※かっこいいトキヤはいません、ヤンデレドM系のみです。
 そして夢主はHAYATOのマネージャー。
色々捏造。











「どうする?今日は学園に帰るの?」

「いえ、もう遅いので…」

「ん。了解」



 午前1時。本来なら彼の年齢では労働基準に引っかかるが、HAYATOは別だ。
あれは申請で18にしてある。
まぁ今それは、どうでもいいだろう。

 疲れ切っている彼の手を引き、車の後部座席に押し込む。
助手席がいいと駄々をこねたが、誰が所属アイドルを助手席に乗せるかと一喝しておいた。



「ちゃんとシートベルトしといてよ?」

「わかっています」

「眠かったら寝てていいから」

「…はい」



 何か言いたそうだった彼を、ミラー越しに見つつ、車を出した。

 一ノ瀬トキヤ、アイドルとしてはHAYAYO。
初めて私が担当したアイドルだ。
今は、他のアイドルを担当しているが、時々、こうやって迎えに来る。
 HAYATO駆け出しの時に私と共同生活していた為、早乙女学園に帰れないときはトキヤの部屋がある私のマンションに連れて帰るのが常となっている。





「トキヤ、起きて。トキヤ」

「んぅ…もう、ですか?」

「うん。疲れてるのに悪いけど、もう少し頑張って」

「はい…冥架さん…」



 甘えるように抱き着いてくるトキヤに、肩を貸しながら車の外に出す。
その身長からしたら軽いんじゃないかと思う。
でもそれを言うと、まだまだとさらに絞り出しそうだから、胸にしまっておこうと思う。
 鍵を閉め、マンションの中に入ろうとすると、手をつなごうとするトキヤ。



「トキヤ」

「すみません、でも」

「どこで誰が見てるかわからないって言ってるでしょ」

「でも、さっき」

「あんたが眠そうだったから引っ張ってやったの。そうでもしないと、動かないでしょ」

「……」

「あーもー部屋までの間くらい我慢なさい」

「…はい」



 トキヤの背中を押しながら、オートロックを開けて、エレベーターに乗る。
無言なのは気まずいが、変なことになるよりは、断然ましだ。
週刊誌もみ消すのは骨が折れる。



「ほれ、入れ」

「…ただいま、帰りました」

「おかえり」



 先に玄関に押し込むと、律儀に挨拶するトキヤに返事を返してやる。
すると、驚いた表情をしながら振り返ってきた。



「なによ、ここもトキヤの家でしょ?」

「…っ…」

「はいはい、よしよし、とりあえず、中入ろう」




 一ノ瀬トキヤは脆い。
HAYATOであることにプレッシャーも感じている。
これが、学園ではお高く留まるというんだから謎だ。
 そして、私と恋人同士にあるのも謎だ。



 宥めながら、リビングに移動する。
一緒にソファーに座ると私の腹あたりに抱き着いてくる。
跳ねた髪の毛を撫でながら話しかける。



「トキヤ、学園はどう?」

「…はい、それなりに」

「そう、そういえば卒業オーディションはどうしてるの?パートナーとは仲良くしてるの?」

「はい、彼女の曲は素晴らしいです」

「そう、一度会ってみたいな。トキヤが手放しで褒めるなんてそうそうないもの。どんな子なのかしら」

「…嫉妬、してはくれないんですね」

「したところで、顔も何も知らないもの。疲れるだけじゃない。それに、トキヤはその子のこと好きになったの?」

「そんなことっあるわけない」




 いきなり、起き上がったと思えばソファーに押し倒された。
泣きそうな表情で見下ろしてくるトキヤに心の中で呆れる。
泣きたいのはこっちの方だ。



「なら、それでいいじゃない。態々泣きそうになることしなくてもいいの。私はトキヤが好き。トキヤも私が好きでいいじゃない」

「…はい、ごめんなさい」

「その子のことはまた今度聞くわ」

「はい」

「今日はもう遅いから寝ましょう」

「…あの」

「いいよ、シテも」




 どうせ明日はオフだ。
HAYATOも学生も頑張ってるトキヤにはご褒美が必要だろう。
私がご褒美なんかになるのかは謎だけれど。






2012/06/12 13:31

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