シャワールームに入ってからみょうじをロッカーに押し付ける。
着用していた制服のワイシャツのボタンをゆっくりと外していくと
みょうじのすべらかな肌が露になって行った。
肌が露になっていく度に、羞恥のためか顔を赤くして顔を反らす。




「今更恥ずかしがってんなよ」

「べ、つに...恥ずかしがってなんか」

「じゃあ目反らすな」

「...」



目を伏せて俺の一挙一動を見ないようにしていたが、
あごに手をかけて強引に目を合わせた。
うつろな目には変わりなかったが、わずかに涙を滲ませて熱っぽい目線を送ってきた。
以前にこいつを抱いた時はただへらへらと笑うか無表情に喘ぐだけだったが今は違う。
何か、熱情を持って。
僅かな気持ちの変化が、みょうじの中にある。



「ふど...」

「明王だって。何度も言わせんな」

「あきお、くん...」

「ん」

「んぅ...」




触れ合うだけのキスからお互いの舌を堪能するように深く絡ませ合う。
こんなにキスを深くすることなんてあっただろうか。
女を抱くなんて初めての行為じゃないはずなのに、
なぜか。


みょうじには。


...いや、なまえには。





僅かな、おそらくこいつと付き合いの長い鬼道にさえわからない程度の感情の揺れを感じる度に、恐ろしいまでの"生"を感じた。






―..こいつを抱いたのは最初はただの好奇心だったのではないか...。

いや、きっと昔から。
初めて会った時から、なまえにずっと魅かれていたのかもしれない。
フィールドを駆け回っていた、綺麗ななまえを手に入れたいと思っていたのも確かだ。
あの綺麗な生き生きとした表情を一度でも自分に向けてもらえたらと、思っていたのだ。


だが実際はどうだ。
あの顔は、あの表情は。
...自分の母親を連想させるような、あの深い哀しみの色は。


...サッカーを奪われてから、おそらくコイツは一度死んだのだ。
欲や哀しみや嫉妬や羨望それら全て、人間らしさの全てを押し殺してただ笑うようになったのだろう。馬鹿だと、呼ばれるように努めていたのだろう。

そうでもしなければ壊れてしまう自身をなんとか繋ぎ止めるために。








「ははっ...濡れてんじゃねぇか」

「ぅ...」




スカートの中の下着に手を忍ばせてソコを確認する。
下着の上からでもわかるほどに湿り気を帯びていて、横から指を入れるとヌルリとした。
なまえの奥が俺の指を誘うように飲みこむ。

相変わらずなまえの身体をロッカーに押し付けたままにして、
俺はしゃがみ込んでなまえのソコに顔を近づけた。



「やめっ...」

「別に初めてじゃねえだろ...」



濡れた下着に手をかけて足下まで一気におろす。不思議なほどに恥じらいを見せるなまえの姿に思わず笑みが漏れた。



「おら、片足あげろ」

「ん...」



素直に要求に応じて上げられた足から下着を抜いた。が、下着はもう片方の足下に引っかかったままだ。
それに気にする事なく、ぐじぐじと指を動かすとなまえはピクリと腰を振るわせた。
指の動きに合わせて、控えめに主張をしているクリトリスを舐めてやると太ももまでもが震え始めた。



「ゃ、あ、きもちぃっ...」

「膝から力が抜けてきてるぜ?なまえチャンよぉ」

「だ、だってっ...!」

「しっかり立たねぇと、指が奥に刺さっちまうだろ」

「ぁんっ!」




なまえ膝ががくがくと震え始め、おそらく限界が近いのだろうということを俺に告げる。
しかしそれで倒れ込むのを赦してしまおうという気持ちは俺にはない。
あえて立たせてなまえを追いつめる。
見上げると、ロッカーに手のひらを押し付けてなんとか耐えようとするなまえの姿があった。




「いっ...!」

「おっと」



絶頂にいきかけたのを見て指の動きを止めた。
動かされずにただそこに入っている指を駆り立てるように内壁がきゅうきゅうと動く。
限界まで涙を目に溜めたなまえが俺をみおろして口だけで「なんで」と言った。






「...明日、試合出ろ」

「...!」

「で、今度は鬼道じゃなくて俺と組めよ」

「な、何言って...」

「なまえ」

「っ...」

「イヤだなんて言わせる気はねぇから」

「あっ...はっ....!!」



ズボンから猛った自身を取り出して、蜜がしたたるソコに押し当てた。
どうにか返す言葉を探そうとしているなまえの口を噤ませるようにキスをして、
いっきにソレを押し込む。




「あ...ぁっ....!」






休憩時間はあと8分で終わる。
なんて淫らで不純な行為なのだろうか。






今まで俺は女の数をこなせばこなすほど、
肉の海に溺れているだけにすぎないような気がしていた。
けれど、なまえはその肉の海の向こう側の、
極めて白く、象牙なんかとも比べものにならないような輝きを持っていた。



じゅぷじゅぷと体液が混ざり合う音と俺たちの律動が重なり合う。



「ん、ぁ、あ、きお君...!」


なまえが右手を俺に向かって伸ばした。
伸びた手は俺の背中へと回され、少し伸びた爪が立てられた。
ほんのわずかな痛みが背中を走る。
それだけでゾクゾクとした。
他の女ではこんな事なかった、のだが。


「抱きしめてやろーか?」

「...」


口の端をつり上げてニヤリと笑いかける。
見る限りでは、なるべく平静を装っているようで、
でもそれを隠しきれなくなる程の激情が二つの肉体の間を支配する。

壊してもいいから只、なまえをこの手に納めたくて仕方ない




性感帯を刺激する度に小さく上がる悲鳴のような声に自分が陶酔していくのがわかる。







「やっ..あ、ぁっ..明王くんっ...も、もぉっ....!」

「イけよっ...!」

「ひゃっ...いやあぁっっ!!!」






びくん、と身体が跳ねて俺の背中にまわされた手に力が加わった。
それと同時に俺もなまえを抱く腕に力が入る。


絶頂に達してトロンとした目を俺に向けるなまえ。
その目は少し疲れていて、確かに力はあまりない。
しかし、死んだような、力ない瞳から徐々に感情がにじみ出てきている。




(...そんな顔すんのなんてやめちまえ)








もっと俺の前で、あのときのように。
あのときのお前に会う為に。





(早く、お前を)


手に入れる為に。





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