もし明日世界が滅ぶとしたら何をしよう。
ベッドの上でなまえの裸体を縫い付けながら、そんな無益なことを考えた。
可能性としては、明日世界が滅ぶことだって0%とは言い切れない。



「明日、地球が亡くなればいいのにな...なまえ」

「んっ、何言って...」





なまえは明日、ラオコット島に旅立つ。







「ちょっ...こうじろっ...!」

「時間がない」

「そ、だけど...も...」





明日までの数時間。本来ならば旅立ちの為に早く休んだ方が良い。
俺としても、彼女に無理はさせたくない。
だが。

彼女がライオコット島に行くということは、なまえと長い間離れいなくてはいけないということだ。
なら、不謹慎だけれども世界が滅んだ方が良いと思う。
別に離れていたって死ぬ訳ではないし、そこまでくっついて居なければ我慢がならない程、子供じゃない。
でも、自分にとって大事な人がいざというときに近くに居ないというのは、どこか落ち着かない感じがするのだ。
俺は明日から、その落ち着きのない生活に身を投じねばならない。



香り立つなまえの肌も、この熱も。
全て脳の奥に叩き込んでおきたい。


苦しそうにシーツを握りしめるなまえの手に自分の掌を重ねる。
荒い息を耳元で聞きながら彼女の首もとに顔を埋めた。
こういった僅かな瞬間でいい。この一瞬が幸せなのに、
明日からはしばらくそれもお預けだ。なんだか胃が痛くなってくる。




「私っ...明日朝早い..ん、だけど...!!」

「すまん...だが止められん」

「ぅあっ..もうっ....!」

「なまえ」

「幸...次郎、」




柔らかな胸も、しなやかな肢体も。
彼女を作り上げる全てをこの手の中におさめてしまえたらどれだけ幸せなことだろうか。
控えめに主張する胸の飾りを口に含むと、なまえの身体が小さく震えた。
必死に声を押さえようと、自分の手首を噛んでいた。
行為の時によくするなまえの癖だ。




「声...押さえるな」

「んっ..あ、」



いつもなら強要しないのだが、今回ばかりはそうも言っていられない。
もっと声を聞いていたい。
未だ知らない声。俺しか、聞けない声を。
身体のラインを指でなぞると聞こえてくるその甘い音を。

鎖骨から胸、そして腹部にまで至る赤い刺青を残す。
明日なまえが発見したらきっと電話越しにでも酷く怒られるだろう。それを考えると苦笑いが浮かんでくる。
だが、この赤いふしだらな痕が俺となまえを繋ぐ。
一週間もすればそれは消えてしまうかもしれないが、やらずにはいられないのだ。




「ゃっ...は、ぁっ...!!」



止めどなく蜜を溢れさせるソコに舌を這わせた。
なまえは与えられるこの感覚から逃れようとしたが、腰を掴みそれを阻止して指をねじ込む。
内壁を擦るようにしていると、中から更に蜜が溢れてきた。
自分のだ液と彼女の蜜が混ざり合い、ぐちゃぐちゃという音が部屋に響く。
淫猥で、それでいてどことなく心地よい。




いつもより少しばかり乱暴にしているかもしれない。
けれども、怯える彼女の表情ですら今の自分を煽ってしまう。



「こら、逃げるんじゃない」

「やっ!!!ぅぁっ、ァッ...!!」


逃げる彼女を叱るように、陰核を甘噛みするとその身体がビクリと跳ね上がった。
中をかき回していた指がぎゅう、と数回にわたって締め付けられる。




「んんっ..ぅー...」



涙目になっているなまえに口づけを落とす。
もう殆ど貪るようにして、彼女の口腔を自らの舌で荒し回った。
あまりにも執拗な口づけに、なまえが酸素を求めるように首を反らすが、それすらも許さなかった。




「今日の、ぁ...こうじろっ...怖、い...」

「すまない」



二度目の謝罪をしつつ、まだ息が荒い彼女の上半身を抱き上げて自分の上に座らせようとする。
猛った自身を未だにひくつくソコに当てると、なまえの顔が一層赤くなった。



「やっ...待っ...!!」

「もう十分待った」

「やっぱ今日の幸次郎、へ..ん...、ふぁっ!」



なまえの制止を振り切って腰を押し進めようとするあたり、自分にも余裕がないと思う。
騎乗で責められるのに弱いなまえはいつだって、しがみつくように俺の首に腕をまわす。
こうやって抱かれることも悪くないし、むしろ好きだ。
言葉よりも直に感情が伝わるようで、本当の意味で繋がっている感覚になる。



「...お前は、わかってないんだな」

「何がっ...!」

「何でもないさ...ほら、集中しろ。でないと...、」

「ひゃっ!!!やっ、あ、あぁ、っんッ!!!」



半ば強引に腰を進めると、なまえは腕に回した力を強めてきた。
背中に立てられた彼女の爪の、その一つ一つにさえ反応してしまう。
出発してしまう前に『刻みつけさせてくれ』、だなんて、まさかそんなことなど言えたものではない。


明日世界が滅びようが滅びまいが。
なまえの存在を、身体を、この瞬間に刻み付けておきたい。
なまえと出会ってから、どうも寂しがり屋と分類される人間になった気さえする。



いっそ寂しさの数だけなまえに吐き出してしまおうか。
この不確定で不加算の感情を。





「ぁっ、あ、あ...こうじろっ、幸、次郎...!」

「っ...ああ...もっとだ..もっと...」




『聞かせてくれ』、という言葉を飲込んで、なまえの耳を唇で噛んだ。
弱点のうちの一つを責められ、なまえのナカがぎゅうと一層締まる。



「んぁ!!」

「っ...!」



再びなまえを押し倒して組み敷いた。
やはり明日の事を考えると、あまり負担をかけられない。



どれだけ願っても、彼女が明日には旅立つというのは変えようがない事実だ。
ネオジャパンに居てくれたらどれだけ善かったことか。
だが、なまえを想う立場としては、彼女を束縛するような言葉など言えない。
なまえがイナズマジャパンと共に世界を目の当たりにするのは悔しいが、なまえが心から楽しんでくれればそれが善い。
それで、良い。




「寂し、いよ...幸次ろっ...!んっ..!あ、ぁっ、あああッ!!」

「!!、...なまえ...!!」




初めて聞いた彼女の弱音に、心臓が抉り取られる気がした。
一気に締まったその暖かい肉壁に耐え切れず、俺も絶頂を迎えた。
ギリギリになって取り出したそれから吐き出された体液が、彼女の腹部を白く穢した。



ああこの寂しさは俺もなまえも共通のもので、
それこそ地球が滅ぼうが滅ぶまいが、それでも明日は否応なしに来てしまう。
ならば今この時だけはせめて繋がっていられるように。












やがて終わる夜を名残惜しみながら、全ての仕草に愛を捧ごう










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