「どうか、しましたか?」
「え?げっ」
入学したてで、校内の位置関係把握を一応しようと散策していた。
屋上、空中庭園だったか。そこまで来たとき、ベンチでうなだれている人が見えた。 何時もだったら気にする筈は無かった。けど、気が付けば冒頭に至っていた。
―げっ?心配して声を掛けたって言うのに。それに人の顔見てその反応はなんなんだ?
不快感が込み上げてくる。それと同時に後悔していた。 ネクタイの色が違う、から上級生。入学早々、目を付けられたら面倒だ。 そう思って立ち去ろうとすると
「あっ!待って」
腕を捕まれた。 得体の知れない相手なのに何故か振りほどけなかった。
「あ、あの」
「なんですか?」
「君、木ノ瀬梓くんだよね?」
「だったらなんなんですか?」
僕の事、知ってたのか。あの反応に納得がいった。
「君、弓道辞めないほうがいいよ」
「…なんなんですか貴方?失礼にも程があります」
「ごめん、でも、君には弓道を続けてほしいんだ」
もう一度ごめんと告げると、彼は掴んでいた腕を離し去っていった。
ふぁーすといんぷれっしょん
変に予言者めいた出会い
「何だったんだ?」
ふと、ベンチを見ればノートが置いてあった。
そこには神崎結斗と書いてあった。
2010.05.30. 01:43
⇒後書き
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