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忍主と真田主従の話。 こんな感じで迎えてくれたらいいなって感じです。
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「だんなぁ〜朝だよ?」
忍の仕事とは、大分離れているが自分の主を起こしに行く。 2、3日前からそわそわしっぱなしだったからちょっと心配だ。
「佐助か、起きている」
「めずらし〜こりゃ今日は槍がふるなぁ〜」
「むっ馬鹿にするな佐助!」
「まぁまぁ、旦那落ち着いて」
「うぬ…佐助」
「なに?」
「侑哉は?帰ってきたのか?」
「またそれ?」
侑哉はうちの忍隊の密偵だ。 俺様と旦那が目をかけて育てた子。 それ故か、自分でも過保護だと思う。 俺様以上に旦那は過保護だけど…。 そんな真田軍の大事な子が密偵に行って早10日。 帰ってくる予定より少し遅いのが気がかりだった。
「佐助!それで侑哉はっ?!」
「とりあえず朝餉食べてきてよ。片付かないし」
「おいっ佐助引っ張るなっ」
「はいはい」
ずるずると旦那を引きずって朝餉を食べさせる。
実は今朝方、侑哉は帰ってきている。 途中で相手方の忍に追われ、怪我こそないものの疲労困憊だった。 戦明けの旦那ならともかく、気力満点の旦那じゃ侑哉の負担になる。 そりゃあの暑苦しい感じだしね。
「旦那?」
「なんら?さふけ?」
「食べながら喋らないで行儀悪いし。まぁそのまま聞いてよ」
「ん!」
「侑哉ね帰って来たよ」
「ぶほっ!そ、それは真かっ!」
「だんな〜汚いなぁ!噴き出さなくてもいいでしょっ!」
「す、すまぬ佐助、して侑哉はっ?」
俺様、部下なんだけどさ…旦那が尻尾振ってるようにしか見えないんだよね〜。 どっちが飼い主か分からないよ。 ぶんぶん揺れる尻尾の幻覚に頭を痛めながら告げてやる。
「いつものとこだよ、って旦那朝餉っ!!!」
「美味であったぞ佐助っ!」
「あぁ〜ごめん侑哉」
侑哉が帰ってきた。 それだけで俺は嬉しくなる。 早く、顔を見たい。 話がしたい。
「待っていてくれ侑哉っっっ!!!」
『くしゅんっ!風邪引いたかな?』
「侑哉っ!」
『うわっ?ゆ、幸村様っ!』
隊舎の屋根の上でのんびりしていたら、いきなり元気な声が聞こえて屋根から落ちそうになった。 佐助様に見られたら怒られるなぁ…。
「侑哉っ!」
『は、はいっ!』
「よく帰ってきた!」
『あ、有難う御座います』
「怪我はなかった
怪我がないか確認するために幸村様が僕の体を見ると固まった。 そういえば、返り血浴びっ放しだったっけ。 そう考えた瞬間、世界がぐわんぐわん揺れる。 任務明けには相当堪える。
「侑哉っ!どこか怪我をしたのか?痛むところはないか?うぉぉぉぉっ!!!」
『うぷっ』
「だんな、止めてやって」
「さすぅけ〜っ!!!侑哉が侑哉が怪我をぅっ!」
ぐいっと佐助様の目の前に差し出された僕に苦笑しながら口を開く。
「侑哉に怪我ないからね?侑哉?」
『ひゃ、ひゃい』
「真か?侑哉?」
『ふぁい、だいじょぶれすよ』
「そうか!それならばいいのだ!」
「まだ朝だから声自重して、旦那」
「すまぬっ」
『あははっ、なんかやっと帰ってきたって感じです』
「それは良かった〜」
「俺も侑哉が無事帰ってきてくれてよかったと思うぞ」
「旦那、破廉恥だ」
「なっ何をいうか佐助っ!」
『本当面白いな真田の家って!』
ただいま、おかえり。
2009.08.25 03:28
⇒後書き
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