壱と零の狭間




零と壱の狭間

虚数の空間は

存在さえも掻き消してく

踏み入れた迷子の

足音さえも虚無となる




盛る業火

それは灰となり


滴る天水

それは気になり


迸る遠雷

それは一瞬の輝き


荒る嵐風

それは全てを浚う


そして最後に消える




迷子の消えた

虚数の世界

居るのは赤子と二人の意識

一人は赤子を抱え

一人は微笑み触れる

粒子だけの存在が

すやすやと眠る

たった一人の赤子を

包み守る




虚数の域には

粒子だけの残存思念が

無数に存在していて

それは意識を持たない

謂わば人形

でも形もない

謂わば入れ物

考えを持たない

心もない

ただ、そこに浮かぶだけ




赤子を抱いた一人は

微笑む一人を見上げる

粒子だけの世界で

たった二人だけ

意識を持つ彼ら

何も言いはしない

ただ、そっと

寄り添うだけ

意識の粒子が

赤子を守るように

残存するだけ




キミガイレバ

エイエンガ

テニハイラナクテモ

イキテイケル

キミガイレバ

マックラヤミデモ

シズカニコノトキヲ

ヨリソウコトデ

ウメラレルカラ




赤子と二人の意識

それは光の粒子

虚数の世界に浮かぶ

残存思念の中で

刹那輝く

消えない光源

闇をも呑み込む光




迷子の消えた

虚数の世界

無数の残存思念も

光も

失われた時

零と壱の狭間は消える

零と壱も消える

そして、全てが

混沌の渦に沈み

飲み込まれて

再び、造り出される




アナタハワラウ

ナキナガラ

タダシズカニ

トナリニ

イテクレタカラ

タノシカッタノ

カナシクテモ

ラクタンモシナイデ

ワラッテイラレタ

タクサンノ

シアワセヲクレタ

ハカナイトキガ

ヒカリカガヤイタ

トマドウ

リユウナンテナイ

ジュウブン

ヤサシイエガオト

ナミダニツツマレテ

イキレタカラ




アリガトウ

サヨウナラ




貴方がいたから

私は生きていけたよ








end



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