交響曲の願い(TOS小説) | ナノ

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あの後に大人三人が起きているということで今後の進路を話し合った結果、スピリチュア像をあの老人の元へ届けて教本を見せてもらうことにした。ソダ間欠泉から北といってもあの曖昧な指示じゃ分かり辛いのだ。

「ふむ、確かにスピリチュア像じゃ。よかろう」
「ありがとうございます!」
「俺じゃ天使言語は読めないから二人とも頼んだ。覚えるのに徹するわ」

見ていい、とは言われたもののこれでは何を書いているのかサッパリだ。俺も天使言語覚えようかなぁ…

荒れ狂う炎 砂塵の奥の古の都にて街を見下ろし、闇を照らす
清き水の流れ 孤島の大地に揺られ、溢れ巨大な柱となりて空に降り注ぐ
気高き風、古き都、世界の……巨大な石の中心に祀られ邪を封じ聖と成す
煌めく…、神の峰を見上げ世界の柱を讃え…古き神々の塔の上から二つの偉大なる…

コレットが読み上げていくが途中から掠れて読めなくなっているらしく、読むのを諦めた。紙面を見てもかなり古いものだから辛うじて読める程度だ。

「荒れ狂う炎ってやつが火の封印で清き水のが水の封印だろ?あとは何なんだ?」
「風の封印は多分アスカードじゃないかな。あそこは古き都…遺跡が多いし街の中心に石舞台もあったはずだ」
「神の峰を見上げ、っていうのは?」
「多分、マナの守護塔だと思う。あそこからは救いの塔の周りの山が見えるからそれが神の峰じゃないかな」

「…で、結局どこに行けば良いんだ?」
「アスカードが良いんじゃないかな。ここからならそれなりに近いし」
「旅券もある。使わない手は無いだろう」
「それじゃ、次に行くのはアスカードだな!」
















アスカード遺跡に駆け寄るリフィルを見て嫌な予感を察知したらしいクラトスと共に階段を上り終わると早々に周りの探索を始めた。案の定遺跡モードのリフィルは石舞台について語りだしてコレットは真面目に相槌を打ちながら聞いていた。

「よほど遺跡が好きなのか、あるいは…幼い頃何かあったのかもしれぬな」
「…確かに、な。でも詮索するだけ野暮ってものだろ?」
「フ…そうかもな。」

好きなのは充分に伝わるが、なにか執着心のようなものが見え隠れしている。それが彼女の過去に繋がるのであれば、触れてほしくないところであれば、関わるべきでは無いのではないだろうか。

何かに気付いたらしいロイドが階段の裏側へ向かっていくのを追いかけた。誰かの気配がしたところまで行くとどうやら男が二人、何かの起爆装置を用意していたらしい。

「先生!こいつら石舞台を爆発させるみたいだぜ」

悪意があるのか無いのかは知らないがロイドが発した言葉にリフィルの発したギロリと人一人射殺せそうな視線を浴びたであろう彼らにこれから起こる惨劇を思い浮かべ、心の中で合掌した。運が悪かったな。

「…俺はハーフエルフだ」
「…それがどうした?」

予想通りリフィルに蹴っ飛ばされ、さらりとハーフエルフだと言ってのけた男にも目もくれず、お前達はこの遺跡の重要性がまるで分かってない!と強い語調で言いながらすぐそばの起爆装置のスイッチを起動させた。おいちょっと待て。

「リフィル、ストップ!!起爆装置動いてる!」
「…何?」
「お前のせいで起爆装置が動いたではないか!」
「人のせいにするな!」

再び蹴っ飛ばされた男曰く解除出来ないらしく、ロイドが解体することになった。手先が器用なロイドらしく起爆装置を止めるのに時間はかからなかった。
だが、そろそろ時間らしい。

「いけません、町長です」
「やべえ、逃げるぞ!」
「先生、俺達も逃げるぞ」
「でも遺跡の調査が…」
「ここで捕まったら二度とここに入れなくなるかもな。」
「…行きましょう。」

その後。遺跡を爆破させるであろう二人を追うため町を奔走することになった。
思えばこの街は風が強い。前来た時はもう少し静かな風が吹いていたような気がする。土色の街を見回すと空が遠く見えた。



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