ガタンゴトン



目に見えない迷路をさ迷って、僕は行き着く所まで来てしまったようだ。



ガタンゴトン、ゴトンガタン、




列車は揺れる

夕焼けだった列車の外はいつの間にか星の海の中を走っていた


ガタンゴトン、ゴトンガタン、


あぁ、これが宮沢賢治の世界なのか


ダイヤよりも輝く、白く光るすすきの間を抜け、

どこまでも、遠く高く、


カムパネルラの行った所へ

僕も連れていってくれないか…



ガタンゴトン、ゴトンガタン、


気がつくと、向かいの席に女の子が座っていた

そう、この子は僕を知っている
僕はこの子を知っている

何故って、僕の恋人だから。

僕の恋人。

雪のように白い肌
空気の様に透き通る髪

僕の大切な人。


それでも僕は叫んだ
どうして君がこんな所にいるんだい?今すぐ帰って!!

すると彼女は答えた
貴方とずっと一緒にいたいの。だから私は此処にいる

すらりと伸びた細い腕が僕の腕に絡み付く

堪らなく愛しくて僕は彼女の頭に腕を回した


ガタンゴトン、ゴトンガタン、


列車は揺れる


しばらくそうして、僕らは窓の外を流れる雁の群れに出会った

流れ星が落ちるように、虹色の雁を目で追う

その向こう側を宇宙(ソラ)を包み込むほど大きな白鳥が列車とは反対方向に飛んで行く

しっかり抱き合っていたハズの彼女が震えている気がして目を下ろすと、彼女は泣いていた

それはそれは綺麗な涙だった



ガタンゴトン、ゴトンガタン、



彼女は叫ぶ

「嗚呼、あの雁の様に自由に宇宙(ソラ)を飛べたなら…!!あの白鳥のように宇宙を包み込むことが出来たなら…!!」


声を枯らして彼女は叫ぶ

風で弾ける涙は窓の外に流れていく


ガタンゴトン、ゴトンガタン、


彼女が窓の外に手を伸ばす

その姿が美しくて、僕は何も出来ず、何も言えなくなった、



ガタンゴトン、ゴトンガタン、







彼女は消えた











それはそれは綺麗な快晴で、

ベッドのシーツはまるで白鳥のようでした

「あの雁の様に自由に宇宙(ソラ)を飛べたなら…あの白鳥のように宇宙を包み込むことが出来たなら…何処までも貴方と一緒に行けたのに…」







fin



はちみつれもん様へ
tune:耀華より


一周年おめでとうございます☆

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