青空颯斗 | ナノ





「………………なんの真似でしょうか」
「あっ……気づいちゃった?」
「気づかない人の方がおかしいです。月子さんは一体何がしたいのですか?」
「えっと」

颯斗の指摘に月子は目を泳がせる。いま自分がやっていることを口に出せばいいのに言えない。だしたら顔から火が出てしまうかもしれないから。
だけど、言わなければならない。恥ずかしがってはいけない。そうしなければ負けてしまう。

「えっと、颯斗君の両腕を縛って、ベッドに縛り付けて身動きできないようにして」
「…………」
「い、いつもは颯斗君が私を攻めているから、今日は私が攻めます。だから受け身になってください!」

きっといま顔が赤くなっているに違いないと思いつつ、颯斗のズボンをおろす。一方颯斗は呆れつつも彼女の動向を見守ろうとしたようだった。口の端が笑っている。その余裕に月子は少しカチンと来た。
グッと彼の下着を引きずりおろす。いつもならグロテスクな颯斗自身は元気がない。いつも見るときは凶器に見えるのに、穏やかだ。
普段のギャップに戸惑いつつも月子はそれを口にする。
フェラなんてしたことはなかった。強要されたこともないし、颯斗からお願いされたこともなかった。
ただ漠然とした情報、例えば大学の友達とかから聞いた情報とかを使って月子は口を動かし、手を動かす。
頭ではわかっているのに実際にやると難しい。舐めたり吸ったり、時々颯斗を見つつそれらを強くしたり弱くしたりいろいろな刺激を与える。

「……っは」
「颯斗君、イキそうなの?」
「いいえ、まだ、大丈夫です」

しかし、すこし颯斗の顔に余裕がない。それを見た月子は気分がよくなる。彼自身を扱っているうちにどこが敏感なのかわかってきたきがして。
その部位にそっと口付けをすると颯斗の腰がピクリと動いた。そこを重点的に攻めていくと彼の唇から艶やかな声が漏れた。

「っ、月子、さん」
「イくならイって。全部私が受け止めるから」

言うや否や月子は颯斗自身を加える。先走りが苦いが、気にしてはいない。
ラストスパートとして月子は口と手を使って颯斗の射精を促す。うっ、とくぐもった声が聞こえたと同時に、月子の咥内に吐き出された白濁液。口からこぼれないように月子はすべてを飲み込んだ。

「……バカですね、貴女は」
「そう、かな」
「少なくとも、人を縛るならこれくらいしてください!」
「えっ……」

それは一瞬の出来事だった。
月子の背中はふかふかなベッド。目の前にはニヤリと笑った大好きな人。彼は月子の両腕を片手で動けないように封じ込めていた。

「どうして」
「月子さんは優しいですね。緩く縛られていたので抜け出るには簡単でした。さて、僕をさんざんいじめてくれたので、今度は僕が月子さんを可愛がってあげましょう」
「……っ」
「悔しがる貴女の顔はとてもそそられますね。ですが、後にその顔が僕だけを見て、僕だけを感じて、僕だけに溺れているような表情になるのを考えると」

きゅっと颯斗は月子の腕を先ほど自分が結ばれていた紐できつく結んだ。
そして抵抗させる暇を与えず月子の両足を開く。
見えた下着がうっすらと濡れていることに気づくとニヤリと笑い、

「非常に月子さんを愛しく可愛がってあげたいので」
「……っ、ひゃん!」

そっと下着越しに彼女の大事なところを撫でて、

「……覚悟、してくださいね」
「っ……!」


その笑顔が長い長い夜の始まりを告げるものだと月子は知る。
甘美な悲鳴が、その夜響き渡るまであと少し。


ご奉仕の後には甘美なご褒美を


(まったく、優しくなかったじゃない)
(あれ、激しいのが好きじゃなかったんですか?)



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