「ねぇッ...なんか答えてよ....」

「...っ」

「ナナシ...ッ、は、あんま意地張ってるとさぁ、オレも優しくできなくなっちゃうんだよね」




オレの下で乱れるナナシは、ただ首を横に振るばかりだった。
さっきから声もあげない。返事もしない。
無理矢理こうして性行為に持ち込んだけれど、彼女はいっこうにシカトをやめなかった。



ここ最近はずっとそうだ。
ナナシはオレに冷たい。
ガゼルやバーンには普通に(いやむしろ笑顔で)接するくせに、オレが話しかけた途端にあれだけ表情豊かだった顔が能面みたいになって、声色も短調になる。

オレが一生懸命仲良くしようとしても、そっちがそんな態度だったらどうにもならない。
少し前まではそんなこと、なかったのに。


ナナシに少しでも優しくしてほしくて、受け入れてほしくて、微笑んでほしくて自分の気持ちを伝えた。
こうして、体で。

もうソレしか方法がなかったんだ。
いくら言葉で、態度で表してもナナシは「そう」としか言わない。
微笑みかけてはくれない。
だから、強行突破しか、なかった。
なのに。それでも。


....その無表情の顔から、わずかに怯えが見え隠れする。





ねぇ、どうして?
なんで声出さないの?なんで返事してくれないの?なんで名前呼んでくれないの?なんで微笑みかけてくれないの?


ねぇ、なんで?
なんで?ナナシ。





「オレはナナシのことッ...大好きなんだけどなー...」

「...」

「聞いてる?ナナシ」

「ッ!」



繋がっている場所から、オレ自身を引き抜いて一気に押し込む。
急激なピストンにナナシの喉がピクリと動く。
額からの汗が頬を伝って、ひと雫だけナナシの額に落ちた。
必死に口を押さえるナナシの両手を無理矢理外して手をつなぐ。
すると、口を覆うものがなくなって焦ったナナシは、眉を困ったように垂らした。が、こんどは下唇を噛んで、声を出すまいと必死に耐えていた。

...我慢してないで声ぐらいあげれば良いのに。




その象牙のような肌理の細かい白い肌は、オレの愛撫を受け入れているのに彼女の心は一行にオレに向き合おうとはしない。
拒絶の色が浮かぶ目を見つめるが、オレに見られているとわかるとナナシはぎゅっと目をつぶってしまった。


完全なる拒絶。


こうまでくるともうショックだ。
なんでだろう。
こうしてオレは全身で、ナナシに愛情表現しているというのに。
言葉で、唇で、舌で、手のひらで、オレ自身で。
こうして、抱いているのに。


なんで?
好きで抱いてるのに、どうして気持ちが伝わらないのかな。
ナナシってそんなに恥ずかしがり屋さんだったかな。
ただオレは好きって言って、ナナシを抱いているだけなのに。
オレがこんなに気持ちを伝えてるんだから、それを受け入れてくれたっていいじゃないか。
ナナシは酷い。ナナシは冷たい。



でも、ナナシが好きでたまらない....。


「ッは、」

「ナナシ、イきたいの?きもちいの?ねぇ、教えてよ」




少しくぐもった息を吐いて仰け反った首に噛み付き、オレがナナシを抱いたという痕を残した。
赤くふしだらなただれた色を、その白い肌に刻み付けた。

相変わらず首を左右に振るから、少しだけ腹が立ってピストンのスピードを早めた。
つないだ手をほどいて彼女の頭上でひとまとめにして、
そのかわり空いた方の手を繋がっている場所の少し上にある核に触れる。


「〜〜〜〜〜〜〜っ!」

「ナナシ、いまナカが締まったよ」


気持ちよかったんでしょ?と言ってその場所を執拗に左右にこすって責める。
するとナナシは身体をよじってその快楽から逃げようとするけれど、それはさせない。
クリトリスを責めるのをやめて片手でがっしりとナナシの腰を掴んで自身を深く沈め込んだ。
そろそろオレも限界が近い。



「くっ...ナナシ、だすよ...ッ」

「!」




必死に逃げようと渾身の抵抗をみせようとするが、所詮女は女。
男のオレに力で勝とうとしても土台無理な話だ。
ナナシの両手を押さえつけていた手を話て、両手で彼女を抱きしめてナカに放出した。
ずるずると名残惜しむように自身を彼女のナカから引きだすと、塞き止められていた白濁が勢い良く溢れ出す。
オレ自身の、思いが詰まった液体と、彼女の拒絶の液体が混ざったものが。




「きもちよかったよ、オレは」



ナナシの横になだれ込んで、彼女を抱きしめたまま耳元でそうささやいた。
悔悟と疲労の色が滲むナナシの顔中にキスを振らせる。



「ナナシ、愛してる。好きなんだ。だから、」










オレ"も"受け入れてよ







本当は知ってる。
彼女はグランではなく基山ヒロトを愛していると言う事を。











なんかもうぐだぐだ