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夢小説のDLove



 「エデンの鍵」というゲームが開始される少し前。とある軍の自室にて、月明かりを頼りに本を読んでいる青年がいた。本をめくる音だけが聞こえる中、ふと青年はその視線を部屋の時計に向けた。時計の針は、短いものは11と12の間、長いものは3を差している。23:15だ。本来ならそろそろ寝る準備をするところだが、
「本日、23:30に此所に集合」
なんて言われた事を思い出し、今まで読んでいた本に栞をはさみ、青年は集合時間に間に合うように静かに自室から出た。

 ◆◇◆

「では、皆さんお集まり頂けたようですので、これからゲームの説明に入らせて頂きます」
 時間ピッタリに集合場所までやってきた青年――遠夜は、最後に来たのは自分だったのかと思いながら、何やら話を始めた少女に視線を向けた。
「私は、今回からゲームが終了するまで、軍の皆さんへゲームの通達や注意事項などを伝えるべくやって参りました、運営委員会・広報班に所属しております、ラピス・クルセイドと申します。以後よろしくお願い致します」
 どうやら少女の名前はラピスというらしい。自分とそう変わらないだろうその容姿に、何だかよく分からない親近感を覚えながら、その声に耳を傾けた。
「今回のゲームの内容はこちらです」
 そう言いながら、ラピスは先ほどから手に抱えていた小瓶の蓋を開けた。そして、その小瓶の中身をばらまくかのように振り上げた。どうやら色や匂いからして小瓶の中身は水らしい。少し青っぽい色なのは絵具などを混ぜて着色したからなのだろうか。
「こちらをご覧になりながらお聞き下さい」
 これがラピスのスキルなのだろうか。先ほどばらまいた水がシャボン玉のように浮かび、何やら文字を表している。今回のゲーム内容は…リス探し?
「今回は、こちらに記してある通り、皆さんにはリスを探して頂きます。ルールはこの文字通り、われわれ運営委員会が放ったリスを捕まえて下さい。リスにはこの金の星が1つずつ付いています」
 ラピスの手には、いつの間にか1つの金の星があった。大きすぎず小さすぎず、ちょうど良い感じの大きさだろうか。
「リスは、お1人様1匹までです…」
 リスは沢山いて、金の星が付いていて…1人1匹まで。ラピスの説明を背景に、遠夜は考えた。相方である暁が怪我で療養中なのだが、自分はこの第一回戦とやらに出させてもらえるだろうか、と。どうやら軍の上の方々は、何故か自分は暁とペアになっていないと…と思っているらしい。最近は特に目立ったことはしていないつもりなのだか。
「……で…………ですね」
 遠夜は、どうせ自分には…と話し半分にラピスの説明を聞いていた。
「……。では、本日はありがとうございました」
 どうやら説明は終わったらしい。ゲームは0:00〜4:00までの間に行われるようだ。期日までに捕まえれば良いらしい。説明が終わり、それぞれ散っていく同僚たちを尻目に、遠夜は少しその場に居座っていた。すると、同僚の一人が遠夜のもとに近付いてきた。この顔は…誰だっただろうか。
「あ、遠夜さんは……取りあえず待機だそうです」
「…………(やっぱり待機、か)」
「あー…。じゃ、ちゃんと伝えましたからね」
 言うだけ言って去っていった奴の背中を見ながら、やっぱり誰だっただろうかと考えていた遠夜であった。

 ◆◇◆

 ゲームの最終日、遠夜は私服で夜の街を散歩していた。私服でいたのは、非番であったのと、自分は待機中であったからである。
「…………?」
 遠夜の足元近くから何やら物音がした。カサッコソッっと。不思議に思い、音の元らしきものを掴んでみた。
「…………?(リス?)」
 どうやら、運営委員会とやらが放したリスらしい。こんなにも簡単に見つかるものなのだろうか。遠夜は取りあえずリスの首に付いていた星を取った。
「…………(さて、)」
 リスはどうしようか。まさか、自分が飼うわけにもいかないだろう。暁に怒られてしまう可能性が高い。そんな、遠夜が悩んでいる中、何やら遠くから話し声が聞こえてきた。
「……せめて、あともう1匹いないかな」
 黄色の腕章。紅い服。蒼い髪。こんな夜遅く暗い中でも目立つ青年がいた。隣には黒っぽいいろの髪の背の高い女性がいる。
「(黄色って…どこの…?)」
 そんなことを考えながら、遠夜はこの2人組が自分の側に近付いて来るまでじっとしていた。すると、青年の方が先に遠夜の存在に気が付いたらしい。
「うわ、びっくりした!…なんだ、人がいたのか」
 遠夜にとっては少しオーバーリアクションだが。
「クラン、そんなに大きな声では近所迷惑だ。で、君は?」
「………………」
「…?あ、あぁ、そうか。私はリュオ。で、コイツがクラン」
「…………遠夜」
「そうか、遠夜…か」
 そう言い、女性――リュオは遠夜を観察してみた。今の遠夜の服装は、白いシャツに濃いめのジーパンである。遠夜の年齢から見て学生だと思われても仕方ない格好である。今回ばかりは私服で良かったなと思った遠夜であった。
「あ、そのリス…」
 どうやらクランが遠夜の持っていたリスに気が付いたらしい。さて、どう誤魔化そうか。
「遠夜くんだったっけ。そのリス、このくらいの金の星が付いていなかったか?」
「……いや、付いて……いなかった」
「本当か?」
「(こくり)」
「…じゃあ、誰かが星だけ取って放したのか、あるいは…星がどこかへいってしまったのか…」
 上手く誤魔化せたのだろうか。クランは「そうかそうか」なんて言っているが、リュオは疑っているのか、ただ考え込んでいるだけなのか。なんにせよ、遠夜の気は休まらないのは変わりない。
「遠夜」
「…………」
「すまないが、そのリス…私たちに譲ってくれないか?クランのやつがどうしてもって聞かなくてだな…」
「…………?」
 どうやら、遠夜が考えていることとは違っていたらしい。クランがリスを欲しがっている、ということだろうか。
「もしあれだったら…」
「(無言でクランにリスを差し出す)」
「へ?あ、良いって事…?」
「(こくり)」
「…!ありがとう、遠夜くん!!」
 パッと顔を輝かせたかと思うと、クランに思いっきり抱きつかれた。…少し、きつくて苦しいのだが。
「星が着いていなかったのが残念だったが…まぁ、私の星1つ分があれば良いか。ありがとうな、遠夜」
「…………」
「ほら、クラン、そろそろ行くぞ。遠夜も、もう夜遅いから早めに帰れよ」
「じゃあね、遠夜くん」
 そう言って、リュオとクランは遠夜に手を振り、その場をあとにした。遠夜もそんな2人に、慣れないことだが手を少し振り返してみた。…自分が軍人だとバレなくて良かったなと思いながら。
「…………はぁ(帰る、か)」
 こうして、待機中だったにも関わらずリス捕獲に成功した遠夜は、月明かりを頼りに帰途についたのであった。

 ◆了◆

遠夜→捕獲成功
クラン→捕獲失敗
リュオ→捕獲成功









 あとがき的なモノ

少し、というかだいぶ遅れましたが、第一回戦ですf^_^;

最初、遠夜はあのまま待機のはずが…リュオとクランがでしゃばって遠夜も参戦です。
リュオとクランは少し天然が入っているので…あのまま誤魔化せたのですが、第二回戦で会うので結局はバレるのです。
あ!みたいな( ̄∀ ̄)

では、ここまで読んで下さってありがとうございました(*´∇`*)

24.5.29 水月

日付がちょうど変わっちゃったから28日じゃなくて29日…orz


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