｢生きたまま捕獲はできなかったが、仕方ねーな｣
｢……っ(なんだ…？すごく嫌な感じがする…)｣
｢ついに…、骸を倒したのね｣
｢｢!｣｣
『ビアンキさん…！』
今まで倒れていたビアンキさんが上半身を起こして立ち上がろうとしていた

｢うう｣
｢アネキ!｣
｢よかった…ビアンキの意識が戻った…!｣
｢無理すんなよ｣
｢ハヤト…肩貸してくれない…？｣
｢…？(……あれ？)｣
｢しょーがねーなーきょ…今日だけだからな｣
何だかんだで姉想いの隼人くんは照れながらビアンキさんの元へと行った
あの姉弟上手くいけばいいんだけど……

｢…!!獄寺!!いったらだめだ!｣
｢え？｣
｢ん？｣
『ツナ…？』
珍しい…ツナがそんなこというなんて……なにかあったのかな？

｢どうかしたの？ツナも肩を貸して…？｣
｢……ああ(あれ…？ 何言ってんだオレ？)｣
｢いいっスよ、10代目は…これくらいのケガ大丈夫っスから｣
｢…｣
｢すまないわね、隼人｣
｢ほら、手｣
｢はい｣
その瞬間、ビアンキさんが隠し持っていた三叉槍の上の部分の剣が、隼人くんの頬をかすった
え！？何してるのビアンキさん！？

｢!!なっ何しやがんだ!!｣
｢!」
『…ビアンキさん？』
｢…なっ!!｣
｢まあ!私ったら…!!｣
｢ビアン…!(やっぱり変だ…なにかちがう…!!)｣
｢何やってんだ、ビアンキ｣
｢リボーン…｣
リボーンがビアンキさんの元へとぴょんっと飛んで

｢しっかりしろ、刺したのは弟だぞ｣
ぺちぺちビアンキさんのの鼻を叩いた
｢私なんてことを…したのかしら｣
その瞬間何故かビアンキさんは、リボーン目掛けて剣をおろした
リボーンはそれを回避


『どういうこと…!?』
｢!?｣
｢リボーンさん!｣
｢こいつは厄介だな｣
何が起こっているのか私たちにはさっぱりだ…
っ！？ビアンキさんがいつの間にか私の目の前に…っ


｢…仕方がない…許してね…刹那｣
『…え？』
何を…？と思った瞬間指先から痛みを感じた

『っ!!』
ビアンキさんが持っていた剣で指先を少し切られたらしい
一体何が目的かはわからないけど、なんでこの程度なのか
考えていたらツナに引っ張られてビアンキさんから私を隠された

｢刹那!ビアンキ…てめぇ!!｣
｢まさか…マインドコントロールされてるんじゃ………!?｣
｢ちげーな…何かに憑かれてるみてーだ｣
｢それって呪いっスか？｣
｢ありえねーが、事実だ…｣
『…』
憑かれてる？一体誰に？こんなことできるのは……まさか


｢刹那大丈夫か…？｣
『うん、少し切っただけだから』
ごめんね、綱吉
私また足を引っ張るかもしれない……


｢何言ってるの、私よ｣
｢(やっぱちがう…ビアンキじゃない。あのビアンキが刹那を刺すわけない…そして、この不自然な感じ…前にも…あ……、)……ろくどう…むくろ…？｣
『………』
そう、私も思う

｢(なんか、そんな感じがする)｣
｢クフフ｣
【また会えましたね】
｢なっ!｣
｢!｣
｢祟りだー!!｣
｢そんなバカなことあるわけねーぞ｣
『でも…むくろくんの身体は』
｢ああ…やっぱり死んでる｣
むくろくんはあのまま倒れたままだ

【クフフ、まだ僕にはやるべきことがありましてね。地獄の底から舞い戻ってきましたよ】
｢や…やはり…｣
『そんなことができるの…？』
｢あと考えられるのは…、まさかな…｣
｢10代目ここはオレに!!｣
｢だけど相手は…｣
｢臨・兵・闘・者!!｣
｢(魔よけかよ!?どこでそんな知識得るんだよ…)｣
隼人くんの頭のよさってなんなんだろうかって時々思う

【…うっうう…】
｢皆・陣・列!!｣
あれ？
『効いてる…』
【う…】
そのままビアンキさんは倒れた


『ビアンキさん…!』
本当に効いたっていうの…？
何も反応しない


｢……｣
｢どーすんだよ｣
『…演技ってこともあるよね…？』
｢わかんねーな｣
｢…ビアンキ…？｣
すると、ツナの後ろに隼人くんが剣を持って立っていた
なんで、剣を持って…？


｢？｣
｢オレやりましょーか？｣
｢獄寺…、!骸!!｣
隼人くんがツナに向かって剣を降り下ろしたけど、いち早く気づいていたツナは避けれていた

『隼人まで…!』
やっぱり、この憑依って………不味い気がする…！！
共通点は……

【ほう、まぐれではないようですね。初めてですよ…憑依した僕を一目で見抜いた人間は…つくづく君は面白い】
｢どーなってんだ…？｣
｢間違いねーな。自殺と見せかけて撃ったのは、あの弾だな｣
｢『!?』｣
あの弾…？

【………】
｢憑依弾は禁弾のはずだぞ……どこで手に入れやがった｣
『…ひょう…いだん？』
｢…何言ってんだ？｣
【クフフフ、気付きましたか………これが特殊弾による憑依だと…】
｢特殊弾って、死ぬ気弾や嘆き弾のことだよな？｣
｢そうだ。憑依弾はその名の通り、他人の肉体にとりついて自在に操る弾だぞ｣
『そんなものまで…？』
｢エストラーネオファミリーが開発したと言われる特殊弾でな。こいつを使いこなすには、強い精神力だけでなく、弾との相性の良さが必要とされていたんだ。だが使用法があまりにもムゴかったため、マフィア界で禁弾とされ、弾も製法も葬られたはずだ｣
【マインドコントロールの比ではありませんよ……るのではなく、のっとるのです。そして頭のてっぺんからつま先まで支配する。つまりこの体は――……僕のものだ】
そういうと、隼人くんの首に爪をたてて中のむくろくんは少し切った


｢やめろ!!｣
｢ランチア程の男を前後不覚におとしいれたのも、その弾だな……だが、なんでおまえがもってんだ？｣
【僕のものだから――…とだけ、言っておきましょう。さあ次は君に憑依する番ですよ……ボンゴレ10代目】
｢なっ…オレ!!?｣
｢やはりお前の目的は……｣
【クフフフ、目的ではなく手段ですよ。若きマフィアのボスを手中に納め、そして、世界のお姫様、刹那を手に入れることで、僕の復讐は始まる】
むくろくん、復讐の範囲が広くなりすぎている気がする……
あの頃は"悪い大人"に向けてだけだったのになにが彼をああさせてしまったのだろう


｢はぁ？ なにいってんの、お前｣
｢…奴の剣には気をつけろよ｣
『……リボーンも気がついてたんだ』
｢ああ……その様子だと刹那も気がついてたんだな……もう刹那は遅いが、あの剣で傷つけられると、憑依を許すからな｣
｢じゃあ、刹那は!!｣
【そう、僕のもの……それにしても、よくご存知で】
隼人くんに憑依したむくろくんは剣を徐に投げた

｢!!｣
【その通りです】
その剣はビアンキさんの手におさまった
直後隼人くんの体は倒れる


【もっとも僕はこの行為を、"契約する"と言ってますがね】
すると、ビアンキさん(骸)は恭ちゃんを剣で傷をつけた


『まさか恭ちゃんに…!』
今度はビアンキさんの体が倒れてしまう

｢…は!?｣
少しの時間動きのない皆身体だったけど、恭ちゃんの指が動き出した


｢まさか…!?｣
ゆらりと恭ちゃんが不安定ながら立ちだした

｢雲雀の中にまで…!!｣
恭ちゃんはツナに向かってトンファーを振りおろした
けれど、ツナは間一髪避けることができた………瞬間ツナが避けたことにより踏ん張りができなかった恭ちゃんはそのまま地面に身体を打ち付けた


【おや？この体は使いものになりませんね……これで戦っていたとは、恐ろしい男だ、雲雀恭弥……】
｢雲雀…!!…骸の気配が消えた｣
｢気をつけろよ。また獄寺かビアンキに憑依するぞ……もしくは、刹那か…｣
｢!｣
その瞬間、私の頭にむくろくんの声が響く……なに？
"許してください、刹那"？
なにを……？と思った瞬間意識が遠くなるのを感じた………これが……憑依………？

『つな……よ、し……ごめ、ん』
その瞬間私の身体は自分自身で動かせないくらい石になってきてるように感じ、床に倒れ込んだ
だんだんと、意識も遠退く感じが不思議とわかる

｢刹那!!!!!!｣
ツナが駆け寄ってきてくれて抱き締めてくれるのかな……？感覚がないからわからないや………
でも、声だけは鮮明にまだ聞こえる……

｢刹那!刹那!!目覚ませ!!｣
ごめんね
綱吉、私もう……
そして私の意識は暗い闇へと堕ちていった




一方、現実世界では獄寺が立ち上がった

｢獄寺…!!｣
と思ったら反対側にいたビアンキも立っていた
｢は…？ ビアンキにも…？｣
そしてその瞬間大きな音をたてて扉が開かれた

｢!｣
ツナが扉の方へと視線を送ると、そこにいたのは犬・千種だった


｢! あれは…｣
｢奴らもだな｣
｢骸が四人…｣
｢同時に四人憑依するなんて、聞いたことねーぞ｣
【刹那にも憑依できますが、今はやめときましたよ……刹那はあまり傷つけたくありませんしね…それにこれだけでは―】
獄寺の右目がニに変わった
【ありませんよ】

瞬間大量のダイナマイトがツナに襲いかかる

｢チッ!!｣
とりあえずツナは、刹那を守るように抱きよせてからダイナマイトの起動を読み取り、爆発をなんとかかわした


｢くっ!!｣
｢憑依した奴の技まで使えんのか!｣
【クフフ】
リボーンも例外なく襲われる
犬の爪が迫っていたが、リボーンは空中に飛び上がりなんなく避けた
だがリボーンは飛んだめ、無防備な状態

【君も自分の命の心配をした方がいい、アルコバレーノ】
無防備なリボーンにむかって千種のヨーヨーから針が出される
｢ちっ｣
それをリボーンは空中にいながら、器用にスーツを盾にして回避した


｢くそっ｣
｢こいつは圧倒的にやべーぞ｣
絶体絶命のピンチにどう立ち向かう…？








『ここは何処？』
先ほどまで廃墟になった黒曜中にいたはずなのに、今は自然豊かなところにいる
夢……なのだろうか？
私は何故か水の上に浮かんでいた


『…なんでわざわざ水の上に浮かんでるんだろ…？』
夢にしては変な感覚だ………
なにかが私の回りに纏ってるような、そんな感覚なのだけど……これは

『……風？』
微かに自分自身の回りに吹いている風がわかる

『…なに…、これ…？』
不思議な風だ、なにがどうなって


<刹那…>
『!!』
何処からか、可愛らしい声が私を呼ぶ
周りを見てもそこには誰もいない

『誰？』
<すぐそばにいるじゃない…、私の刹那…>
すぐ、そば…？

『…え？っ!!』
そんな馬鹿なと思いながらも、近場に目を向けてみると自、そこにはなんとも可愛らしい、とても小さな手のひらサイズの女の子が、浮いていた
なんというか……

『か…可愛い!!!!』
思わず、その女の子を手のひらに乗せた
あ、かわいい……普通に警戒せずに私の手の上にのってくれるんだ……

<私は風華(ふうか)…刹那の力の源が私>
『私の…力？』
<そう、刹那の力……貴女はこの世の空気……風を自由に操ることが出きるの>
『え…？』
<たとえば、いま浮かんでるでしょ？それも風の力>
『たしかに…私の回りには風を感じる…』
<刹那が望めば、この力でなんだってできるの……世界だって手に入っちゃう……人間は必ず空気が必要でしょ？それが操れる風の力を持ってる貴女は特別な存在>
『!!』
<…だから、刹那は狙われてしまうの>
『っ…、』
私が何故世界のお姫様と言われるのかが、分かった気がした
空気を操る……？確かにそんなことが出きれば最強じゃないか………人を殺すことも容易くなってしまう


<いままではこの力を抑えてたけど……時期が来た>
『…え？』
<ほら、いま大変なことになっているでしょ？>
『…あ!! 綱吉が…!!』
<刹那が望めば、主に風のちからでなんとかできるわよ？>
『何故？』
<風の噂………って感じかしらね？>
風の噂は早いというものね……
でも、今はこの子を信じてみるしかない

『……お願い、今の綱吉の状況を教えて…』
<りょーかい!>
瞬間強い風が吹いた

『…!!』
耳元には…綱吉の声と骸の声がはっきりと聞こえた
更に驚いたのは……目をつむれば頭のなかに映像が流れてくることだ…

なにこれ、すごい………





｢そんなのおかしい｣
綱吉？なんでそんなにボロボロなの…

【自分がやられるという時にー…君は面白い男だが、マフィア向きではありませんね】
ビアンキと隼人の傷口から、血が…!!
よく見れば皆ボロボロだ…！限界が近づいてきてる…！


｢たのむ!!やめてくれ!!このままじゃ死ぬ!!｣
【クフフ思い出しましたよ……君は仲間のこととなると、自分を犠牲にする心の持ち主だ。それでいきましょう。君はその甘さゆえ、僕に乗っ取られる】
｢!｣
｢は？｣
【いいですか？君の仲間をこれ以上傷つけられたくなくば、逃げずにおとなしく契約してください】
だめ、みんなの傷口からは、血が流れて止まってない…！


｢…ッチ｣
【やはり迷うのですね……どのみち君のような人間は、この世界では生き残れない。ボンゴレの10代目には不適格です。さあ、体を明け渡してもらいましょう】
｢どうすんだよ…!!｣
｢オレは何もしてやれねーぞ。自分でなんとかしろ｣
｢こういう時にかぎって…｣
｢おまえは、誰よりもボンゴレ10代目なんだ｣
｢!?｣
誰よりも？ボンゴレ10代目？なぜそんな確信が持ててるの？リボーン……


｢おまえが気持ちを吐き出せば、それがボンゴレの答えだ｣
｢!オレの気持ち…？｣
【クフフフ、家庭教師もサジを投げましたか……彼の気持ちは"逃げ出したい"ですよ。それとも"刹那を置いていけない"…かな？】
｢…ちたい…｣
【!?】
綱吉…？


｢骸に……勝ちたい――…｣
綱吉からは普段以上にただならぬオーラが感じられる
その時、リボーンにせおられたレオンが震えだした

【ほう、これは意外ですね。だが続きは乗っ取った後にゆっくり聞きましょう】
あ……また、右目が四に変わった。

【君の手で仲間を葬った後にね】
｢こんなやつにまけたくねぇ!こいつだけは、勝ちたいんだ!!｣
綱吉…………
そんな綱吉に共鳴するかのようにレオンは勢いよく震えだす

【終わりです】
攻撃されそうになるツナ…その時レオンの目が見開いた―…そしてそのままレオンからなにか放たれる

【!】
｢んな…!!｣
壁にもみんなにもレオンが放ったのなにかが張りつく
なに!?あれ…？

【ボンゴレ何をした!?】
｢オレは何も…、!! レオンか!?｣
｢ついに羽化したな｣
｢羽化…？｣
｢あの時と一緒だ。ディーノが"跳ね馬"になった時とな｣







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