Agapanthus






やっぱり飛雄はすごい
天性の持ち主だと思う
明らかに龍に上げようとしたボールを声がした方向へ咄嗟に、しかも正確に上げたのだ
なんて、羨ましい反射神経と正確さを持っているんだろう
「おい!お前ら速攻使えんのか!?」
「クイック??」
「今みたいな速い攻撃だよ!!」
「?全然。おれボォーーーーンて高く山なりに上がるトスしか打ったことないです」
「でも今やったろ!?それにお前中学ん時、素人セッターのミスったトス打ったろ!ああいう…」
「えっ?でもどうやったか覚えてないです」
「〜っ」
「でも、おれどんなトスでも打ちますよ!打つからな!!」
「………………合わせたこともないのに速攻なんてまだ無理だろ」
飛雄が無理っていうのもわかる
速攻って何回か合わせて練習しないと出来ないものだ
それも、信頼がないと……
飛雄は速攻するのまだ怖いと思うし
「なんだお前変!そんな弱気なのきもちわるい変!!」
「…うっせーな」
「〜〜………………」
「"王様"らしくないんじゃなァ〜い?」
「今、打ち抜いてやるから待ってろっ!!」
「まァーた、そんなムキになっちゃってさぁ。なんでもがむしゃらにやればいいってモンじゃないデショ」
「?」
「人には向き不向きがあるんだからさ」
「!つき」
「まって柚葵」
ツッキーの言葉が頭にきたけと、孝支先輩に止められた
龍も一発食らわせに行きそうになってたけど、大地さんに止められてた
頭の隅で3年生は冷静にみててすごいと思った

「………………確かに中学ん時も…今も……おれ、跳んでも…跳んでも…ブロックに止められてばっかだ」
スポーツそれぞれに必要なものはある
センスとか才能も必要だけど、
特にバレーボールは高さが重要なスポーツ
高く跳べたとしても、もともとの身長差は埋まらない
「だけど」
小さくても 出来ることもある
「―――あんな風になりたいって思っちゃったんだよ、だから不利とか不向きとかかんけいないんだ。この身体で戦って勝って勝ってもっといっぱいコートに居たい!」
「―――…!」
特に団体競技の
選手は、長くコートに立っていたいものなのだろう
前の私は、1人でコートに居たから分からなかったけど、今の皆を見たらわかる
私ももし、団体競技選手だったなら長く立ちたいって思ったかな
「…だからその方法が無いんでしょ。精神論じゃないんだって。"キモチ"で身長差が埋まんの?守備専門になるならハナシは別だけど」
「ーーー…………………スパイカーの前の壁を切り開く…」
「?」
「その為のセッターだ」
「!?」
……飛雄が凄くかっこよくて、隣でみてる孝支先輩と共に口をあんぐりとあけてしまった
「…………??」
「……いいか、打ち抜けないなら躱すぞ。お前のありったけの運動能力と反射神経で、俺のトスを打て」
「ハァ!?ソレ速攻の説明かよ!?」
うん、わかんないようなわかるような微妙な言い方だわ飛雄ちゃん
「…………」
「?わかった!!!!」
「うそつけ!わかってねえだろ!!」
『とりあえずやってみます!!』
「〜〜…なんだお前さっきまでガチ凹みしてたくせに」
「?凹んでません!」
「うそつけ!!」
「うん、嘘だね飛雄ちゃん」
「柚葵さん!!ちゃん付け辞めてください!!」
嘘つきにはそれくらいしなきゃでしょ
「…………………」
「?」
なにやら孝支先輩が神妙な面持ちで飛雄と翔ちゃんを見つめていた
その先には、サインが決まってないため、飛雄がトスを出す方向に指を向けて翔ちゃんが頷いていた
「ナイスレシーブ!」
ツッキーのサーブを難なく翔ちゃんは返し、飛雄が合図した右に走り出す

「ブァハ!?ふっんぐっ」
剛速球のボールが
手に当たることなく翔ちゃんは見事な着地を見せた
「(…え、こんな速いの??)」
「おい何してる!もっと速ー…」
「!!」
「ーーー……………」
「でたー"王様のトス"!」
「チッ」
飛雄がイラついてるのがわかる
その後も何度も挑戦したけど、翔ちゃんが豪快に空振るか触ったと思ったら、ネットに身体ごとかかるかでタイミングがあってなかった
龍の"漁業かコラ!"には笑ってしまった
「お前、反応速いんだからもっとこう、バッ!っと来いよグワッ!っと!」
「"バッ!"なのか"グワッ!"なのかどっちだ!!!」
「重要なのソコじゃねえよ!!」
「…とび」
「ーー影山」
飛雄を落ち着かせようと呼びかけた瞬間、孝支先輩が飛雄を呼んだ
きっと何か伝えようとしてるんだ
同じポジションのセッターとして
私が何か言うより孝支先輩が言った方が飛雄の為になる
孝支先輩は足元に転がっていたボールを手にとった
「それじゃあ…中学の時と同じだよ」
「…………?」
「あっえーーっと…」
「…日向は機動力に優れてます。反射・スピード…ついでにバネもある…慣れれば速い攻撃だって………」
「ー日向の、その…"すばしっこさ"っていう武器、お前のトスが殺しちゃってるんじゃないの?」
「!」
「…日向には技術も経験も無い」
「!?菅原さん!?」
「中学でお前にギリギリ合わせてくれた優秀な選手とは違う」
「…………………」
うん、孝支先輩ズバッと言うなぁ…
「でも、素材はピカイチ」
「!エッそんな…天才とか大げさです、いや、そんな」
「そこまで言ってないよ翔ちゃん…」
「…お前の腕があったならさ」
「?」
「なんつーか、もっと日向の持ち味っていうか才能っていうか、そういうのもっとこう…えーっと…」
「スガさんファイト!」
わたわたしてる孝支先輩が凄く可愛くて、私は口を手で当てるのに必死なのでなにも言えない
「………俺も…お前と同じセッターだから、去年の試合…お前見てビビったよ。ズバ抜けたセンスとボールコントロール!そんで何より…敵ブロックの動きを冷静に見極める目と判断力!!…俺には全部無いものだ」
「!そんなことないです孝支先輩!!」
「そうっすよ!スガさ…」
「柚葵、田中」
「!」
「一回聞いとくべ」
「…………」
孝支先輩は自分で分かってない
孝支先輩は孝支先輩で凄くいいプレーがあるところ
バレーしてるときの孝支先輩、みんなをよく見てる
だからみんな孝支先輩についていくのに
私も孝支先輩を応援してるのに
そんなに切ない顔しないでください

「技術があってヤル気もありすぎるくらいあって、何より…"周りを見る優れた目"を持ってるお前に仲間のことが見えないはずがない!!」
「!」
そう言い切った孝支先輩は"先輩"だった
ほら、孝支先輩だって飛雄のそういうところをみてる優れた目をもってるんですよ?
孝支先輩に助言された飛雄は翔ちゃんをずっと見つめていた
「!?」
「………………」
「?」
「…俺は」
「!?おぅっ!?」
「お前の運動能力が羨ましい!!」
「はっ!?」
「だから野津力持ち腐れのお前が腹立たしい!!」
「はああっ!?」
「ーそれなら、お前の能力俺がぜんぶ使ってみせる!」
「何だ?」
「!?」
「飛雄?」
何か思いついた飛雄の表情は、やる気に満ち溢れていた
「ーーお前の1番のスピード、1番のジャンプでとべ」


「ボールは俺が持って行く!」
飛雄が考えついたところは、自分が動くってこと
横暴な王様のままでは考えもしなかっただろう、誰かに合わせるというのは
「?"持って行く"って何??どういうこと??」
「…お前はただブロックの居ないところに、MAXの速さと高さで跳ぶ。そんで全力スイングだ。俺のトスは見なくていい、ボールには合わせなくていい」
あれ?それって………
「ハァ!?ボール見なきゃ空振るじゃん!!」
「かもな!!」
「うぉい!?」
「ははは……」
言い切ったよ飛雄…
「でも…やってみたい」
「…………わかった」
飛雄の覚悟をみて、動揺してた翔ちゃんもやってみる気になったみたいだ
「……………」
「飛雄ならなんとかしますよ」
「!」
「孝支先輩考え過ぎです」
黙って考え込んでしまった孝支先輩
自分が助言したからいろいろ考え込んでしまうのかもしれないけど……
「今のなよなよしてる孝支先輩嫌いです」
「!」
あれ、なんだ?潔子さんが目を見開いてこっち見てくるし、大地さんはこの世の終わりみたいな目でこっち見てくるし、孝支先輩は目が死んでるし
!あ…!!
ナチュラルに徹くんに言うみたいに嫌いって言っちゃった!!
「ごご、ごめんなさい!!孝支先輩本当に嫌いってわけじゃなくってですね!?あ、あの!」
「…………だけ」
「?」
なにやら孝支先輩がなにか言ったっぽいけど何言ってたのかがわからなくてわたわたしてる
「こ、孝支先輩?」
「大丈夫!気にしてないべ!」
「…………………」
そう返されると傷つく…

「スガ……」
大地さんが孝支先輩を哀れんだ目で見ていたことを私は知らない
そんなやり取りをしている間に、ボールが飛雄の元にいった
トスを出す飛雄は翔ちゃんを目で追っていて、どのタイミングでトスを出すのか

ドッバンッ

と思ったら物凄いスピードでトスが出され、翔ちゃんの手を捉えた
そのまま翔ちゃんはスパイクを決めたのだが、速すぎて目を追うだけで精一杯だった
「よしっ!」
「!?!!?手に当たったあああ!!!」
『!?』
「?"手に当たった"?大げさだな…」
「……おい…今………」
「?」
「日向…目え瞑ってたぞ…」
『はァ!?』
翔ちゃん、飛雄にボール見なくていいって言われたから本当に見ずにスイングしたってこと!?
「ジャンプする瞬間からスイングするまでの間、日向は目を瞑ってた…つまり影山がボールを全く見てない日向の掌ピンポイントにトスを上げたんだ…スイングの瞬間に合わせて…寸分の狂いもなく……!」
「ハァッ!?」
「すげえすげえ〜っ!なあ何!?今の何!?当たったんだけど!?手に!今!!おれの!!なあ!!」
「ぅオイお前ええ!!目え瞑ったって何だ!!」
「!!」
「飛雄、落ち着いて!」
翔ちゃんに詰め寄る飛雄をなんとか止める
だけど、飛雄が詰め寄りたいのもわかる
目を瞑ってたままスイングするなんて普通はできっこない
しかも、それが空中戦なバレーで
「お前が"ボール見るな"って言ったんだろ!?目え開けてるとどうしてもボールに目が行くから……」
「確かに言ったけどっ」
飛雄が動揺するのも無理ないと思う
今どきこんなに他人の言葉を素直に聞き入れる子いないもん
「でも今ので成功だろ!?何が悪い!!」
「それはそうだけどっ!100%信じるなんてできるか普通!?」
「だって今、信じる以外の方法わかんねえもん!!」
「!」
勝利への純粋な欲
…飛雄、もう意地はんなくていいんじゃないかな
最強のパートナーできたよ
「………俺たちには"信頼関係"なんて微塵もないが………」
「?」
「飛雄……まだ意地はるか……」
「次もボールは俺が持っていく、信じて跳べ」

ーー…

「あ」
「ビャーーッ」
「悪い」
「翔ちゃぁああぁん!!」
トスを全く見ないということは、ボールを見ないというわけで
もし、飛雄がミスをしたとしても翔ちゃんにはわからないわけで
只今、剛速球のボールが翔ちゃんの顔面を捉え、翔ちゃんは墜落した
「大丈夫!?翔ちゃん!」
「!柚葵さん!だ、大丈夫っス!!」
「う〜〜ん…やっぱさっきのはマグレか…?」
「でも…確実にトスの精度は上がってきてるよ…」
「そおっスかあ?」
「うん」
………うん、なにやら飛雄がいい事考えてるんだろうけど
「なにニヤニヤしてんだよフザけんな!!顔面2回目だぞ!!」
「…………………」
「…理解不能、さっきのはマグレだろ。なのに懲りずに何回も……」
「…でも多分、日向はまた…何回でもボールを見ないで跳ぶんじゃないかな〜確かに理解不能だよなぁ。他人を100%信じるなんて。そうできることじゃないもんな。しかも"因縁の相手"なのにな」
「…………………」
ツッキーの歪んだ性格はどうしてそうなったのだろうかと思うけど、きっとツッキーはツッキーで抱えてるのかな
「オーライ!任せろ!!」
「どうせまた日向に上げて失敗だろ。田中さんだけマークしとけばー………」
コートを翔る雛鳥
小さな小さな雛鳥だけど
纏うオーラは立派な鳥だ
「!?山口!お前も来い!!二枚で止める!!」
そのただならぬオーラを感じたツッキーは、万が一のために山口くんを呼び、ブロックを2枚体制にした
だけど、翔ちゃんはその壁を躱した
飛雄に言われたように、壁がいないところへと
「!?」
「!?えっ!?何だ!?今の何!?」
雛鳥は跳んだ
誰もいない最高地点に
ああ
きっと翔ちゃんは昔見ることが出来なかった景色を見ているんだろうな
徹くんとあの人が言ってた
最高地点で見える景色は
"頂きの景色"だと
その景色を見る瞬間がとても感動するものだと

そして、翔ちゃんが打ったスパイクはツッキーのブロックも追いつかず、大地さんの手に当たることなくコートへと落ちた
『ーオシ!!!』
二人の雄叫びが体育館に響きわたった


独りぼっちだった王様と
小さな雛鳥が出会った

王様は人に合わせるのは苦手だった
雛鳥には合わせる人がいなかった

その1人と1匹が出会い
小さな変化をもたらした


「うわっ」
「また……決まった」
「!ひっくり返した……!」
あの凄いトスとスパイクが炸裂し、押されていた第一セット
24-23と王手がかかった
「トスの精度が………すごい勢いで増していく…」
「……飛雄がセッターとして本領を発揮しましたね」
「だべ!…でも」
「うほほはァァァイ!!」
「それを引っ張り出したのは翔ちゃんですね」
「ほんと、よく我慢して待ってたなあああ、顔面にトス食らってる奴なんて初めて見たもんなああ」
「あれは痛いって言葉だけじゃ済まされないですよね……ほんと翔ちゃん我慢したなぁ」
孝支先輩と翔ちゃんの今までのことを語り合っていたら
「そう何本も抜かせるかよ!!」
「!」
「おっ」
翔ちゃんをブロックしようとツッキーがとんだところだった
けど
「!!」
「いらっしゃアアアい!!!」
トスはフリーになった龍に上がり
「ふんっ」
「っ!」
だれにも触らせずコートにボールを叩きつけた
「ギャー……フリーで打たせたら触れね〜…………」
「くそ…」
「どうだオラァァァ!!!月島ァコラァァァ!!俺と日向つぶすっつったろうがァァ!!」
「そーだそーだ!」
「やってみろやおらァァ!!」
「みろやオラァ!」
「………………」
「龍うるさーい!」
「なんでお前が1番威張ってんの田中〜」
「あっえっ?」
「そーだ!1年のおかげて打ててるクセに〜」
「態度でかいぞ〜」
「ハゲ!」
「今普通に悪口混ぜたの誰だゴラァ!!オレはハゲじゃねえ!!柚葵傷つくからヤメテ!!!」
今の点で飛雄と翔ちゃんのチームが第一セットを無事に取った


「いくぞ!」
「オス!!」
そのまま試合は順調に流れていき
私はツッキーが投げ飛ばしたスエットを畳みながら試合を見ていた
「…影山…確かに凄えけど、すんごい神経すり減らしそうだな。あの精密なトス……日向も普通の何倍も動き回ってしんどそうだ」
「……うん…………でも」
『オオッシ!!!』
「すごく楽しそう………」
「だべー」
そして
ピピーッと試合終了のホイッスルが鳴る
セットカウント2-0
勝者:日向・影山チーム

「わわわ!!みんな水分補給してー!!!」
床にのたれ死んでる皆に、タオルと用意しておいたスポーツドリンクを持っていく
「あ、ありがと、うござい、ます…柚葵、さん」
「……柚葵さん、オレ」
「王様がタダの王様じゃなくなったよ飛雄」
「!」
「最強コンビの……出来上がりだね」
そういうと2人は凄く嫌な顔をして私を笑かしてきたのだった
「とりあえず、月島のとこ行こうぜ!」
「ああ?」
「まあまあ、同じ部なんだし行っておいで」
しぶしぶ飛雄は翔ちゃんについて行った
なんだかんだで仲いいじゃない
「ハイ握手ーっ」
『!?』
なにやら一気に向こうが盛り上がってるようだけど、私は潔子さんの元へと向かう
「潔子さん!なにしたらいいですか?」
「…とりあえず柚葵は皆が飲み終わったボトル回収してきてくれる?」
「はーい!」
「キャプテン!!」
『!?』
いざ行こう!と思って一歩を踏み出した時、大きな声が響き私は立ち止まった
「?何ー……!」
大地さんの視線の先には、ぐしゃぐしゃになった入部届け
あの日受け取ってもらえなかったものだ
「………………」
それを大地さんは受け取った
「清水」
「?」
「アレもう届いてたよな?」
「!」
アレという言葉で気づいた
きっと昨日届いたやつだ!
「潔子さん!私が持ってきますね!」
有無も言わさず私は取りに行った

ガサガサガサ
意外に段ボールは軽いからいいけど、中で暴れまわってるから音が鳴る
「?」
はてなマークが浮かんでる1年生に分かりやすくする為、中のものを取り出してみる
「!!!!うっ」
なかでもいい反応をしたのは翔ちゃんだった
既に手に持っている
「うほおおおお!!!!」
烏野バレー部である証拠のジャージを
「多分サイズ大丈夫だと思うけど、何かあったら言って」
皆に渡したところで、潔子さんがサイズ確認を行ってる
『あザーーース!!!』
「お前も着てみろよ〜」
「いや、僕はあとでも」
「恥ずかしがりやか!いいじゃねえか着てみろ!」
唯一着ていなかったツッキーに孝支先輩と龍が絡んでる
ツッキーは嫌そうだなぁ
「おーーっ」
やはり、新鮮だなぁ
としみじみ思いながら、並んだ四人を見る
「…………これから」
大地さんは真剣な面持ちで
「烏野バレー部としてよろしく!」
『…………………おす!!!』
あらためてお願いした


「…………ふぅ〜〜〜…一応……………一段落ついたな……スガも田中も柚葵も何か色々やってくれたんだろ?」
「!エ"ッ!?」
バ レ て た
「いやっべつにっなにもっ!?」
「取り敢えず丸く収まってよかった…ありがとうな」
『……………………』
「おつかれっ」
孝支先輩と潔子さんは大地さんの肩を叩いた
私は微笑むだけだ
「!?なんだっ!?オイッ」

「おい日向!!休んだか!?休んだよな!?もっかい速攻の練習すんぞ!感覚残ってるうちに!!柚葵さんこれおねがいします!」
「オオッ」
「はいはい」
飛雄からスポーツボトルと翔ちゃんからもボトルとジャージを渡された
「元気だなぁ…」
「田中さんボール出しお願いします!」
「ゲッもう動くのかよ!?」
流石の龍もバテバテのようだった
「早く実際の試合で試してえな…練習試合とかねぇのかな…」
「!練習試合…!!他の学校と……試合…!!」
「実際の試合には月島×3みたいなブロックがいるんだからな!」
「うおお!すごく嫌だー!」
「………………」
「なんだとっ」
「…確かに…そろそろ練習試合組みたいよな……でもー………」
「組めた!!」
『!?』
「組めたよーっ」
この声
この足音は!
「練習試合っ!!」
「武ちゃん!!」
「相手は県ベスト4!!」
ん?あれ?
嫌な予感………


「"青葉城西高校"!!」


カランッカラカラ……
手に持っていたものが全て落ちた
なんか皆それぞれ何か言ってるけど、それどころじゃない
なんでよりによって
なんで
なんで!

徹くんのいる青葉城西なのー!?



当日、仮病で休んでいいかな?
…………大地さんにバレると怖いな





back

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -