『隼人!!しっかりして!!!!』
血が流れ出すのを押さえるだけで私は何もできない…!
こんなに血を流して大丈夫なのだろうか……不安になってくるけど信じなきゃ…!
ツナはツナであの男と睨み合ってる
いくら強くなったとはいえ、隼人くんをこんな状態にした相手……ツナも無傷で事を終える事なんて出来ないのは自分でも察してるはず…
誰よりも傷つき、傷つけることを恐れるツナに私は何もできない

「早く済まそう」
「(まずい…こいつの狙いはオレと刹那……刹那は何としてでも手に入れたいんだろう…でも、どうする…?ここを動くことは出来ない…!!)」
ツナが悩んでる間にもあの男のヨーヨーが飛んでくる

『綱吉!!』
「くっ!!」
思わず叫んだ瞬間綱吉の身体は飛ばされていった


「!?」
「!」
ツナが飛ばされたお掛けで針は地面に突き刺さる

ツナは華麗に地面にスライディングしたと思ったけど何とか足を地面に着けてスライディングを回避したらしい
運動神経良くなってよかった…!

「フーッ」
「!」
「すべりこみセーフってとこだな」
「山本!(いい度胸だな)」
ツナをスライディングさせようとしたのは武くんだったんだ……
よかった…!武くんが来てくれたらまだ立て直せる

「結局学校半日で終わってさ、通りかかったら並中生がケンカしてるっつーだろ?獄寺かと思ってよ」
「(…あたりだし)」
『武!! 隼人が!!』
「ああ わかってる……こいつぁ…おだやかじゃねーな」
「(めったに怒らない山本が……刹那も興奮してるからか、獄寺と山本の名前呼び捨て…なんかムカつく)」
こんなときに何を考えているのか分からないけど、ツナがめちゃめちゃ不機嫌そうにこちらを見てくる
私何もできてないから怒ってる…!?


「邪魔だ」
男はヨーヨを武くんに向かって放ったけど、武くんは山本のバットで、ヨーヨーを切ってしまった

「!」
『切った…!』
「つーかいつから山本のバット常備だよ…」
これで何もできない男
私たちは助かるかもしれない


「そうか…おまえは並盛中学2―A、出席番号15番、山本 武」
「(そーいや山本並中ケンカの強さランク2位だったっけ…)」
「だったら何だ」

「おまわりさんこっちです!!」
警察を連れて、人々がやってきた
これは本格的に助かった………

「おまえは犬の獲物…、もめるのもめんどい…シャワーあびたい…」
そういうと、ずるずる体を引きずって帰っていった
ほっと一息ついたときに見えた顔に焦った


『隼人!!』
「「!」」
「大丈夫か!?」
「しっかりしろ!獄寺!?」
元々色白の顔が青白くなっていた



「なぜ?どーして隼人が入院してるのがここなのよ!」
ビアンキさんはポイズンクッキングの果物を持ってやってきた

「ビアンキちゅわーんV」
「よるな!!」
「なるんだよー、病院は危険だからってリボーンが保健室つれてきたんだぜー?男の診察はしねーけど、刹那ちゅわんがどーしてもって可愛くおねだりしてきたから、ベッドかしてんだぜ?いいじゃん、おじさんとあそぼーぜ!勿論刹那ちゅわんもV」
『ハハハ…』
場所は変わってここは並中…
シャマル先生が言ったようにリボーンはここが安全だと移動したのはいいのだけど、主治医が主治医で………

「よくねぇ(ないわ)!?」
「ボヘッ!!」
いきなりツナとビアンキさんがシャマル先生を殴り飛ばした
え、

『ツ…ツナ!?どーしたの』
「別に。(嫉妬したって言えるか、バカ!!)」
人を傷つけることがないツナがまさか殴り飛ばすとは思わなくて私は驚いた
あれかな?強くなりすぎた??


「隼人の看病は私がつきっきりでするわ!!邪魔するなら刹那以外出てって!!」
「ビアンキ姉さん」
「ビアンキ」
「んなことしたら…治るもんも治らんぞ」
「たしかに」
『うん』
隼人くんが再起不能になるかもしれないね………お腹が


「ハハハ」
皆の頭のなかには、ビアンキに看病され、倒れる獄寺が見えた


「山本武何がおかしい?」
「え…オレ?」
「場合によっちゃあ殺すわよ…」


それにしても……皆がビアンキさんに気をとられてる間に先ほどより顔色が戻った隼人くんを見つめた

『……』
私のせいで隼人くんが……
このままここにいたら関係ない人たちまで巻き込んでしまう……
そっと皆に気がつかれないように保健室から出た

並中で1人になれるところにいきたい

『屋上なら……』



屋上についた瞬間おもいっきり空気を吸い込んだ
大丈夫、皆生きてる
私が我慢すれば……


「刹那…」
『!』
誰も気づいていないと思ったのにやっぱり私の幼馴染みは気がついてしまったらしい


『綱吉…私のせいで隼人がケガしちゃった…!』
「………」
『なんで私なんだろ……平凡に暮らしてるただの中学生なのに…!!なんだか、昔もこういうことがあった気がするの…』
私のない記憶のなかにこの想いをした気がしてならない


「刹那、」
でも、狙われてる以上はしかたがない。
私のせいでみんなが傷つくのは嫌
特に、綱吉あなただけは……



『だからさ、綱吉………』
「…ん?」
『私…ここにいないほうがいいんだと思う』
「!!?」
『これ以上のケガ人を出さないためにも…綱吉のためにも、黒曜中に行く!説得できれば説得するからさ…?それが、いま私の唯一出来ることだからさ』
「…けんな…」
薄々ただの中学生じゃないのでは?と思ってた
こんなにマフィア関係の人たちに狙われて、リボーンにも守られて………きっと私にはなにか隠されたものがある…
人を傷つけるのが嫌いなツナを巻き込む事はしたくない
そうすると、もう貴方から離れるしかないんだと思う
それなのに、なんで………?


「ふざけんな!!」
ツナはそういうと、私の肩をおもいっきりつかんできた

なんでそんなに 怒 っ て る の ?


「刹那ふざけんなよ…!本気でそんなこと思ってんのかよ…!!?刹那にとって、オレは頼りない!?」
そんな、こと、

『そんなことないよ…!』
「なら、オレを頼れよ!!オレが、守ってやるから!!
お前はオレの側にいてくれ…!!」
『でも…!!』
それだと貴方が、心優しい貴方が壊れてしまう
きっとこの後人を傷つけるのが日常になってしまうかもしれないのに…!


「俺は刹那がいないと!っ好きな女がいねぇと生きた心地がしないんだ…!!だから、頼む!!オレから離れないで…!!」
『っ!!』
好きな、女…?
綱吉が私を?
ぎゅっと抱き締めてくる綱吉に私は抜け出すこともできなくて…

『ま、まって、』
「なに」
『い、いきなり、すきだなんて…』
「は?いつも刹那のこと思ってたよ俺」
『へっ』
「あの頃から、俺の好きな女の子は刹那だけだ」

そんなこと言われるとは思わなかった私は状況判断能力が鈍ってるかもしれない
こんなに、幸せなことってあるだろうか
さっきまで離れようと、我慢してこの想いに蓋をして離れようとしたのに…………
だから綱吉は狡いんだ


「今度は俺が刹那を守るから……俺の恋人になってくれる…?」
『…綱吉にとって私は重りになるかもしれないよ?』
「どうってことない」
『いっぱい苦手なことも起こるかもしれないよ!?』
「刹那が一緒なら問題ない」
『綱吉……』
「ね?刹那……返事は?」
綱吉、私もね、私………も

『綱吉の事好きだよ』
だからごめんね?
貴方が嫌なことを沢山させるかもしれない
貴方を困らせてしまうかもしれない
だけど、お願い……一緒にいさせてください


『恋人、に、してください』
「泣くなよ…刹那」
『だって…綱吉が嬉しいことばっかり言うから…!』
「はいはい」
ツナは微笑みながら、私の頭を撫でてくる
ふと抱き締められていた力が緩んできた
何があったのかと思って視線を上げたら、すぐそこにツナの顔が………え、ま、まって!!

「ちゃおっス」
「…リボーン…空気読め」
「知るか」
あ、危なかったぁ!!
リボーンが来なかったら今頃……………キス?されそうだったよね…
ありがとうリボーン…!まだ心の準備ができてなかったから助かったよ……ってあれ?



『…リボーン、なにそれ?』
「レオンがやっと静まってマユになったぞ」
『マユ?』
リボーンが乗っていた白い物体はレオンだったのか……


「つーか、こっちは大変だったってのに、何してたんだよ」
リボーンはマユから飛び降りた

「イタリアでおきた集団脱獄調べてたんだ」
「脱獄?」
「ああ、2週間前に大罪を犯した、凶悪なマフィアばかりを収容している監獄で脱獄事件がおきたんだ。脱獄犯は看守と他の囚人をみな殺しにしやがった。その後、マフィアの情報網で脱獄の主犯はムクロという少年で、部下2人と日本に向かったという、足どりがつかめたんだ。そして黒曜中に3人の帰国子女が転入し、あっという間に不良をしめたのが、10日前のことだ。リーダーの名を六道骸」
「まさか」
『ムクロって…もしかして同じ人!?』
リボーンはコクリと頭を下げた
ということは、同一人物ってことだよね?

「そいつが並中狙ってるのか」
『やっぱり、相手はマフィアなんだね…』
「逆だぞ、奴らはマフィアを追放されたんだ」




同時刻の黒曜中

「ああ、千種ですか?」
柿本はその場に倒れた

「!おや、当たりが出ましたね」
「千種きましたー?あら!っひゃーだっせー!血まみれ黒コゲじゃん!レアだよレア…っひゃ!血ぃうっまそ!」
「噛むな犬」
犬(けん)と呼ばれた男はピタリと動きを止めた

「気を失ってるだけです。ボンゴレについて何もつかまず、千種が手ぶらで帰ってくるはずがない。目を覚ますまで待ちましょう。これで刹那は、もうすぐ僕の物になる…」




突然ゾクリと背中を冷たいなにかが通るような感触を感じた

『ッ!』
「どうした?」
『大丈夫…なんでもない…』
なんだろう……寒気?

「本当か?」
『うん。それより、これからどうするの?』
「骸達を倒すしかねーな」
「勝てるのか…?」
「できなくても、やんねーとなんなくなったぞ」
「はぁ!?」
「初めておまえあてに9代目から、手紙がきたぞ」
「9代目から?」
「読むぞ?
"親愛なるボンゴレ10代目
君の成長ぶりはそこにいる家庭教師からきいてるよ。さて、君も歴代ボスがしてきたように、次のステップを踏みだす時がきたようだ。12時間以内に六道骸以下脱獄囚を捕獲。そして捕えられた人質を救出せよ。姫…刹那は、出来れば彼等をボンゴレに来るよう、説得してほしい。難しいこと言ってすまない。でも、君は世界を自由に操れる。頼んだよ…"」
「なんだよ?これ」
『私が、世界を自由に操れる?』
ただ事じゃない……まさか私に世界を操る力があるっていうの……?
もしそんな力があったなら…………自分が怖い



「追伸、成功した暁にはトマト100年分を送ろう」
「いらねーよ!!」
『ねえ、リボーン…』
「なんだ?」
『私が世界を自由に操れるってどういう意味?』
「………刹那はボンゴレのお姫様でもあり、世界のお姫様でもあるんだ」
『どういうこと?』
「お前の秘められた力で、世界を自由に自分の思うままにできるんだ。お姫様ってのは、まあ、単純に美貌だな…」
『へ?』
「まあ、あんまり気にすんな!自分自身が怖いかもしれねぇが刹那は刹那だ。元々は世界のお姫様だったとしても、今お前はツナのもんだろ?」
『っんな!!』
思わず先ほどのことを思い出して顔があつくなる

「だからな、今は次期10代目であるツナのもんだから、ボンゴレのお姫様でいーじゃねーか」
『まだツナがボスになると決まった訳じゃないよ!でも、私の力って…?』
「それはまだ教えれねー」
『…そう、なんだ』
危険な力なんだろうか……


「てか、俺ら行かねーぞ!マフィアなんかにかかわってられるか!しかも刹那は俺の彼女だ。ボンゴレでも世界のもんでもねぇ。俺の姫だからな!行くぞ、刹那」
『あっ、うん。』
は、恥ずかしい……!!いつからそんなこと言えるになったの…ツナ


「ったくリボーンのやつ…ここまでくれば、安全か」

「あら」
「あの子並中生でしょ?」
「例の事件で今日学校閉鎖したんでしょ?」
「大丈夫かしらふらついて」
井戸端会議している人達が私たちを見て、そういっていた


『…町も全然安全じゃない』
「安全な場所はもーねーな」
「! リボーン…」
リボーンはいつの間にか、塀の上にいた
……早くない?


「しかも獄寺をやった奴におまえがボスだってバレてんだ。刹那も元からバレてる。奴らは直接おまえらに狙いをつけてくるぞ」
「どーすんだよ、リボーン」
『待ち構えてるだけじゃ何もできない……』
「もう、わかってるはずだぞ」
「『!』」
「奴らがおまえらを探すためにやったことを忘れるな」
ぼろぼろになった了平先輩や草壁さん、隼人の姿に、泣いている京子の姿が浮かんだ

「おまえらが逃げれば、被害はさらに広がるぞ」
「『……』」
「そりゃあ、オレだってやつらのやり方はおかしいと思う。みんなまでまきこんで…骸って、ムカつく。でも、刹那をあんまり危ないところに連れて行きたくないんだ」
『綱吉…』
「だけど、まわりはそう思ってねーぞ」
「?」

「お! いたいた」
「オレもつれてってください!」
「え」
「今度はメガネヤローの息の根とめますんで!!今度こそ、刹那を守りきりますから!!」
「獄寺!!」
『ケガは大丈夫なの!?』
「あんなのカスリキズっすよ!!」
そんなこといいながら、フラフラしている隼人くん


「オレもいくぜツナ!今回の黒曜中のことはチビに全部きいたぜ!学校対抗のマフィアごっこだって?」
「(騙されてるぞ、山本…。)」
「私もいくわ!隼人と刹那が心配だもの」
あ、ビアンキさんまで…

「ほげーっ」
ビアンキさんを見て倒れる隼人くん
大丈夫なのか…?

「(逆効果だよ!)」
「よし、敵地にのりこむメンツはそろったな」
「勝手にきまってるし…」
「守りから攻めに転じる時だ。やつらのアジトは新国道ができてさびれた、旧国道の一角だと思われる。多分人質もそこにいるはずだ。おまえ達のよく知る人質がな」




黒曜中では、本を抱える少年が孤独のなかいたのだった―…。





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