「そこまで!」



簡単なミニゲームを終えて、監督の練習終了の合図がグラウンドに鳴り響いた。
選手それぞれ動きをとめ、息を整える者やすいぶんを補給する者が出始める。
普段なら俺は個人練習を始めるのだが、今日は別だ。
きょろきょろと視線をさまよわせると、すぐに目当ての人物が見つかった。
あいつだ。




「よぉ」

「あ、えーと...」

「不動明王」

「そうそう不動君。おつかれ」



おそらく鬼道の所に行く途中だった少女――みょうじに話かけた。
彼女は他の選手にも見せるような笑顔で俺に笑いかける。
俺に対しての不信感や怯えを一切見せない。

俺は口角を少しつり上げてみょうじの手首を掴んだ。




「?...ごめんね不動君。わたし、マネージャーじゃないからタオルとか持ってないんだけど」

「そんなこたァわかってる。お前に用があんだよ」

「用って?」

「野暮なこと聞くんじゃねぇ」

「....ああ」



アレね、もう不動くんにも伝わってるんだあ、と能天気に言いながら、さして表情を変えずに着いてくるみょうじ。
途中で他の選手たちとすれ違ったが、皆用件をわかっているようで、別段興味も持たれなかった。
この女と、他の選手が...男が一緒にいるときの用件なんてただ一つだ。




クーラーの効いた建物内に入り、廊下を抜けて脱衣所を目指す。
個室のシャワールームが完備されているこの施設だが、部屋にも一応ついているのでココを使うのは初めてだ。
脱衣所の扉を開けてみょうじを床の上に座らせた。
ちょこんと座る彼女の前に立ちふさがって見下すと、みょうじはヘラっと笑った。
そしてそのまま、おもむろに制服のシャツのボタンを外し始めた。




「不動くんがこんなことに興味あるとは思わなかったなあ」

「まーな。俺も男ってやつだぜ?」

「なんか不動くんってさ、もっと綺麗なお姉さんとかとしかやんないのかと思ってた。わたしみたいなちんちくりんなんて、相手にしないのかなって」

「そうか?」


自らボタンを外すみょうじの手を取ってその所作をやめさせる。
俺はどちらかと言うと脱がせたいんだよな、と言ってやると、
そうだと思った、と笑うので、彼女の笑顔を少しでも歪ませようと思って、
押し倒してシャツの合わせを思いっきり引っぱり、ボタンを引きちぎった。
みょうじは少し驚いた顔付きになったが、(まあ予想通りといえばそうだが)悲鳴を上げたり抵抗したりする様子は全くない。

スカートもパンツもはぎ取り、まっさらな身体になったみょうじは予想以上に綺麗だった。
ただ、健康的な肌色をした首もとに、赤くただれた痕が残っていることが少し不愉快だった。おそらくこれは鬼道がつけた痕だろう。
それを鼻で笑うとみょうじは曖昧な表情をして視線を反らした。



「噂は本当だったんだな」

「じゃなきゃ、こんなことはしてないよ」

「そういう意味じゃねぇよ...でも、ま、可愛い顔してえげつねぇことやってんだなァ、みょうじちゃんもよぉ」

「えげつないって...」

「えげつねぇだろ。サッカーが出来ないかわりにこうやって穴埋めしてんだからよ」

「!?」

「知ってるぜ、お前のこと」




ワイシャツを引きちぎろうが、全裸にされようが動揺しなかったコイツが、初めて焦りや不安といった表情を見せた。
俺はソレをみて少し満足すると、ニーハイソックスを脱がせて、彼女の左膝にある少し大きな傷跡を指でなぞった。



「あ、ソレは...」

「ジュニアじゃ有名だったなぁ。女ですげーMFがいるってよ」

「ッ....」

「今じゃだーれも覚えちゃいねぇけどよ、俺は忘れてねえんだぜ?あるときを境にぱったりと試合から姿を消しちまいやがった。風の噂じゃ故障してピッチに立てなくなったってな」

「それ...わ、たしじゃ..ないよ...」

「いや、お前だ。忘れるわけねぇ。お前と俺は一度会ってる」

「!」

「忘れねえぞ...お前に負けたときのことはなァ!」



ニヤっと舌を出して笑ってやると、柄にもなくアイツが怯えるもんだから、
そのままみょうじの首筋を舐めてやると、少し抵抗するそぶりを見せた。
膝の傷跡に這わせていた指を、そのまま太ももにずらせた。


みょうじは顔をそらせたが、強引にこっちに向かせて唇を重ねて口内を犯した。



「怪我だかなんだか知らねぇが、勝手に姿を消しやがって..結構探したんだぜ?こんな所で会えるなんて思ってなかっけどなァ!」

「んぁっ!痛いっ、痛いよ!ふどうく...!」

「ったく...女に負けたってだけで腹が立ったのに、そいつともう戦えねぇんだからもっと腹が立ったぜ」

「ひゃっ、あっ、あ、ッん、あぅ」


全く濡れてなかったそこにいきなり指を二本突き立てると、みょうじは痛がって逃れようとしたが、腰を捉えてそれをさせなかった。
抜き差しを繰り返しているうちにじわじわと潤滑油が滲んできて、すこし滑りが良くなり始めると、悲鳴も嬌声に変わり始めた。



「まだ痛えかよ」

「も、へい..き....んぁっ」

「はっ...そうか」



痛んでいたのはその左足にはしる傷のことだったのか、それとも乾いていたそこだったのか。
もうすっかりぐずぐずになったそこから指を引き抜くと、透明な糸が指と入り口とをつないだ。
ソレを見せつけるように舐めとると、みょうじは恥ずかしそうにしてまた顔を反らした。
面白い。
こいつは明らかに俺に対して引け目や怯えを抱いている。
さっきまでは全く抵抗や恐れを見せなかったのに、自分の過去を知る人間に出会って戸惑っているようだった。


自分のズボンを下げて、いきりたったモノをみょうじのぐずぐずのそこに宛てがう。
入り口に少し当てるだけでみょうじの身体がピクン、と跳ねた。



「ずいぶん感じやすい身体なんだなァ、なまえちゃんは」

「....」

「黙んな、よっ」

「ッはぅ....!」



みょうじの腰を掴んで一気に自身を押し込めた。
ぬかるんだみょうじの中が気持ちよくて腰が勝手に動いた。
前後にユルく動かしたり、素早く動かしたりしているうちにみょうじの嬌声がどんどんと大きくなる。
改めてみると、みょうじはかなり綺麗な顔をしていることがわかった。
綺麗な顔に綺麗な身体。その足にある大きな傷。



「みょうじ、っ...」

「やぁあああっ!、不動君、ふど、くっ」

「明王で、いいッ...」

「あ、きぉ!んっ、あきおくっ、、、ぅ、ん!」

「なぁ、こんなこと...もう、やめちまえよッ....!」

「!」

「お前、....本当は、馬鹿じゃないんだろ?」



ニヤっと笑ってやれば、みょうじは目を見開いて俺を見上げた。
コイツがチームの男ども中からなんて呼ばれているかは知っていた。
『みょうじさんは馬鹿』というのが彼らのなかでは"常識"だった。
"このチームに着いて行くために身体を差し出す女"
ただそれだけだと思われていた。

だが、俺は知っていた。
コイツは馬鹿じゃない。
本当に馬鹿な女がどんな女か俺は知っている。

しかし....



「フィールド上のお前はすげぇ女だったなァ」



ピストンのスピードを緩めることなくつぶやく。


そうだ。


ピッチの上でのみょうじは
誰にも負けないような素晴らしいボディバランスを持っていた。
判断力もゲームメイクの能力も、スピードや技だって鬼道や俺と劣らない、むしろ俺たち以上の実力を持っていたやつだった。
ピッチで見たアイツの瞳は輝きがあった。

今はただ深い哀しみの色をしているだけだ。
深い色をした瞳で俺を見つめている。
その瞳で身体を差し出しているだけだ。
本心でこうしているわけじゃない。



「なにをっ...言うのっ...やっ、あ、」

「そのまんまの意味、だ」

「..あ、きおく、ぅ....!」

「イくか?」



こくこくと首を縦に振るみょうじの再奥をがつん、とついてやると
その中がぎゅうぎゅうと俺を締め付けた。


中で白い液体が弾けるのを感じたとき、みょうじの深い色の瞳から一筋の涙がこぼれ落ちた。





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