交響曲の願い(TOS小説) | ナノ

13

「やっと着いたな。」

本当にやっと着いたという感じ。歩きだとやっぱり時間かかるなぁ…
魔物になって飛べたら良いんだけどそうもいかないしな。

「うっわ、ガラクタばっかりだね。」
「確かに。」

「あ、あれってスピリチュア像に似てる。」
「こりゃ!!汚い手で触るでない!!」

コレットが像に近づいて触ろうとしたとき、老人の声がして思わず手を引っ込めた。

「通行証なら、一人一億ガルドで発行するぞ。」
「な…なんだよその金額は!横暴だ!」
「黙れ小僧!わしゃあ、男が大っ嫌いなんじゃ!」
「これじゃあマーテル教の旅業をする者までここで足止めされてしまうわ。」
「おお。お前さん美人じゃのう。お前さんが旅業をしているのならパルマコスタの旅行代理店でアスカード遺跡ツアーにでも参加するといい」
「ずるい!代理店と結託して儲けてるな!」
「うるさいのう!金のない奴はとっとと帰れ!」

もう少し親切にしてくれてもいいんじゃないかと思っていると大きな本にふと目が止まった。

「ちょっと待った。あの大きな教典…まさか…」
「おお、お前はなかなか見る目がある。これはのう、マナの神子様から買わせて頂いた物じゃ。大変珍しい教典で導師スピリチュアの伝説が記されているんじゃよ!」

その言葉に皆が驚いた。やっぱビンゴか。

「ずっと手に入れたかったんじゃがドア様が手放すはずもないと諦めておったところじゃ。まさか神子様から譲ってくださるとはありがたや〜」
「それ、譲ってくれよ!いや見せてくれるだけでもいい。」
「何を言っとるか!どうしてお前らなんぞに見せてやらねばならんのじゃ。」
「良いじゃないか!コレットはマナの神…」

ぺしーん。いい音が響いた。ジーニアスは頭を痛そうに抑えている。

「駄目よ。こちらが偽者扱いされてしまうわ。」
「マナのみ…?」
「マナの神子様の持ち物を見せて頂きたいという信仰心のあらわれですわ。コレットは天使言語を修めた立派な信者ですのよ。」
「あ、そうです。小さい頃から習ってました〜」
「そんなに言うならその純情派の嬢ちゃんと美人の姉ちゃんと特別にそこの金髪には見せてやらんこともない。わしはな、ここに来る途中の救いの小屋に飾ってあるスピリチュア像が欲しくて仕方ないのじゃ。アレを持って来てくれたら考えてやらんこともない。」
「ケチだなー。見せるぐらいなんてことないのに。」
「うるさい!金もない像もないじゃ話にならん。もう帰ってくれ!」

じいさんはそう言うと俺達を小屋から追い出した。
スピリチュア像…確かにそんなのがここに来る途中の救いの小屋にあったようなきがする。

「ん…?どうかしたのか?」
「あらま、知らないのかい?」

いつの間にか小屋の前には数人の人が集まって話をしていた。焦りようをみるとあまりいい話ではないらしい。

「あんた達もしばらくここにいたほうが良いぞ。間違ってもパルマコスタの方には行かないほうがいい。」
「パルマコスタで何があったんだ?」
「ディザイアン達がパルマコスタへ向かったらしいんです!」

ロイドが聞くと別の人が答えた。

「なんだって!」
「しかも、この近くの人間牧場の主のマグニスまで一緒だったって話だ。」
「マグニス…」
「ほとぼりが冷めるまでわしらはここで足止めさ。あんたらも、暫く遠出は控えたほうがいいぞ。


「…だそうだけど、どうする?」
「決まってるだろ!パルマコスタに戻ろう!」

俺が聞くとロイドは険しい表情で至極当たり前だというように答えた。

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