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私は生まれた所も
親も知らない。

ただ物心つく頃から忍として育てられ、忍として生きてきた。







佐助やかすが、小太郎とは忍同士、仲がよかった

私はいくら名が知れて、いくら金を積まれても、主を持たなかった。

だがかすがや小太郎が主が出来て、少し落ち込んでいた頃、佐助と約束したんだ



「俺様も主はいらない」

「ずっと羅唯と居る」



“約束だ”と彼は言ってくれた。純粋に嬉しかった。


だが、そんな佐助にも主が出来るという話を聞いた。


「羅唯、待てよ」

『知らない、もう話すことも何もない』

「俺様の話を聞けって」

『裏切り者!!!!』


佐助の寂しそうな顔を背に私はその場を去った。




















そんな時にだった。
私は彼と出逢った。


「…おや、貴方は羅唯という忍ですね」

『お前は…明智光秀…』

「調度良い、私は貴方にお会いしたかった」


残虐に殺された死体の中に血に染まる彼を見て、私は心を奪われた。


『綺…麗…』


気付けば口に出していた。見とれている間に彼は私の目の前に来ていた。


「私の元で働かないですか?私はお前が欲しい」

『…何故……?』

「お前は血に染まった方が美しい…」


ペトリと血が付いた手で頬を撫でられ、私の頬は血で染まった。

何故だか答えは考えるよりも先に口に出ていた。


『今日からお前が私の主』














その手を色に






(お前を為なら何故か)
(私の血を流しても)
(構わないと思ったんです)




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