※学パロ。全寮制ってことで。
「寒い。寒いよ」
「…俺様はあっついんだけど」
ガクガクと震えながら、俺の布団に潜り込んでくるのは同室の侑哉。 寒いと連呼する割に体は熱い侑哉に向き直す。
「風邪ひいたんじゃないの?」
「うぅ…さすけぇ助けてよ」
「何、情けない声出してんの」
「だって、僕…死んじゃう」
「ただの風邪でしょ」
「うぅっ」
侑哉の額に手を当てながら今日一日を思い返してみる。 朝は旦那と一緒に元気に飯を食べていたし、授業も時々寝落ちるくらいでいつも通りだった。 俺が見ている限りは不調を訴えることはなさそうだ。
「何してきたの?」
「ぅう?何?」
「俺様たちと離れたのは放課後、部活の時くらいでしょ?そのとき何かあったんじゃない?」
俺の言葉を聞いて侑哉の顔からさっと血の気が更に引いた。
「何があったの?」
できるだけ優しく聞く。 それでも、侑哉は口を開かない上に器用に寝ながらふるふると首を左右に振る。
「言えないことなの?」
「…違う、思い出したくない」
「え?」
「怖かった」
「え?ちょ」
ぐっと首を引き寄せられ密着度が高まる。 あぁ、この子はもうと思いながら、背中をとんとんと叩くと、耳元でぐすぐすと言い始める。
「今日は聞かないから、寝ちゃいなさい」
「うん、ごめんね、佐助」
真夜中の子猫
で、後日何があったか聞いてみた。
「えっとね、佐助と幸村の為に家庭科室でお菓子作ってたんだ。したら、ガラス窓を破って官兵衛くんが吹っ飛んできて、そのあとを三成くんと吉継くんが入ってきて、大乱闘して、怖くて机の下に潜り込んだら、みんなが水道壊したみたいで、びしょ濡れになっちゃったんだ」
「な、なんと…」
「…はぁ…」
「すっごく怖かったんだからっ!」
「侑哉!大事がなくてよかったでござる!」
「幸村っ」
これからはちゃんと連れて歩こうかと思った瞬間でしたとさ。
2011/07/31 23:50
⇒後書き
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