「ナナシをこっちに渡してもらおうか」

「残念だな鬼道。ナナシはもう俺のモンになってんだよ」


わたしの頭上には、静かに口論をする二人がいた。

帝国元キャプテンの鬼道さんと、真・帝国キャプテンの不動くん。
わたしはしがないマネージャーであり、キャプテンの指示の元に働く存在なのだけれど...。
今のキャプテンは確かに不動くん。でも、ずっと面倒を見てくれて、チームを引っ張ってくれたのは鬼道さんだ。わたしにとって鬼道さんはとても大きな存在...でも、今のキャプテンの不動くんに逆らうことも、出来ない。
逆説の意見がぐるぐる頭の中を駆け巡る。

ぴりぴりとした空気を醸し出している二人を、わたしはただ下から見上げるしかなかった。



事の発端は、鬼道さんがわたしを雷門につれていこうとした事だった。
わたしは鬼道さんをずっと尊敬していたし、敬愛もしていたから
連れて行ってくれようとしてくれた事がうれしかった。
ところが、今のキャプテンである不動くんがそれをさせなかったのだ。
不動くんは帝国から連れ出そうとした鬼道さんの姿を見つけるやいなや、わたしの腕を引っ張って、その背中に隠した。その不動くんの行動に気を悪くした鬼道さんが『話し合いをしよう』と言ってわたしたちを誰もいなくなった部室に連れ込んだ。


そもそも、なぜ鬼道さんや不動くんがこんなしがないマネージャーに固執するのだろう。
この二人なら、わたし一人なんて居なくても全然平気なのに...。



「諦めて帰るんだな。もうお前はナナシにとってのキャプテンじゃないんだよ」

「ふざけるな。ナナシは俺に付いてきてくれたんだ。お前にナナシは渡さん」

「だから言っただろ?ナナシチャンはもう俺のモンになったんだよ」

「(い、いつからわたしは不動くんのモノに...)」



不動くんの横暴すぎる発言にわたしは硬直し、鬼道さんの表情はこわばった。
そしてゴーグル越しに"本当か?"という目を向ける。
わたしは眉尻を下げて首を振るしかなかった。
けれど...
その瞬間に不動くんがわたしの腕を握る力が強くなった。
どうやらわたしに何かを意見したり発言する権利はないように思えた。



「ナナシを離せ。彼女の腕にお前の手痕が付いたらどうする」

「しつけーんだよ坊ちゃん。さっきから何度もナナシは俺のだって言ってんだろうが」

「なっ..!」

「んぅ!」



不動くんはわたしの腕を引っぱり、自分に近づけると
あろう事か、キ、キスをしてきたのだ!
恋愛経験など悲しいほどにないわたしのファーストキスを容易く奪い、更には鬼道さんの目の前で舌を絡めてきた。
びっくりして目を見開いているわたしと同じぐらい驚愕した表情で、この出来事を凝視している鬼道さん。羞恥に自分の顔が真っ赤になるのを感じる。


(見ないで...!)


恥ずかしさのあまり涙目になっているわたしをよそに、不動くんの行為はどんどんエスカレートして、とうとう服を脱がし始めた。ワイシャツのボタンが徐々に外れていくのを感じた。



「や、やめて...不動くん...」

「ククク...良い顔だナナシチャン。その顔をあの坊ちゃんに見せつけてやんな」

「いやっ...!」

「不動やめろ!ナナシがいやがってるじゃないか!」

「男の嫉妬は醜いぜ?だったらお前もやってみろよ。こうなったらナナシに決めてもらおうじゃねーの。どっちに付いて行くか」

「何だと...!?」

「ほらよ」

「ひゃ!」



不動くんがわたしの背後に回り込み、脇の下から腕を入れて拘束し、わたしの両腕の自由を奪った。はだけたワイシャツから下着がちらちらと覗いている。鬼道さんはすこし眉根を潜めて目線を反らしたが、何かを決心した表情で身動きが取れないでいるわたしの目の前まで近づいてきた。


「鬼道さ...」

「ナナシ..すまない」

「え...あんっ!」


目の前にいた鬼道さんは切なそうに表情をゆがめると、わたしの胸に手を這わせて揉みしだいてきた。あまりにも考えづらい、あり得ない状況に頭が全くついていかない。この二人は一体なにをしようとしているのだろう?わたしをどうしたいのだろう?
思わず涙目になると、鬼道さんがわたしの耳元に口をよせて、低くかすれた声で"泣くな..ナナシ。大丈夫だ"と言ってくれた。
彼がキャプテンだった時、わたしが失敗した時にこうして慰めてくれた。
その声はいつもわたしに安心感をくれる。
...こんな状況なのに、彼はわたしを安心させようとしてくれる。



「ん...うう...鬼道さん...」

「ナナシ...」


鬼道さんはゆっくりとわたしの鎖骨にからはだけたシャツの襟元からブラの隙間へと手を這わせてきた。くすぐったくて、でも恥ずかしくて。声を抑える事で精一杯だ。


「おいおい、俺のこと忘れんじゃねぇよ」

「ひゃああん!」


わたしと鬼道さんのやりとりが気に入らなかったのか、後ろで拘束していた不動くんが急にわたしの耳に舌を這わせてきた。初めての感覚に...うねる舌に身体がびくびくと震える。その様子を楽しんでいるのか、また背後から不動くん特有の鼻で笑うような声が聞こえた。


「こわいよぉ...やだよぉ...」


いくら否定しようとも逃れようとしても、二人から与えられる快感に身体の力は徐々にぬけていく。いつの間にかに不動くんが片腕をわたしの腹にまわし、もう片方の手で太ももを撫で始めた。もう両腕は自由なのに、抵抗する気を奪われている自分がいることに気づいた。


「ぅ..あぁ...」

「気持ちーかぁ」



今度は鬼道さんの手がブラをずり下げてわたしの胸をむき出しにした。外気にさらされて乳首がツン、となる。..いや、もうこの二人に触られてからずっとこうだったのかもしれない。
固くなった乳首に鬼道さんが顔を近づけて、それを口に含んだ。あの、鬼道さんがこんなことをするなんて――!!



「んん...あ、駄目っ..鬼道さんっ!」

「ナナシ...」



上からと下からの愛撫で頭の中は真っ白。
羞恥と気持ちよさは紙一重、かも、しれない。

とうとう不動くんがスカートに手を入れ、パンツ越しに割れ目をなぞってきた。
くすぐったさと羞恥で、背筋がゾクゾクした。足が震えて自分を支えることが難しくなり、思わず後ろにいた不動くんに背を預けてしまいそうになる。


「ふどう、くん...」

「...可愛いヤツ」


パンツの横から指を侵入させられ、直に秘部を撫でられる。既に濡れそぼっていたそこを、体液と指を絡ませながらぬるぬるとスライドさせた。


「...不動。邪魔だろう、それ」

「そうだな...仕方ない。脱がすか」


こういう時になんで急に意気投合するのだろうか、この二人は。いままで火花を散らし合っていた二人とは思えないほどのコンビプレーで、わたしのパンツはあっさりと脱がされてどこかに放られてしまった。
もう...これぐらい息が合っているならサッカーで協力し合えば良いのに..!

脱がされたと同時に床に座らされたわたしは、再び不動君に後ろから拘束された。
今度は脇のしたからではなく、太ももを掴まれて両足を大きく開くという何とも情けなく恥ずかしい格好で。



「やだやだやだぁっ!」

「ナナシ、大丈夫だ。怖くないから」

「ふぅ..ぁ...ぁっ」



恥ずかしすぎて全力で暴れてみようとするも、やはり与えられる快感で力を奪われ、その上拘束されていたので全く意味を成さなかった。不安と羞恥に溺れてとうとう泣き出すわたしを宥めるのはやはり鬼道さん。そして驚いた事に、不動くんさえもわたしの肩口にキスをしながら「心配すんな」と声をかけたのだ。


「はじめは指だけでも痛ぇかもしれねぇからよ、力抜いとけ」

「え...!?」


足を開かせていた不動くんの片手が、わたしの秘部の小さな穴の入り口をなで、ゆっくりと侵入してきた。ぐりぐりと狭い膣内を広げられる感覚は、こすれるような痛みを覚えさせる。鬼道さんは、痛い、痛いと泣くわたしの片頬にキスをしながら、不動くんの指が出入りしている穴の少し上の陰核を刺激し始めた。
陰核に与えられる快感と痛みが相殺し合う。
...そして、痛かったはずのそこから徐々に快感が生まれ始めていた。

ぐちゃぐちゃと粘着質な水音が部室に響き渡る。



「あっ、あっ、不動くん、鬼道さん...!」


わたしの..変な――喘ぐような声が大きくなるにつれて、ふたりの指の動きもエスカレートしていく。スピードを上げては、快感を生み出すように蠢いた。


「ふぁ、コワイよ...やめてっ..なんか、くる、よぅ...!―――ああっ!」




かすれるような二人の、『駄目だ』という声を聞いた後で。

突然。

じりじりと快楽にあぶられていたのに、大きな波のようなものが押し寄せて、こしから背骨を伝うように激しいしびれと快感が意識を飲み込んだ。
両足の先をピンと突っ張って、体中がこわばって、わたしは一瞬意識を失った。


「...イったか、ナナシ」

「みてぇだな」

「どうする」

「決まってるだろ?まぁ最初は譲ってやるよ。ファーストキスは貰ったしな」


ぐったりと肢体を投げ出して息を荒げるわたしを尻目に、二人はなにやら相談をしているようだった。
気怠さと疲れに支配されて、わたしはそこから動けないし、二人が何をするつもりなのかもわからなかった。
――否、ナニをするかはわかっていたが、わかりたくなかった。



「ナナシ...」

「ふぅ...ん、んっ」



うすぼやける意識のなかで、鬼道さんに口づけられているのだなとボンヤリ気づく。
舌を絡められて、歯列をなぞられる。
あまりにも色々なことが一気に起こりすぎている。さっき不動くんにファーストキスを奪われたかと思ったら、こんどはあの鬼道さんとキスをしているのだ。
...それどころじゃないことも、しているのだけれど。



「ナナシ...好きだ」

「!?」

「お前が傍に居てくれたら、俺は...」



名残惜しそうに唇を離しても、ついばむようなキスを繰り返しながら鬼道さんはそう言った。
聞き間違い...では、ないだろうか。
あの鬼道さんなのだ。あの頭がよくて、人望の厚い鬼道さんが、わたしなんかに好意をよせたりする事が、あるのだろうか?
少しフリーズしていると、膣口からくちゅりという音と何かが触れる感覚。
視線を下にずらすと、鬼道さんの..そ、そそり立ったソレが、わたしのイリグチに宛てがわれていた。


「き、鬼道さん...!?」

「力...抜いていろ...」

「えっ!?...あ゛っ!!痛いっ...!痛いよ鬼道さん!!!」


さっきのとは比べ物にならないほどの質量感。
張り裂けそうな痛みから逃れようとするも、またも不動くんにがっしりと拘束されて叶わない。ちりちり裂けるような焼けるような擦り切れるような痛みと辛さ、息苦しさ。
それを無視するようなずんずんと腰を勧める鬼道さん。


「痛いよぉ!痛いっ!!!抜いて...!抜いてよ鬼道さぁああん!!!」


ほぼ泣き叫ぶように訴えるも、彼の動きは止まりそうにない。
全部が入りきったのか、一息ついたが、再び律動が始まる。
上下に抜き差しされてぬたぬたと粘着質が響いていたが、それにはわたしの血が混じっているように思えた。
これほどの痛みに血が出ていないはずが無い。


「ナナシ...、ナナシ!!」

「んふっ..ぅう!..鬼道さん..!」



痛みにこらえていると、ふたたび顔中に鬼道さんからキスの雨が降ってきた。
少しでも痛みを和らげようと、気を反らせようとする彼の優しさだろう。
鬼道さんはわたしへの配慮を忘れない。

...たとえ、こんな状況であったとしても。

そう思うと、お腹がぎゅっと切なくなるような感覚に陥り、
それに連動するように膣がぎゅっと締まった。
鬼道さんのそれを締め付けるようになってしまった...。
そして不覚にも、それが気持ちいいと感じてしまったのだ。



「っく...」


鬼道さんはとっさに自身をわたしから引き抜き、わたしの太ももに白い液体を吐きかけた。



「すまない..ナナシ。だが、これが俺の気持ちなんだ」


切なそうな顔でもう一度唇にキス。
そんな顔をされると、こんなことになってしまってもわたしは鬼道さんを責めることなんて、できなくなってしまう。さっきの言葉がもしかしたら聞き間違いじゃなかったのかもしれないなんて、勘違いしてしまうじゃないか。

そんなわたしの想いを見透かすように、鬼道さんはもう一度「好きだ」と言った。



「!」

「お前がいたら、俺は..俺はもう負けたりしない。だから、ナナシ...」




「はい残念」

「あ...」


鬼道さんの言葉を遮るように聞こえた不動くんの声。
ふと少し振り向くと、そこにはニヤリ笑む不動くんの顔があった。
まるで、その先の言葉は紡がせまいと謀略をはたらかせているかのようだった。



「貴様...」

「はいはいお前の言いたいことはよくわかったよ、っと。つか長え。待ちくたびれた」

「きゃ...!」



不動くんはわたしを床に押し倒すと、先ほどまで鬼道さんが出入りしていたそこに彼自身をあてがった。


「や、やだ...!」

「逃がさねえ」

「ぁんっ!!」


ぐり、と入り込む不動くんのそれ。さっきので少し慣れたのか、鬼道さんの時ほど痛くはないけれども、やはり異物感と擦れるような痛みが走る。気持ち、いいけど...。でも。



「お前は鈍いからなァ...」

「んん...ぁ、ぅ、、」

「なんで俺がこうしてるかわかんねえんだろ。別に俺は、誰でも引き止めるわけじゃない」

「ふど、くん...?」

「チッ...まだわかんねぇか?」

「え?あ、はあぁんっ!!」


鬼道さんのいたわるようなソレとは違う、強引な動きにわたしの体中からじわりと汗がにじみ出てきた。がつがつと掘り進めるようなそれと、ぶつかる肌と肌。そして身体の奥の壁に何かがコツン、コツンと当たるような感覚。さっき感じたお腹がぎゅっと切なくなるような感覚。
少しずつ、身体が宙に浮いているような感じがしてきた。



「不動くん!ふど...くぅ...ぁ、ぃやっ...!!!」

「ッはぁ...ナナシ...」

「変になっちゃ....!あっ...ああああ!!!」

「お前は俺のモンだ...アイツには渡さねえ...」



また、頭の中が真っ白になり、体中が倦怠感に襲われる。
びりびりと敏感になった肌。不動くんはそれを中から引き抜き、わたしのお腹の上に白いものを吐き出した。
ぐったりと身体を横たえてると額の上に不動くんからのキス。


「...?」

「決めろ、ナナシ」

「...?...??」

「俺の所に残るか、鬼道の所にいくか」

「ああ...その答えは、俺も聞きたい」

「い、今...ですか...??」

「「決まってるだろう」」


二人の声が重なる。
またこの呼吸のぴったりさに驚く。もう本当に、この二人でコンビネーションを組んだら最強なんだろうな...なんて場違いな事を考えながら頭上の二人を交互に見遣る。



「まあ雷門なんかにナナシをやる気はさらさらねえけどな」

「不動なんかのところにナナシを置いておけるわけないだろう」


どう、しよう...



ずっと面倒を見てきてくれた元キャプテンの鬼道さん。今のキャプテンの不動くん。
帝国を去った鬼道さん。今帝国を引っ張ってくれている不動くん。
鬼道さんの所にいくのも、きっと簡単。でも、このまま帝国を去ることも、あたしには出来ない...
どちらにも居たいし、どっちかには行きたくない。


「決め...られま、せん」

「ナナシ...」

「ごめんなさい...ごめんなさい....」

「...仕方ねえな」

「ナナシが決めるまで、俺たちは止まらないぞ」

「え...、そ..んな...」

「身体壊されたくなかったら、さっさと決めるんだな、ナナシチャン?」




「ゃっ.....!!」





再び迫りくる二人の手。どこかに―――どちらかに行くなんて、今のわたしには決められない。二人の気持ちを知ってしまって決められないなんて、わたしは卑怯なのだろうか。
でも、こうして愛されるのが幸せだと、少しでも感じてしまうなんて。







愛に溺れる受難












笹行さんリクエスト アッキーオ研究しよう...。