交響曲の願い(TOS小説) | ナノ

18

「すまない、俺は今回後衛でいかせてもらうぞ。」
「本当は戦線から外れるべきなのだけれどね…」
「苦戦してるくせに、よく言うよ。」

「ダークスフィア!」
「っと!あっぶねぇな。」
「おい、待て!」

前線で戦うロイドとクラトスを無視してこちらに攻撃を仕掛けてくる。完全に狙いは俺だ。

「あなたのマナの量は凄まじい。先に始末させてもらいますよ。」
「お前なぁ…モンスターみたく俺狙いは止めてくんないかね」

背中から生える刺を掻い潜って槍を振るが切り傷が浅いらしい。

「エンジェルフェザー!」
「ぐあっ!!」
「サンキューコレット!なるほど、弱点は光か。」

光の羽に身悶えしているうちに詠唱を急ぐ。この際苦し紛れに放ってくる攻撃を気にしてはいられない。

「貫け!ホーリーランス!!」
「ぐあぁぁぁっっ!!!」

光の槍に貫かれて動きを止めた間にロイドとクラトスが斬りかかった。

「烈空斬!」
「剛魔神剣!」
「ばかな…っ!ならばせめてこの化け物を解き放ち、お前たちに死を!」



斬りつけられた相手は這いながら牢の鍵を壊して力尽きた。姿を酷く変えられてしまった姿が大分近くまで来ているらしいが失血がひどくて動けない。霞んだ視界に苦しんだ呻き声と振り上げる腕が見える。

「…だめ!!」

コレットの声が届いたのか振り上げる腕が止まり、そのままどこかへ逃げてしまった。流石にあの腕で潰されたら生きてはいなかったかもな…

「…ぐっ」
「まだ生きてたか。」

唖然とした中、ドアの呻き声で思い出したように皆は動き出した。血は止まってる。少しだけ回復したから動けないこともない、か。

「娘は…本当に死んでしまったのか…?」
「どうやらそうらしいな。…いい加減現実を見たらどうだ?」
「ルクラス!」
「ふふ…でもどこかでは分かっていた気がしてな。現実を受け入れられなかったのだ。私一人になってしまったのか、と。」

これも街の住人を見捨てた罰か、と自嘲的に笑う姿は心に深く突き刺さる。もし自分が同じ状況ならどうした…?

「すまないが、ショコラを助けてやってくれないか…お前たちを誘き出すため利用されたあの哀れな娘を…そして、もし…妻を助けられるなら、もとの姿に戻してやってほしい。あのままではあまりにもかわいそうだ。」
「うん。約束するよ。」
「ありがとう…」

震える手で差し出したのは牧場に入るためのカードキーらしい。ロイドが受け取るとそのままドアは動かなくなってしまった。

「先生!」
「…ダメだわ。」
「くそっ…」

回復術をかけたがすぐに助からないと分かり首を横に振るとロイドも悔しそうにうつむいた。

「…すまない。俺が腕を離してしまったばかりに…」
「ルクラスは悪くないって。あんな状況じゃ仕方ないだろ。それに血だらけだぞ…大丈夫か?」
「なんとかな…血は止まってるからもう動ける。」

回復術をかけながらこれからどうするか考える。この服じゃ血が目立つのでローブかなんか被ってるのがいいな…

「その服装では目立つ。これを使え。」
「おー、ありがたい。」

ちょうどよくクラトスが投げてきたローブを羽織る。うん、サイズぴったりだ。
少しふらつくが直によくなるはずだ。

「ルクラス、無理はするなよ」
「心配には及ばないさ。それより俺はロイドが無茶しないか心配だな。」
「なっ?!」
「さー行くぞー人質助けるんだろ?」
「あぁ!」

力強く頷くロイド。目指すはマグニスのいる人間牧場だ。



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