ありがとうって、言えないよな、なかなか。
だっていつも静かな奴かましてるし。
それに生徒会長ともあろう俺が!
年下の役立たずでドジで間抜けでアホで…
いや、そんなところがちょっと可愛かったりとか…昼寝してるときとか、あいつ以外とまつげ長いんだなとか…ホラあの、この間の屋上の時とか…木の上登った時とか…たまにドキッとするくらいで…
いや違うんだ!!別にそう言うんじゃなくて!俺によく付いてくるしなんかなつかれてるし?まぁ俺は迷惑だけどな!何より読書の邪魔だし!
…そいやあいつ俺が折角勉強教えてやるとか言ってやったのに今日学校来てないな…
なんでわかるかって?
来たらすぐ俺のところに来るからだよ。
全く頭悪いんだから授業出ろってんだ。
……………
風邪でもひいたのかなぁ…
なんとかは風邪引かないっていうけどなぁ…
夏風邪かな…熱なら冷たいものだよな。
アイスでも買ったら喜ぶだろうか…
……
そうだっ…別に俺が買わなくたって親が買うだろうさ!もう全く!!
あいつがいないせいでソワソワする!!
いつもより、静かだし。
いつもより、つ…つまらない
………
む?廊下が騒がしい。
この学園の奴等は走るなと何回言ったら解るんだ!
一睨み効かせてやろうと会長席を立ち上がりドアに手を掛けた瞬間、俺が捻るよりも早くにドアが開く
「い゛っ……」
ドアが俺の額と鼻に激突する
誰だ…殺してやる…
「か、会長ぉ〜」
「お前今日休みじゃなかったのか!」
噂をすれば影ってやつだ。
「会長にどうしても会いたくて来ちゃった☆」
「お前気色悪いな…」
そういえばこいつは額にジェルシートを貼って、なんだか顔が赤いしなんとなく足元もおぼつかない
一言で言えば、ふにゃっとしてる。
「会長ぉお〜」
「やめろ引っ付くな!只でさえ暑いのに!」
出会った頃は突き飛ばせただろう腕を、今の俺は引き剥がせない。
「とりあえず座れ」
「つれてって♪」
自分一人で歩け。とも言えない
こんな自分を、俺は知らない
知らない。
「会長ぉお〜」
「…なんだ」
「…ありがとう、ございます」
彼女が眠りに落ちる寸前、俺にいつもより火照ってふにゃりとした笑顔で呟くその
刹那
また、知らないざわめきが俺を満たす
大丈夫だきっと。
まだ俺は気づいてないんだ…!
end.
指先にキス様へ
tune 耀華より
妄想を膨らませすぎた結果こんなことに…w