last day,night
いつかは
最期が来ることぐらい分かってる
永遠なんて
夢幻の絵空事
あるはずのない希望
だったら
こうして生きてても
無駄なんじゃないかって
思うけど
アンタは
こうして生きているからこそ
いつかは来る
最期を受け入れられると
静かに笑う
何度目か分からないキスをして
冷たい体温同士寄り添って
抱き合って
お互いの存在を確かめる
そうして
暖かさを知る
身を寄り添って
狭いベッドの中で眠る
すやすやと寝息をたてて
幼い横顔
何の夢を見るだろう
少しだけ
眉間に皺を寄せて
浮かんだ雫が
ゆっくりと
頬を伝うのを見た
蒼白の
小さく見える手を
握って
アンタは笑った
この思い出があるから
いつか来る最期も怖くないと
受け入れられると
でも
本当は
思い出が思い出になる前に
この時が
この瞬間が
永遠になればいいのにと
最期なんて望まない
二人なら
混沌の久遠の中でも
生きていけるから
どうか
時を止めてと
そう願ったんだろ
甘く
深く
抉られるような痛み
それを押し殺し
胸に隠して
笑ったアンタとの時が
これからも
続くようにと
溢れた涙を拭って
その頬にキスを
もう一度
一度だけでいいから
どうか
どうか
この愛しい夜を
過ごせたなら
叶うなら
アンタのいる
朝を
迎えることが
出来たなら
そう願って
今夜
眠りにつこう
オヤスミ
この幸せ
この喜び
君と過ごせた毎日が
俺の
大切な思い出だから
朝を迎えて
笑顔で
伝えられるよ
ありがとう
end.
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