彼はいつもぶっきらぼうで

なかなか話してもくれないし

なかなか目もあわせてくれない

別に付き合ってる訳じゃないけど。


「会長―…つまんないよ」

「授業に戻ったらどうだ」


そう、今は一応授業中なのだ

メガネの奥の黒く澄んだ瞳を捉える

いや、これは澄んでるんじゃなくて奥深い深淵の闇なのかもしれない


「つまらないから授業サボってるんじゃないですか」


会長の机に座って真っ正面から彼を見ても

彼は私を見つめ返す事はない


最初はヤキモキしてたけど

もう慣れちゃったよ、




「会長ぉ―」

「…」


やはり、彼はもう私の事など忘れてしまったかのように本を読みふけっている

静かなページをめくる音と

遠くの方で体育の授業の声だけが響いている





空は青く高く

日差しはまるで彼のためにあるかのように

惜し気もなく彼にそれを注いでいた






美しいと思う

神々しいとも言える

静かなその空気に鎮座する彼が

陽の光をキラキラと反射する髪が

ページをめくる指先が

まるで絶滅危惧種のように儚く感じる




そんな時ほど

彼を遠くに感じてしまうのは

何故なのだろう










こんなにも苦しくて

こんなにも愛しいのに

ちょっと目を話したらそのスキに

何処かに行ってしましそうで…











不意に伸ばした私の手に彼は

何千年も前から決まっていたかの様に


キスをした

















「俺の事が好きだからいつもサボってるんだろ?」

「ちっ、ちがっ…!!」









ゆびさきにキス様へ
tune 耀華より






+
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -