!」
「ッシャアッ」
打たれたサーブを夕がきっちりと孝支先輩の元へと返した
そしてそのボールは翔ちゃんへと託された
「ーー!」
「…………」
のだけど
「っしゃあああ!!!」
「金田一ナイスブロック!」
出来上がったブロックに阻まれてしまった
孝支先輩の顔にも少し焦りが見える…
「柚葵」
「?」
「影山どうだ?」
「!」
そっか、そう言う事……ここで戻すのか烏養くん
確かにそれがいい事なのかもしれない
けど、まだ孝支先輩にもこの流れを切り替えせるかもしれない
…そう、これはただの私の我が儘
まだ孝支先輩がコートに立っている所を見たい
だけど、烏野は勝たなくてはならない
孝支先輩もそれを一番に望んでる
今の烏野に勝ちの可能性に必要なのは
変人コンビ
「王様の座から完全に下りたかは分からないけど、きっと飛雄を入れたら勝利に繋がる可能性が見えるかもしれない」
「…………」
ちらりと飛雄を見ても、今は純粋に試合に出たくて仕方ないのかうずうずしてる
下げられて冷静になったようだし
「それに、勝てばまたこんな風に孝支先輩にもチャンスがあるんでしょ?」
「!」
「烏養くん顔に出やすいの覚えておいた方がいいよ」
「…はぁ、なんか柚葵には敵わねぇわ」
「年下に敵わない26歳……」
「……お前の想いバラすぞ」
「飛雄!烏養くんが呼んでる」
「おい」
駆け足できた飛雄は
なんだか頼もしく思えて
コートからこちらを見る孝支先輩は
なんだか切なく思えて
この二人を生かせる方法はないのだろうか………?
「おう!!」
「っ!」
そんな事を考えている時、孝支先輩の張り切った元気な声がこちらまで聞こえた
なんだかスッキリとしているように見える
そして
3年生の表情がガラリと変わった
「ナイッサー!」
岩ちゃんのサーブを大地さんがレシーブ
大地さんがレシーブしたボールは孝支先輩へ
孝支先輩から上げられたボールは旭さんへ
旭さんの今日一番に思えた強烈なスパイクは、相手のブロックをはじき飛ばし、青城のコートへと勢いよく落ちた
「すっげー…」
どこからかそんな言葉が聞こえた
確かにすごい、すごいけど…私には
「強い……絆」
が形として見えた
今の2年でも来年には……
ピーーッ
ここで選手交替の笛がなる
タイミングとしてはベスト
さぁ、飛雄…ベールを脱ぐ時がきたよ
「いってらっしゃい」
小さく小さく吐いた声は届いたかは分からないけど、私の気持ちは楽になった
送り出したら帰ってくる人がいる
迎える準備ができた
「…わかってると思うけど、うちの連中はちゃんと皆強いからな」
「!…………ウス」
「よし!勝ーー…」
「……?」
「?」
孝支先輩……?そのあとに続く言葉に詰まるのは
「勝つぞ」
「っ!」
「ーーウス」
そう言うことですよね
きっとこの場所じゃなく、観客席から見ていたら号泣じゃ収まらないんじゃないかな
この場所にいるからこそ…泣けない
私も一緒に戦ってるんだから
「青城と互角に渡り合ったじゃねーか」
帰ってきた孝支先輩に言葉をかける烏養くん
「うちの連中は強いですから」
「でも、あれだな。次ん時はもっとセンター線積極的に使ってもいいかもな」
「!」
「ーー…」
あ、孝支先輩の表情が変わった
「ハイ!ありがとうございます!!」
「!?」
そう勢いよく帰っていく孝支先輩に思わず声をかけた

「…孝支先輩どこか痛いところとかありますか?トレーナーとしてここにいるので、何かあった場合処置させてもらいますけど…」
「ん?大丈夫………柚葵」
「?はい」
「俺は負けるつもりはないよ」
「っ!……ふふ、分かりました。…孝支先輩お疲れ様です」
あの強い引き寄せられる眼
そっか…大丈夫だ
孝支先輩はもう迷っていない負けてなんかない
孝支先輩も私が言いたいことが分かったのか、いつものあの笑顔で今度こそ帰っていった
「なんだったんだ…?」
「…分かってないなぁ…烏養くん」
「あ!?」
「菅原君にとって"次"っていうのは凄くうれしい言葉なんじゃないですか?」
「"次"があるからこそまた頑張れる。烏養くんは無意識のうちに孝支先輩のやる気を引き出したんだよ」
「…なんなんだ、柚葵に言われると浮かび上がる何とも言えないこの気持ち」
「烏養くん、私はほめてるよ」
「ほめられてる気がしねえ」
「まあ、それは置いといて…飛雄が心配」
「…置いとくな!……まあ、大丈夫だろ…日向がいるしな」
「そうだね…最強の囮が100%機能するには飛雄が必要だし、今は……飛雄を信じるしかない」
ここから烏野の最強コンビ再始動だ

「………ねえ、烏養くん」
「……なんだ」
「烏養くんも笑えって言われたらさ、そんなに綺麗に笑えないじゃない」
「あぁ!?」
「けど………あれはないよね」
"あれ"というのはコート上にいる飛雄がこわい
なんだあれ…………と周りがコート上の飛雄の表情でざわついている
おお、あの徹くんでさえ引いているわ……
「お前っ何、企んでるっ!?そうはいかないぞっ!!」
「日向逃げすぎ!」
「翔陽、これは企んでる顔じゃなくて笑顔だぞ!多分!!」
「多分とか言うんじゃないよ西谷!」
「日向ブットバス!!!」
「おお…!」
そう、あの飛雄が笑顔を作った
もう一度言おう、あの、あの飛雄ちゃんが笑顔を作った
笑顔ではなく極悪人の顔をしていたけど
笑顔を作る努力をした飛雄、これは脱王様も早いかも
……………笑顔とは程遠いくらい恐ろしい顔をしているけれど
「よし、追いつくぞ!!」
『オオ!!』
場の空気がなんとなく和らいだところでここから再始動
早速飛雄のサーブから
……うん、嬉しそうにボール持ってる
悪さして玩具を取り上げられお預けされてた子供が、許してもらって玩具をようやく使える時の顔みたい……
「影山君リラックスですよーっ」
武ちゃんがそう声をかけると静かに頷く飛雄
あ、これは多分
「あ、大丈夫……ですね」
武ちゃんの言葉に賛成
冷静沈着そんな言葉知らないと思うけど、すごく集中してる顔つき……そこからの
「っ!」
「!」
相手に与える究極なプレッシャー
私でも感じたこのプレッシャー
「一本で切るよ!!」
徹くんが感じないわけが無い
流石の徹くんも警戒してチームメイトに呼びかけてる
そして
「渡っ!」
「っ!!」
空気を切り裂くような音
と同時に鈍い音が体育館を響きわたる
「サービスエース……!!」
青城のリベロからサービスエースを飛雄が獲った…!!
「ナイッサァーッ」
そしてこれで
「17-17!同点……!」
この波に乗っていけたらいける……!
なかなか見ない飛雄のガッツポーズ付きだ……と思った瞬間
「ウェーーイ!!」
と大きな声と肌と肌が触れ合った大きな衝撃音がこちらまで聞こえてきた…………ん?んんん??
「と、飛雄がハイタッチ……!?」
「珍しい……」
「潔子さんもそう思います!?」
「彼、そんな感じに見えないから」
「ですよね……!」
「よしっ行けっ」
「っ!」
意識が潔子さんへと向いていたら、烏養くんの張り上げる声に意識を戻させられた
飛雄のサーブが岩ちゃんにギリギリ拾われ、青城も繋ぐだけ繋ぎ、こちら(烏野側)にチャンスボールとして返ってきた
そのチャンスボール……活かせれるは
「ナァイスキー!!」
変人速攻
ここぞという時に使えるこの速攻……もっと有効的に使うとなるとどうすればいい?コンビネーション?個々の上達?………まだまだ未熟
けれど、この雛烏………成長するまで時間はかかる
だけどきっと出来る
全国へと………繋ぐこと
2人なら……4人なら……………6人でなら
皆で強い方が強いんだ
変人コンビだけじゃなく、もっともっと周りも成長しなくては
そのためには3年生には居てもらいたい
まだまだ私達2年だけでは1年生を活かしきれない……先輩から学ぶことをまだ多く学べてない
そのためには、勝ってまだ部にいて欲しい
欲を言うなら春高まで………
でも頼るだけじゃだめなんだ
あの飛雄でも自分で考えてチームメイトに意識がいくようになったし、コミュニケーションとるようにしてる
「サッ来ォーい!!」
「ナイッサー」
「あれ?」
翔ちゃんを見てる飛雄に違和感を感じたんだけどなんだろ…………
なにか、こう合図してるような………………あ、
「もしかして変人速攻と普通速攻の合図をサインに変えた?」
「……相変わらずよく気付くな」
「いや、いままで叫びながら突っ込んで行ってた翔ちゃんが普通になってるから、サインに変えたんだろうなとは予想してたんだけど………なるほどあれが変人の時の合図か」
「柚葵、速攻が抜けてる」
「あ………すみません、思わず。にしても変人速攻連続なんだ…」
「まあ、今は変人速攻ガンガン使っていくのがベストだかんな」
「……そっか」
こちらがレシーブし、サイン通り翔ちゃんは飛雄がボールに触れる前に走り出す
「!」
ブロックを避けるため斜めに飛んだ翔ちゃんの上にはボール
ブロックを振り切り変人速攻で連続して点を入れた
この2人……合わさったら
やっぱり最強コン「ギャッ!!」ビ………だと思うんだけどなぁ
なんで翔ちゃんも飛雄もハイタッチで張り合おうとするんだろ…………
ああ、ハイタッチだけじゃないか……いつでもどこでも全力勝負してたな……
なにはともあれ20点台にはこちらが先に乗った
ーで、問題は
『こっからかな?』
『……………』
「柚葵」
「烏養くん」
「考えることは」
「同じってことだね」
夕と入れ替わりで入ってきた人物(月島)とコートにいる司令塔(影山)
どっちかが折れない限り
「なんで月島VS影山みたいになってんだ!!!」
こうなり続けるんだろうなぁ……
なんていうか、ツッコミする龍が新鮮
飛雄がようやく完全に王様の冠を捨てようと波に乗ってきたところで、大きな大きな壁に当たった
乗り越えなければその先に勝利は見えてこないのは確実
さぁ、どっちが大人かな?
「ネットイン前前前!」
翔ちゃんが打ったサーブは運良く青城側へと落ち、返すだけとなったボールはこちらに返ってきた
チャンスボールを活かすタイミング!
前には旭さんとツッキー…相手は旭さんをマークしてる
だけどお構いなしに、飛雄は旭さんを使って攻撃を仕掛けた
ブロックが2枚ついていた旭さん
旭さんとは逆にフリーなツッキーには持って行ってないあたり本当にツッキーが苦手なんだな…………
ピーッ
そんな時青城がタイムをとった
あのブロックのつき方……青城もわかってるんだろうなぁ……飛雄がツッキーを使っていないことに
私が気づくくらいだから徹くんはもっと早くに分かってるはずだし…
私がアドバイスをするのも違う気がするんだけど……
「飛雄、不自然だよ」
「!?」
「………なに」
じろじろ人の表情見るだけなのは怪しいと思う
これは注意させてもらったけど、既に遅かった
あ、孝支先輩も動いた
「影山!」
「?」
タイムアウト終了時飛雄を呼んだ
「まずは会話だ会話!とくに月島には"真っ向コミニケーション"だぞ」
「?ハイッ」
「…孝支先輩ってやっぱりよく見てるんですね」
「へ?」
「真っ向コミニケーション…頭の硬い飛雄でも分かり易い表現ですよ」
「……柚葵って影山のこと嫌いなの?」
「そんなことはないはずですが……ご想像にお任せします!」
なんともいえない顔をした孝支先輩は「あんまりいじめちゃダメだべ?」と言い残してウォームアップゾーンへと戻った
……いじめてないと思うんだけどなぁ?徹くんがいじめてるんじゃ……?
「日向も一本ナイッサー!」
キュッキュッと軋むシューズ音が体育館に響きわたる
「龍!!」
「っ!!」
「松川ナイスキー!」
相手のスパイクが決まり、青城も20点台に乗った
このセットこのままリードしなければ終わる
「オーライ」
「大地さんナイスレシーブ!」
綺麗に飛雄の元へといったボール
「ーー…」
「オーライ!」
トスはツッキーへと持っていったのだが、どことなく打ちづらそうなツッキーのスパイクは簡単に拾われてしまった
「なんっかいずそうな打ち方だな月島」
「飛雄ちゃんのトス……ツッキーには打ちづらそうだもんね」
「あぁ」
そして、その間にも青城スパイクを決められ同点
「2連続…ブレイク……!追いつかれた」
「先生!」
「ハイッ」
すかさず烏養くんがタイムアウトを取る

「おらおら顔強ばってんぞ!落ち着いて行け!動きはいいぞ」
「ギャーッ」
「大丈夫だ」
い、痛そう…真っ先にこちらに来た龍に烏養くんは片手で顔を挟んだ(つまんだ…?)
龍がじたばたしながら、柚葵たふけてくへ!!というあたり相当痛いんだろうなぁ………そんな私はそれどころではないので龍に微笑むだけでドリンクを配りに行く
後ろで"助けてもらえなかったけど頑張れる気がする…!!"と言ってたのは聞こえないふりをしておこう
「…おい」
あれ?飛雄からツッキーのとこに向かってる……なにかあったんだろ「……今のトスはどうでしたかコラ」うか……………え?
『!?』
「え!?と、ととと飛雄!?」
「何で田中さん口調なの?」
「何ですか コラ」
会話を!?っていうか自分から歩み寄った!!?
あの飛雄が!飛雄ちゃんが!!
飛雄の方が大人だった!?
「………………」
「………………」
「……"黙ってこのトスを打て庶民"って言われてるみたいで腹立つ」
「あ"」
なんというか…………意外とこの二人翔ちゃんより子供な気もする…
だけど、確実に歩み寄ろうとしてる
「おいー」
「どういう意味だ?」
「!」
うん、それこそ"真っ向コミニケーション"
頭の硬い飛雄でも理解できたんだ、流石孝支先輩
「……こっちにもやり方があるから、トスは一定にしててほしい」
「…………」
「あの…どういう…?」
その言葉を理解できない武ちゃんが烏養くんと横にいた私にこっそりと聞いてきた
「ー多分、影山は月島にAクイックを上げる時、打つコースさえもトスで指示を出してる」
「!?」
「天才なのか単細胞なのか……王様なのか」
「そうだな。トスの位置か球一個分セッター側ならクロス、遠ければターンって感じで」
「飛雄は決まりやすいと思った方に打たせようと指示したけど、ツッキーは打ちづらい。ツッキーは頭脳派だからトスでの指示はいらないってとこですかね」
「な、なるほど」
「ま、スパイカーの性格とか力量にもよるだろうし、どっちが正しいって一概には言えねえだろうな」

「…"考えてる"のは君だけじゃない」
「!」
おお、コミニケーション取れてる…!!
「相手の守備の形、自分が今日よく決まってる攻撃、皆何かしら考えてる。日向ですら一応何か考えてるから普通の速攻も使えるようになったんデショ………辛うじてだけど」
「ですらって何だ!辛うじてって何だ!!」
「まあまあまあ」
ツッキーの言葉に反応し、飛びつこうとする翔ちゃんを抑える孝支先輩………完全に親子……みたい
「わかった」
「ん!?」
「!?随分素直だね、今日大丈夫!?」
「と、飛雄ちゃんが素直に……!?素直過ぎて空回りするとかないよね!!?徹くん効果凄い………」
「………柚葵さん」
「柚葵、気づいてなさそうだけど声に出てるよ…」
「あ」
何かやけに皆見てくるなと思ったら声に出しちゃっていたみたいで、孝支先輩に指摘されて恥ずかしい…
「とにかく、どっちがいいか…やってみないとわかんねーし」
ピーッとタイムアウト終了の笛がなる
飛雄の言葉に驚きを隠せてないツッキーは、いつもより行動が遅くなっている……多分慣れてないんだなぁ
そして、性格上逃げられないんだろう
面白くなってきた…!
「このセット絶対獲るぞ!!」
『オオッ』

そして再開して早々
「ナイスレシーブ」
綺麗に飛雄に返った
青城は3枚ブロック……そんな中飛んだツッキーにボールが上がった
「!」
ツッキーのスパイク!!
「うおっしゃああ!ブロックま後ろガラ空きゾーン!やりおった!」
「はら立つーっ」
スパイクかと思えばツッキーはフェイントで仕掛けた
直前まで強打だとみんなが思っていた為、青城のブロックの後ろはガラ空き………そこを狙ってのフェイント……
やっぱりツッキーは頭脳派、よく相手を見てる
にしても………
「ツッキーイキイキとしてるなー…気持ちはわかる」
「だろうな」
「烏養くん?……どういう意味です?」
「柚葵もどちらかといえば頭脳派だろが」
「……まあ、だし抜くのも戦法だからね」
「一番相手がイラッとくる戦法だな」
「……………」
そんなことを言ってる間にも、飛雄がまたもやツッキーにトスをあげてフェイントをし、チャンスボールで返ってきたボールを旭さんがスパイクで決めた
そのあとは淡々と返され、再びツッキーによるフェイント攻撃
「立て続けでフェイント………」
「ブロック避けてる?」
「いえ、潔子さん。あれはきっと来るべき瞬間を待っているんです」
「?」
「頭脳派は頭脳派なりの戦法があるんです」
「柚葵も?」
「…そうですね、私もツッキーだったら試合の中で、このプレーを取り入れると思います。絶対決定打がきますから」
ただ相手によるけど……きっと大丈夫
輝く最強の囮もエースもいればこの戦法
「有効的…!」
その瞬間、レシーブが乱れた烏野…少し前の飛雄なら旭さんに上げただろう
だけど、ツッキーのあの言葉を聞いた後
「!」
飛雄はツッキーにトスをあげた
と同時に青城のリベロが一歩前に出た
来た!
待ってた瞬間!
「いかん!出過ぎるな!!」
今、気がついても遅い!
ツッキーは今度こそ強烈な一打を打ちつけた
案の定、前に出ていたリベロは触るだけに終わる
フェイント連発していたら誰しも「こいつ強烈な一打打ってこない、フェイントでくる!」と思うから前のめりになる
そこを狙ってのスパイク………これができた時は気持ちいい
「うおっしゃあああ」
「ムカつくやつめー!こんニャロメ!」
自分だけじゃなくて仲間もかな……
「ナ、ナッフ、ナフス、ナイス」
「!?」
「ん!?」
飛雄が、飛雄がツッキーに向かって!
「褒めた!!」
「噛んだけどね」
「でも進歩ですよね!!」
「…うん」
「チームができてきた…!それと、セットポイント…!」
「後1点!」
「もう一本!」
『!?』
「渡さねーよ!!」
そう、後1点だったのだけどすぐさま岩ちゃんに返される
岩ちゃんの返し方がかっこよすぎて一緒喜ぶところだった………危ない
「大丈夫!1点…いつも通りの1点を取りさえすれば、このセット獲れる!!ー筈なのに」
そう、獲れるその1点が遠い
それに、このタイミングで
「ここで及川君のサーブ…!」
多分徹くんのことだから、入れるだけのサーブには絶対ならないし、思いっきりくるはず…
「敵だと本当、厄介……」






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