※捏造いとこ設定






「ただいま、明王」



家の扉を開けてもそこには誰もいなかった。

事情があって、明王はいとこであるわたしの家に住んでいる。
彼のお母さん(つまりわたしのおばさん)は昼も夜も働き詰めていたため、
明王が我が家にくる事になったのだ。

そうはいっても、ウチの両親も共働きなのであまり家には居ないのだが。
同年代でも、いとこ同士二人で住めばなんとかなるだろうという親同士のもくろみもあったらしい。


「明王?」



声をかけても空の家に自分の声が響くばかりで、何も返ってこなかった。
もしかしたら彼は勝手にわたしの部屋に入って音楽とかマンガとかをあさっているのかもしれない。
いつもそうなのだ。
自分の部屋があるくせに明王はわたしの部屋に入り浸っては勝手にモノを持ち出したりいじくりまわしたりしている。



二階に上がって自分の部屋の扉を開けると、
案の定、彼はベッドの上に座っていた。めずらしく部屋も散らかっていない。
どうやらわたしのこと待っていたらしかった。



「ただいま、明王」




彼にただいま、と声をかけるもなぜだか睨みつけられた。
(いや目つきはもともと悪いから、もしかしたらこれは素なのかもしれないけど)
(それにしたってコワイ)
ぎくり、として、わたしは一瞬動きを止めた。


「また雷門かよ」

ただいま、という言葉に対しての返事はなく、そのかわりに怒気を孕んだ低い声がわたしの耳を貫いた。
張りつめた緊張感とサッカーの時よりも厳しい明王の声に、
自分がつめたい汗をかいているのがわかる。
怒気をはらんでいるくせに口元はニヤニヤと笑みを浮かべている。
とてつもなくわかりづらい。

だがこういう男なのだ、不動明王という人間は。




「そうだけど」

「ここ一週間...毎日、じゃねえか」


明王はス、と立ち上がってわたしに近づく。
じりじりと距離がつめられていった。
その威圧感に耐えられず、近づかれた分だけ引き下がるが、
すぐに壁際に追いつめられた。
それでも明王は歩みをとめない。いつもの彼から感じられる傲慢さと、そのうえにどこか狂気じみたものさえ感じ取られた。




「な、に...」

「お前わかってんの?雷門ってのはよォ、俺たちの敵だぜ?それなのになんで毎日通ったりすんのかなァ、ナナシチャンは」



勝手に雷門なんかにいっちまったやつのことを恋い慕うなんて、どうかしてんじゃねぇの?とでも言いたそうな口調でなおも近づく。
明王がくくくっと、喉を鳴らして嗤う。口の端がつりあげられて、彼の犬歯が見えた。
その口調と言い分に、怒りを覚える。
なぜわたしがそんなこと言われなくちゃいけないんだろう。
プライベートのことなんて、明王には関係ないはずなのに。
両手を握りしめて、自分よりもわずかに大きい相手にむかって声を上げた。




「明王には関係ないじゃん!」

「黙れよ!!」





がつん!と強烈な音が響いた。
明王の足がわたしのすぐ横を勢い良くかすめて、壁をけりとばす。
そっとソコに視線を合わせると、壁がへこんでいるのが確認して取れた。
その音と恐ろしさのあまり、身体がすくんでしまう。

たしかに明王は傲慢でいつも自分の思い通りにさせようとするれけれど、
いままでこんなに乱暴にされたことなんてなかった。
わたしたちは普通の、仲の良いいとこ同士だったはずだ。
なのに、なぜ?


怒りが恐怖にかわり、身体を支配する。
握りしめられた両手は解かれ、震え出した。
顔をあげると、そこにはいつものいとこの姿はなく、わたしを恐怖へと突き落と
す存在があるばかりだった。
ぎらぎらと獲物を追いつめる瞳で睨みつけられ、足がすくんで、その場にへたりこんでしまう。




明王もしゃがみ、わたしと視線をあわせる。
しかしー...


バシィ..ン!


「いっ!!」


明王の平手が、わたしの右頬を叩いた。
何がおきたのかさっぱりわからなかった。
いま、殴られた?明王に?

すぐに赤くなっていく頬。痛みに、涙があふれてくる。
叩かれた頬も痛かったが、それ以上に心が軋んでいるような気がして、痛かった。
なぜ明王がこんなことをするのかわからなくて、苦しかった。


明王が無言でわたしの両手首をとり、力任せに押し倒してきた。
フローリングの床に、身体が叩き付けられる。





痛い、 痛い




自分の両手首は見事に彼の片手に納まり、抵抗する事は許されなくなった。
おかしいな、なんでこんなことになってるんだろう?

力任せにのキャミソールを引き裂く明王。
何をされるのかようやく理解できたわたしは、
身をよじらせるが、自分より大きな身体に覆いかぶされて、どうする事もできなかった。





「やめてよ...なに、何なの...!」

「黙ってろ」

「ぅぐっ!!?」



組敷かれたまま、いつ取り出したのかわからない明王のモノを強引に口に入れられてしまった。
あまりのことに脳が状況を掴めないでいる。
初めて口にしてしまったそれを吐き出そうと、逃れようと必死で首を振ろうとするが、床と其れに挟まれて抗うことができない。
しかも結果的に、明王に刺激を与えることになっているんじゃないだろうか。
口内で徐々に其れは質量を増し始め、喉に突き刺さりはじめた。


「ぐぅ、ふぁああっ!!」

「どーした?助けてもらいたいか?なら呼べよ。お前が好きなヤツの名前をなぁ!」




あまりに横暴な言葉に、抵抗することも忘れて黙りこんでしまう。
目を見開いて明王を見上げると、やはり冷たい目でわたしを睨みつけたまま、答えを待っているようだった。
目がじわりと潤んで、つるりと涙が流れ落ちた。





悲しい



哀しい....







明王はニヤリとわらって、わたしの口から自分のものを引き抜いた。
やっと解放されて、げほげほとむせ返して呼吸を荒くする。
しかしその両手首は未だに拘束されたままで、わたしの自由を奪っている。

明王は黙って短めのスカートをたくし上げ、わたしの穿いている下着を裂いた。
そしてその足を割って身体を入り込ませる。
裂かれる音にハッとして、自分の下腹部に目をやると、
そこに先ほどまで口にあったモノがあてがわれようとしていた。

大きすぎる。
初めて見る勃起したそれはとてもグロテスクに感じられて、
今からそれが自分のなかに侵入しようとしていると思うだけで、失神してしまいそうだった。


「やだっ!やめて!!」



明王は、わたしのイヤだという言葉も全く耳に入れる様子も無く、
少しも濡れていないそこに大きく腫上がったモノを捩じ込ませた。
ぎちぎちと進み、拓かれるそこ。




「いやぁああああああああーーーー!!!」




痛みに大きく悲鳴を上げる。ソコからは粘液のかわりに鮮血が流れていた。
初めて拓かれるあまりの痛みに、次から次へと涙がこぼれてきていた。
わたしたちはただの、ただのいとこ同士だったのに。

自分の瞳からしきりに涙がしたたるのがわかる。
もう哀しくて泣いているのか、痛くて泣いているのかわからない。
きっとわたしは今酷い顔をしているだろう。涙とかだ液とか、そんなものでぐちゃぐちゃになった顔。
そして下腹部は血でぐちゃぐちゃ。
わたしのなにもかもが、ぐちゃぐちゃになっていくような気がした。


ふと、明王がわたしの首もとに顔を埋めた。
自分の存在をしらしめすようにキツく吸いついて赤く跡を残した。



何度も何度も。



首筋から鎖骨、左胸にかけて、刺青のように赤い花が咲く。






「ぃああっ!!」


突然、首もとに鋭い痛みを感じた。
明王がわたしの首もとに噛み付いたのだ。
鋭い犬歯が首に食い込む。二カ所からわずかに血が滲んでいた。
明王が口を離すと、くっきりと歯形が残って、赤い花たちよりも存在を確かなものにした。




「ヤだぁ、あ、ぁっ!!」



血液が徐々に粘膜を含んで淫らな音を発し始める。
痛みが快楽に変わっているのを感じ始め、自己嫌悪に陥った。
痛いより、マシかもしれないけれど。
でも、明王に、いとこに犯されて感じてきてるなんて屈辱以外のなにものでもない。




どうして、こんなことに。





疑念と、そして痛みとが、渦をなしてどよめくが、快楽で頭がぼやける。









「濡れてきたな...無理矢理の犯されて感じてンのか?お前のこんなに淫らな姿をみたら、お前の好きな鬼道は何て言うだろうなぁナナシ!!」

「いヤァっ...やめてっ...!!!ア、ぁ!!」

「黙れっつってんだろ...!!」



明王がわたしの首に、あいた手をかける。
そのまま手に力をかけて、首を締めた。
息が出来ない。苦しい。




「ッ...!!っぁ...か...はぁっ...!!」




空気が抜けるような弱々しい音だけが出るだけで、声の自由すらも奪われてしまった。
押さえつけられていたが、抵抗していた腕からもぱったりと力が抜けた。




「...どうしてお前は俺の所からはなれようとする...?」



先ほどの狂気の顔がうってかわって、悲痛な顔に変わる。
傷つけられて、犯されて、首を絞められて。
苦しいのは自分の筈なのに、でも急に彼を抱きしめたくなった。
でも首を絞められたままでそれはかなわない。

再び明王が腰を激しく動かす。
酸素が行き渡らない上に、快楽の並が押し寄せてきた。

解放された両腕を弱々しく伸ばして明王の頬を撫でる。
明王もその手に自分の手を重ねた。




もしかしたら彼は。

失うことを極端に畏れているのかもしれない。
それがあの傲慢な態度となって発露しているのかもしれない、と、
ぼやけた頭でそう思った。


明王もわたしも、まだ中学生のはずなのに。
まだ、子供のはずなのに。
明王は失いすぎたのかもしれない。はやく大人になってしまったのかもしれない。
だから、自分から離れていきそうなわたしが赦せなかったのだろうか。


ヒトよりも早く大人になって、擦れた態度をとるその反面、
何かを取り上げられそうになったときに、抑圧された子供の意識が暴発するのだろう。




「お前は...俺の傍にいろよ....っ!!」

「っ...き、ぉ!...あっ、き....!!!」




明王の苦しそうな顔をみたら、自分が犯されていることさえ忘れてしまいそうで。
哀しくなって苦しくなって、明王の背中に手をまわした。




次の瞬間、強く突き上げられて、意識を失った。







目が覚めたら精一杯の抱擁をあげよう

















不動裏ということでリクエストをいただきました。
とくに指定がなかったのですこし暗めになってしまいましたが
いかがでしたでしょうか?