『ちょっ! フゥ太!!どこ行くの!?』
「刹那姉の昔の友達のとこだよ」
ここ、建物の中だけどすごく危ない…
それでも尚止まらないフゥ太に声をかけてみたのだが、予想外の言葉が返ってきた

『え…、どういうこと?』
「刹那姉は忘れてるんだ」
『へ…?って、それよりも綱吉のとこ帰らなきゃ!!帰ろ?フゥ太』
「今から戻ったって遅いよ刹那姉…それに、ここからどうやってツナ兄のとこ帰えるの?」
確かに、建物の中を歩き回ったから壊れたこの建物から暗線に抜け出すルートはわからない
引き返してツナ達の元に行くのは、時間がかかる


『でも…』
「ねぇ、刹那姉…疲れたでしょ?」
『え?』
「あそこの部屋に入って、休もうよ」
『でも、六道 骸がいるかもしれないよ…?』
「大丈夫…僕この建物入ったけど、人いなかったよ」
『!! 危ないよ、フゥ太!!勝手に1人で来ちゃ!!』
「大丈夫だよ!刹那姉は心配性だなー」
『そういうことじゃなくて…!』
「まあ、ともかく入ろ!!僕疲れた」
『…そうしよっか』
六道骸がいたとしても私がいるからこの子には手を出さないと思うし…
大丈夫だよね…?



『ねぇ、フゥ太…ここって』
なんだか来た覚えがある部屋だった

「ここは昔、映画館だったところだよ」
私たちが入った場所は、ボロボロになった映画館
すると、フゥ太が突然

『!!!!』
扉を閉めた
え、まって!!フゥ太と離れたら…!
扉を必死に開けようとしたけど、ガチャガチャ!!という音だけが鳴る
開かない…!!


『フゥ太!何してるの!?ここから出して!!』
「ごめんね…刹那姉…」
『…フゥ…太…?』
扉越しにフゥ太が泣いていた


「クフフフフフフ…」
『!!!! 誰!?』
いきなり声がした、誰か…いる
辺りを見渡してみると、舞台上にソファーがありそこに独特の髪型をした黒曜生がいた


『…あなたは誰?』
「…やはり覚えていませんか…僕は六道 骸です」
『なっ!!』
「すみません。あなたが悲しむようなことをして……僕は刹那と話がしたかっただけなんです」
『私…と?』
「はい…僕らが過去に会っているという話をね…」


『…え?』
過去に六道骸と出会っている…?

『どういうこと?』
「あなたは昔の記憶の一部を失っている…そうですよね?」
『…!なぜ知っているの』
「…元凶が僕の憎んでいるマフィアだった…という事だけお伝えしておきましょうか…そのときあなたは大切なものを失った」
『…失った……?』
「ええ…またいずれわかる時が来るはずです…そしてそのとき僕と君は出会った……」
『…』
刹那は記憶を絞り出すがなかなか思いだせない

「Arrivederci」
『!』
アリベ…デル……チ

[あなたは厄介な人たちに目をつけられてしまったんですね…]
[…だれ?]
え、あれって私の小さい頃……?
記憶にない……時?私は今どこにいるの………

[僕は六道骸…あなたと一緒…こいつらに目をつけられた存在ですよ]
[むくろくん…?なまえむずかしいね]
[…え?]
[はやく大人になったら"むくろ"って字かけるようになるかな…?]
[…ックハハハ!!]
[…ん?]
[き、君は面白いな]
[君じゃなくて私は刹那って名前があるの!]
[…では刹那、なぜ大人になりたいと?]
[大人になったらいまできないこともできるようになるでしょ?そしたらこんなことする悪い大人やっつけれるようになるかなぁって!]
[…なるほど]
[平和がいちばん!]
[……そうですね]
[そしたら、むくろくん私と一緒に遊んでくれるでしょ?]
["悪い大人"を倒せたら遊びましょうね]
[うん!約束だよ?むくろくん]
[ええ、約束です]
[これでむくろくんは私のお友達!]

[刹那!!!!]
[っあ!お父さん!!]
そこで記憶は途切れた………
そうだ、私の無かった記憶の一つ思い出せた
小さい頃に拐われ心細いとき、私と同じように捕まっていた男の子がいた
それが、"むくろ"

『…まさか、むくろくん………?』
「…懐かしいですね…その呼び方…………久しぶりです、刹那」
『むっくんくんがこんなことするだなんて……どうして…?悪い大人を倒すんじゃなかったの…?』
今のあなたは悪くない、なにもしていない人たちを傷つけている

「あなたに会いたかったんですよ…(そして)」
『それなら素直に会いに来てくれればよかった…!!記憶がなかった私も私だけど!』
「記憶がないことは仕方がないことだったんですよ…それに、思い出したじゃないですか」
『なら尚更関係ない人たちを巻き込む事は無かったじゃない…!』
「そうにもいきません……なぜなら…(僕は君が)」
『!!!!』
意識が遠……く…
油断した……………むくろ…


骸は、刹那を気絶させた

「なぜなら、ボンゴレ10代目を乗っ取り、君と…」
骸は途中で言うのをやめると、刹那を横に抱き上げ、ソファーに寝かしつけ髪の毛に口づけを贈った…


一方、その頃のツナ達
偽物である六道 骸を倒し、偽物の骸が昔本物の骸に操られていて、ファミリーを殺ったことを話した

「なんだって…!」
「いつしかオレは名も心も奪われ、ニセの六道 骸となっていた…」
「そして、何もかもに絶望して殺人マシーンと化したのね…」
「なんて奴だよ、六道 骸は…人間のすることじゃねー…」
「ぶっ倒しましょう10代目!!」
「獄寺!大丈夫なのか?」
「副作用の発作がひいたのね」
ビアンキはホッとする

「ボンゴレ…おまえなら、できるかもしれない…いいか、よく聞けボンゴレ…骸の本当の目的は…っ!!!!どけっ!」
偽物の骸はツナを押して、不意に飛んできた針からツナを守った
その代わり自分の体に全て受け止めて……

「メガネヤローだ!」
「行ったな……一撃離脱か…」
「山本 武は無事よ!」
「うが」
痛みに耐えきれず偽物の骸は倒れる


「ああっ!」
「目的は口封じだな」
「そんな…!大丈夫か!?しっかりしろ!!」
「散々な人生だったぜ」
「そんな…あんた……名前は?」
「!」
「六道 骸じゃねー、ちゃんとした名前があるだろ!?」
「………オレ…は…ランチア…」
「しっかりしろ!!ランチアさん!!」
「その名で呼ばれると…、思い出すぜ……昔の…オレの…ファミリー…これで、みんなの下へいける……な……」
それを言うと、ランチアは目を閉じた

「おい!!ランチアさん!!!!」
「さんざん利用しといて、不要になった途端…クソッこれがあいつらのやり方かよ!」
「人を何だと思ってるの?六道 骸」
ランチアをずっと見ていたツナだったが、意を決して立ち上がる

「やっぱり、あいつムカツクよ……行こう。骸のところへ……刹那の元へ」
「だが、最後の切り札は使っちまったぞ」
「わかってる…だけど…でも…、六道 骸だけは何とかしねーと…!!」
「そうか……ちなみにランチアはまだ死んでねーぞ」
「え」
「問題は針の毒だ。一時間以内に解毒剤を投与すれば、助かるかもしんねーぞ」
「本当か?」
「解毒剤はきっとヨーヨー使いが、もってるわ」
「10代目、メガネヤローはオレが倒しますよ!」
「獄寺…ありがとな」
「山本は無理だな」
「安全な場所へ移しましょ」
もう動くことも目を開けることもできないほどにやられてしまった山本を、木の下に寄りかからせる

「ごめん、山本。すぐ戻ってくるから、待ってて」
「ったく…、これからってときによぉ……」
【バーズヤラレタ!バーズヤラレタ!バーズヤラレタ!】
そんな一行の頭上には1羽の黄色い鳥

「…ヘンタイ男のトリかよ…」
「エサねだってんスかね」
「今までおとなしかったところを見ると、やられてしばらくすると、仲間を呼ぶよう訓練されてんな」
【バーズヤラレタ】

「あのオッサンらしいセコイ手だぜ」
「あ……」
そしてそのバーズの鳥は

「あの建物に…(あそこに、骸も刹那もいる…!!)」
建物に向かって飛んでいった

「つーことは…」
「…」
「あそこに、六道 骸と刹那が…」
「いよいよだな」
とりあえず、パンツだけだったツナ
ビアンキが用意した服を着て裸でなくなり、安心していた

「いよいよっスね」
4人は、黒曜ランドに潜入した

「…おい…、階段が壊されてるぞ」
階段はむざんにも壊れている
「骸はたぶん上の階だな……どこかに一つだけ、生きてる階段があるはずだぞ」
「は?」
「こちらの移動ルートを、絞った方が守りやすいだろ?逆にいえば自分の退路を絶ったんだ。勝つ気マンマンってことだな」
「(…ムカツク)」
「ん?ケータイが落ちてる…壊れてら…」
「…それ、雲雀のだ…そういえば、雲雀のケータイの着うたうちの校歌なんだよな…」
「なぁ!?ダッセー!!」

そこから歩き回って階段を一つ一つを調べていく
「ここでもないな」
「ここも壊されてるわ」

「あった…!非常用のハシゴだ」
4人はとうとう、上へと繋がる階段を見つけた
だが、パシとヨーヨーの巻かれる音が響き渡り

「…ヨーヨー使い…!!」
柿本千種が待ち構えていた
そんな中一番に動いた獄寺が、ダイナマイトを投げつける
とっさに千種は避けたが

「!?」
普通とは違うダイナマイトが…

「煙幕か…」
「10代目、ここはオレにまかせて先に行ってください」
「獄寺!」
「ハヤト聞いて!あなたは前やられた時シャマルの、トライデント・モスキートで命をとりとめたの」
「なっ!!よりによってあいつに…!!」
「かけられた病気が完成するまでには、副作用がおこるの…また激痛をともなう発作が襲うわ。それでもやる気?」
「あたりめーだ!そのために、オレはいる」
「………いきましょ、ツナ」
「でもさ…」
「いってください。10代目は骸を!」
「それはそうだけど…」
「終わったら、またみんなで遊びにいきましょう…10代目は刹那を…」
「!そうだな…絶対行くぞ」
「もちっス!」
「じゃ…いくな」
ツナ達は煙が出る中、走って目的地に向かった

「大人しく行かせてくれたじゃねーか」
「骸様の命令だ」
千種はメガネを直しながら言った



「2階のボウリング場にはいないみたいだな」
「ここから、3階に行けるわ」
「3階は映画館だったはずだ…」
ツナ達は扉を開けてみると…

「!」
「また会えてうれしいですよ」
「お前は…!!」
辿り着いた先には先客がいた

「っ!!!刹那!!!!!!」
もう一つ、ツナの視界に入ってきたのは骸に膝枕されている刹那
よく見ると意識はなさそうだ

「お前…!!!!刹那に何をした!!!!!!!!」
ツナは今にも殴りかかりそうになるが、ビアンキがなんとか抑えた

「まあ、そんなにキレないでください……とりあえず、ゆっくりしていってください。君とは永い付き合いになる、ボンゴレ10代目」
「オレがボンゴレって知っているってことは…やっぱり!!」
「そう、僕が本物の六道 骸です」
「だろうな…!!」
そして、突如扉が閉められる音が
そっちに視線を向けると

「「!!」」
そこにいたのは
「フゥ太!」
どこか様子がおかしいフゥ太



一方、1Fでは

獄寺と柿本の戦いが激化していた
柿本のヨーヨーから繰り出されるすごい数の針が獄寺を襲うが、獄寺は難なく避けた

「ヘッタクソが!!」
そういうと、獄寺は走り出した
千種も同時に走りだした……が、

「!」
死角になっていた壁に付けられたダイナマイトが爆発
なんとか重傷は避けた千種だったが

「2倍ボム!!」
「!」
そのまま怒涛に獄寺のダイナマイトが千種を襲う
だが、負けてられない千種も全部の導火線をすごい勢いで、切っていく

「前回やられたのがよっぽど、脳裏に焼きついてらしいな……素早すぎる反応だ。おかげで、足元がお留守だぜ」
「!!」
上の攻撃に集中していた千種の足元には大量のダイナマイトが…

「障害物のある地形でこそ、オレの武器は生きる。ここで待ちぶせた時点で…おまえの負けだ」
爆発した煙の中でも、まだ千種の影はある

「おっと、しぶてーんだったな…こいつで、果てな…っ!!」
その瞬間獄寺の動きが止まる
「がっ!うがああァ!!」
突然の激痛が獄寺を襲い、ダイナマイトが手から落ちる

「くそっ、こんな時に…!!」
「!?」
動きが止まり窓に寄りかかった獄寺
するといきなり窓から、手が出てきて…

「スキアリびょん」
獄寺の胸に爪を立てた





「フゥ太!!無事だったか!?」
その様子に骸は企んだような笑みをこぼす

「あの後随分探したんだぞ?刹那まで連れていくし」
「危険だから下がってなさい」
ビアンキがフゥ太を戦いから遠ざけようと近づく
だがフゥ太は、後ろに隠し持っていただろう剣で

「フゥ…」
ビアンキを刺した

「「!」」
いきなりの攻撃にビアンキはたまらず、血を吐き出す

「ビアンキ…!」
骸はなお、笑みをこぼし続ける








「無事だったの?」
「死ぬかと思ったけどね。ヒャハハハザマーみろ、バーカ」
いきなり現れた犬の攻撃をもろに食らってしまった獄寺は壁に寄りかかった
だが、反動で足を踏み外し、壁だと思っていたところは布でその奥は階段になっていた
そのまま成す統べなく獄寺は滑り落ちてしまった

「んあ?」
落ちた獄寺の目には光がない

「ぶっざまー♪」
「(体が……動かねぇ…)」
その時

「ヤラレタ!ヤラレタ!」
「(くそぅ…ヘンタイヤローの鳥まであざ笑ってやがる。何が10代目の右腕だ…何の役にもたっちゃいねぇじゃねーか…くそっ…くそっ…)」
「緑たなびく並盛のー」
自分が惨めだと感じた途端、バーズの鳥が知るはずもない曲を歌い始めた

「(……!?)」
「大なく小なく並がいいー」
「へへ…、へへへへ…(なるほどな)」
獄寺は何か思い付いたように、ダイナマイトを、

「っひゃーこいつまだ闘う気かよー」
「ううっ」
壁に向かって投げた

「っひゃーどこうってんのー?」
「!」
爆発の対象である壁が破壊され、

「へへっ……うちのダッセー校歌に愛着もってんのは…、おめーぐらいだぜ…」
「「!」」
壊された壁の奥にいたのは


「んあ?こいつ……」
「並盛中学風紀委員長…」
雲雀恭弥――


「……元気そーじゃねーか」
「ヒャハハハハ、もしかしてこの死に損ないが助っ人かーー!?」
「自分ででれたけど、まぁいいや」
「へへっ」
「そこの2匹は、僕にくれるの?」







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