初めましての方もそうでない方も、こんばんは。運営委員会、広報班のラピス・クルセイドと申します。今回の第二回公式戦では、主に皆様へのお飲み物などをご用意させて頂きました。その合間に皆様とお話しすることができましたので、とても楽しかったです。ありがとうございました。
では、今回の様子を、実際の私と参加者様の会話からご覧くださいませ。
◆◇◆
51階庭園にて。二人の男女が何やら言い合っていた。ラピスは何事かと思い、急いで二人のところまで向かった。遠くからでは誰なのか分からなかったのだが、黒い短髪の女性と青っぽい長髪の男性を認めて、先ほどまで49階でルーレットをやっていた遠夜と、それを見守るように背後にいた暁であると分かった。
「…まぁ、何事もなく終わって良かったという事か」
「…………はぁ…(やっと説教終わった)」
どうやら揉め事らしきものは終わったらしい。遠夜は近くにあったベンチに座り、暁はその場から夜景を楽しむかのように下方を眺めていた。ラピスは一応何があったのか聞いておく必要があるのではないかと、二人に近づいた。すると、そんなラピスに気が付いたのか、遠夜が視線だけをラピスに向けた。
「突然すみません。遠夜さん…ですよね?軍の方の」
「………………」
ラピスは、まず自分に一番近いところにいる遠夜に声をかけてみた。参加者の名前は一応全員覚えているつもりだが、間違えていたら失礼だというラピスの心遣いみたいなものである。
「えっと…」
「そういう君は、運営委員会の子だよな?」
ずっとラピスの方に視線を向けている遠夜の代弁をするかのように、暁がラピスの問いかけに応えた。どうやら両者から警戒されているらしい。
「はい。私は広報班に所属しています、ラピスと申します。以後お見知り置きを」
そう、ラピスは二人の前でお辞儀をしてみせた。きっちり45度くらいの角度で。それでも二人からの警戒は解けないだろうが。
「それで、運営委員会の者が我々に何の用なのだ?ここは屋上であって、カジノ会場ではないだろう?」
「まぁ、そうなんですけど…たまたま屋上へ見回りに来ていたのですが、何やらお二人が…というか、主に暁さんの声が聞こえたので、何事かとお伺いしようとしただけですので…」
「そうか。それは悪いことをした、と言うべきかな。迷惑かけたようであったらすまない」
視線を再び外へ向けながら暁が言った。今の時間は午前3時。外は静かで、このホテルで行っている公式戦がなければもっとこの綺麗な夜景を見ることができたのではないだろうか。暁は久しぶりのお祭り騒ぎを体感して、頭がクラクラしそうであった。
「いえ、お気遣いなく。そういえば、暁さんは何故ここにいらっしゃるのです?確か、今回は参加しない、と伺っていたのですが?」
確か、今回まで暁の公式戦の登録はされていなかったはずだ。何でも、怪我をしたのだとか。それで数回遅れて参加するという連絡をもらっている。
「あぁ、そのことな。今回はこいつの付き添い…かな?」
そう言って遠夜の頭をポンポンと叩く暁。相変わらず遠夜の表情は変わらない…というか、今まで一言もしゃべっていない遠夜である。ほんのわずかに眉間にしわが寄ったように見えたには気のせいだろうか。
「遠夜さんの、ですか?」
「あぁ。何か問題を起こさないようにって、元帥から頼まれてさ。こいつ、目を離したら何するかわからないから」
「そう…なんですね。お疲れ様です」
遠夜の頭をポンポンと叩いていただけであったのが、そのまま髪をグシャグシャにしだした暁。こうでされても何も行動を移さないのかと見ていれば、やはりグシャグシャにされていたのが嫌になったのか、遠夜は頭に乗っていた暁の左手をはたき落していた。
「そういえば…なんですけど。先ほどまでポーカーをされていたようですが…
『……ロイヤルストレートフラッシュ』
もうここにいらっしゃるということは…もう、下には行かれないのです?まだ1時間ほど時間が残っておりますよ?」
そこでハッとしたのか、遠夜が立ち上がろうとした。が。
「……ッ、何をする」
暁に頭を押さえつけられた遠夜。そんな暁から逃れようともがくが、何故かどうにもならないらしい。…そういえば、やっと喋りだしたというか、声を出した遠夜である。そんなことに感心しながら、ラピスはそんな二人の行動をしばらく見守ることにした。
「だから、もうこれで終わりだと言っただろう?もうこれくらいにしとけってばさ」
「くっ…」
「諦めなよ。もう銀の星61個あるだろうが。このまま突っ走ると絶対に星が10個、20個…と減っていくんだからさ」
「…………」
「はいー。潔く諦めるー」
「…………」
「言うこと聞かないと元帥に報告するからな」
「…!おい、それは」
「はいー嫌なら諦めるー」
「…………」
「諦める!」
「………………はぁ」
「わかったならよろしい」
「……」
漫画っぽく表わすと、部屋の隅まで行って「の」の字を書いています。みたいな様子の遠夜が面白いというか、珍しいというか…何というか。
「(まぁ、二人の様子と獲得した星の数を聞けたから良いかな。)では…あと1時間ほど時間はありますが、遠夜さんは暁さんとここで休憩される…ということでよろしいですかね?」
「あぁ。そういうことで頼む」
「はい!では、私はこれからまだ見回りがありますので、これで失礼させていただきます。もし何かありましたら、お声かけ下さいね。私は47階の方へ行って参ります」
「……お疲れ」
遠夜と暁に別れを告げ、ラピスは47階の無人フロワへと足を進めた。最後に遠夜から「お疲れ」と言われたことに、若干驚きながら。
◆了◆
会話から遠夜の金の星の数→3個
あとがき的なモノ
5人目のキャラクター登場シーン&第二回公式戦ということで書いてみました。
短くなってしまったけど暁が出せただけでも良いかな…と。遠夜にストッパー役がいないとダメかなということで、急遽5人目として出させていただきました。暁は次回からの参加予定なので、遠夜の後ろを見はりながら付いて行っている感じです(暁はカジノ中はスキル能力の関係で一言も喋っていません。屋上ならカジノ中ではないので大丈夫かなと。つまり、暁を喋らせたかった水月です。)
ちなみに、二人は本当の兄弟ではないですが、兄弟みたいな関係のつもり。
作品ポイントにはなりませんが、時間をみて一枚絵を追加するのか、何かしら書くことにしたいと思います。クランとリュオが残っている…!
ここまで読んでいただきありがとうございました。
24.5.19 水月
暁の能力→少し先の未来が見える(使った後は、使った時間にもよるが一部の記憶が消える。それがいつの記憶になるのか、使ったあとじゃないとわからない)
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