※トリップ主












「なぁ?冥架ちゃん」







「好きって言って?」













「はい?」



 一瞬何が起きたのかわからず聞き返す。




「うわっ冷たい〜!」

「いきなり現れて真面目な顔で言うことですかね?」




 少し間を置いたおかげで、誰が現れたのかやっと理解できた。
 夕日に照らされても輝く橙色の鮮やかな髪を隠し、全身黒ずくめな猿飛佐助。




「仕方ないだろ?俺様これから任務なんだからさ。てか、聞こえてたじゃん」

「任務に行く前にそんな軽口叩いてないで精神でも統一してたらいいのに」

「ちょ?冥架ちゃん?!」




 目の前に居る黒ずくめの佐助を押し退けて、夕日の差す廊下に出る。
 視線を落とした廊下が橙色に染まっている。



「言葉なんか、意味ないじゃない」

「え?」

「私、はっ」




 ―貴方が居ればいい。
そんな言葉を口にしそうになるのを堪える。

 此処は戦国時代で、命を獲るか獲られるかなんて、当たり前で。

 ましてや、佐助はそういう事の最前線にいて。
腕利きの忍で。

 黒は死に近い。
あぁ命を賭けるんだなと認識する。

 それに私は面倒見てもらってる訳だし。




「簡単に、言えるわけないじゃん」

「ごめん」

「佐助」

「なに?」






好き、の変わりに




「…生きて、帰ってきて」


「ありがと、冥架」










2010.01.24. 13:09

後書き






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