※一人称が私な男主。 音也の苦手な物とかトラウマ捏造。
不意に光る空。 時期特有というべきか、暗雲が稲光を呼んだ様だ。 あぁ、と言葉を漏らすと一段と空が光り轟音が耳に突き刺さった。
響いた轟音に紛れて無機質な機械音が部屋に響く。 音のした物を手にすれば、メールが届いてた。
ねぇ?そっちに行っていい?
完結かつ短文で送られてきたそれ。 返信しようかと思った瞬間、部屋の扉が開いた。 返信も受け取らず駆け寄ってくるメールの相手に苦笑した。
「音也」
「あっ!うん、ごめんっでも」
「おいで」
「っ!結斗」
「今日のはとびきりだな」
茶化す様な言葉にも返す余裕は無いようで、しっかりと私の身体にしがみつく様は小さな子供に見えた。 そんな姿に苦笑しながら、ゆっくりと音也の頭を撫でてやるとすんすんと鼻をならす。
「そんなに、怖いか?」
「…うん。怖い、よ」
「…そうか」
「ねぇ…」
「なんだ?」
「結斗は、俺の前から、居なくならない、よね?」
不安げに揺れる音也の瞳。 今にも消えてしまいそうな印象を持たせる。 普段の彼からは想像もつかない。
「俺、結斗が居なくなるのが、一番怖い。いつも、雷は、俺の大切な物を奪うから…結斗は居なくならないで…お願い」
「あぁ、私は居なくならない。居なくならないよ」
「っ…約束、だからっ」
「約束、する」
自然と重なる唇。 願わくば、轟音が轟くのが音也に聞こえない位に溺れさせてやりたいと思った。
雷に溺れる
2012/05/19 2:46
⇒後書き
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