※夢じゃない・吐く




 うええ。隣に座った丸井が吐いた。赤也がびっくりしながら丸井の背中をさする。気分が悪くなるのもわからないことはない。こんなブレまくっているビデオなんて俺も初め見た。俺も気持ちわるくなりそうじゃから目をそらしながらこのビデオを撮った本人をみた。幸村めっちゃにこにこしとる。


「どう?きれいでしょ?」


 きれいもなにもブレまくって見えん。多分幸村んちの花を撮ってるんだろうということはかろうじてわかったが。「きれいでしょ?」今度は画面の中から幸村の声が聞こえた。今さっきからガッチャンガッチャン聞こえるんじゃけどなに。これなんの音。視界に丸井をトイレに連れていく赤也が目に入った。おいおいお前で大丈夫か。あ、待ってやめて置いていかんで。


「…幸村、あと何分」
「あと5分くらいかな」


 胸の中で安堵のため息をひとつ。よかった助かった吐かずにすんだ。俺の顔は前を見ているが目線はテレビの隣に置いてあるクマの時計に。相変わらずこいつはかわいいな。ってもうお昼じゃ。お腹減った。


「幸村、5分たった」
「え、ほんと?あらま」
「…」


 いやあらまじゃねーし。ほんまこれ以上続いたら、うっ。つわりじゃつわりじゃ。「やだもう仁王、ここで吐かないでよ?だからあんなもの食べるなって言ったのに。」いやいやいやビデオ、おまえさんのビデオのせいじゃから。うえええ。




0822 オチなんてない。



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