Present | ナノ 頂きもの



  円様より頂きました。07/12/12(アスカガ・学園祭)


この話の著作権は円様にあります。
無断転載禁止です。よろしくお願いします。




「だぁ〜!! もう、面倒くさい。イザーク、これでいいか?」


とディアッカがイザークに書類を投げ渡せば、


「チェックするからその間にニコルの時間調整を手伝ってやってくれ」


と新たな面倒ごともとい仕事をあたえられた


「うへぇ〜。ちょっとこんなんで終わるわけ? もう明日には印刷所に持ってかないと間に合わないぜ」
「分かってるわ!! だから休みを返上してまで仕事してるんだろうが!! グダグダ言っとらんと仕事をしろ」
「へ〜い。んじゃ行ってきま〜す」


怒られたディアッカこれ以上怒りを買う前に生徒会室から逃げ出した


コンコン


「ニコル〜? 時間調節うまくいってる……わけないか」


ニコルが使っている空き教室を覗くとニコルが頭を抱えて書面をにらみ付けていた


「ああ、ディアッカそっちは終わったんですか?」


そう聞くニコルにディアッカはニコルの前の椅子に座った


「いんにゃ、今会長のチェック待ち。で、どこ悩んでんだ?」


四つくっつけられた机の上には何枚もの書類が散らかっていた


「ここです。三日目、最終日のところにラクス・クラインの歌が決まってるんですけど、なぜかその日は希望クラスが多いんですよ」
「なるほどね〜。でもまぁ、ラクスが歌うってだけで客入りが違うからな。それに便乗しようって奴らが多いんだろう」
「ってことは、ラクスを違う日にしても、」
「意味ないだろうし……」
「「はぁ」」


同時にため息をついた



――ガラッ


「ディアッカ、イザークがチェック出来たって……、どうしたんだ?」


ドアが開いて顔を出したカガリは二人の眉間に刻まれた皺をみて尋ねてきた


「おうカガリ。そっちは終わったのか?」
「まぁ、運動部代表なんて体育祭しか忙しくならないからな。で、どうした?」
ディアッカとニコルは先ほどまでの話をする
「なるほど。それでどこが希望してるんだ?」


腕を組みカガリが聞く


「えっと、ステージ発表の十組中七組です。能楽、筝曲、少林寺拳法、コーラス、漫才、チア、それから日舞」
「えっ、うちも入ってんのかよ。あ〜、じゃいいわ。俺から言っとくから、他の日にしといて」


聞いていたディアッカが髪を掻きあげながら携帯を取り出す


「えっ、ディアッカって帰宅部じゃないのか?」


カガリが目を見開く。ディアッカはカガリが入学して来たころから生徒会に入っていたのでずっと部活は入っていないものとだと思っていた。
くすくす、とニコルがカガリに耳打ちをする


「以外でしょう。生徒会(うち)で部活入ってるのは運動部、文化部の代表をのぞいてディアッカだけなんですよ」
「へぇ、そうなのか。意外だったな。それにしてもディアッカって何部なんだ」


そう聞いたカガリにニコルは悪戯を思いついたかのようににっこりと笑って言った


「日本舞踊部です」
「日本…舞踊!?」
「っていっても殆ど行ってないけどな。なんだその顔、狐につままれたような顔してんじゃねぇよ」


連絡を終えたディアッカが会話に参加し、そんなディアッカを目がこぼれそうなほど大きく見開いたカガリがまじまじとみた


「意外すぎる」
「そうでしょうね。僕も聞いたときは驚きましたけど、結構上手いんですよ」


笑うニコルにディアッカは腕を組んでうなだれる


「本当なら他の奴らみたいに趣味程度で良かったんだけどさ、習ってたとこにいた先輩がここの部員で無理やり入らされたんだよ」


ディアッカは眉を寄せてうなった


「他の奴?」


首を傾げたカガリにディアッカは説明する


「そっ。

いざークは民族学が昔から好きで今でも色々調べてるし、アスランとキラは知ってるだろうけどPC関連が強いだろ。

ニコルとレイは確かピアノだったよな」


尋ねられたニコルは頷いた


「えぇ、今度の文化祭一緒に発表することになってるんです」
「知らなかったなぁ。それ……」
「こんなところに居たのかディアッカ。イザークが探してたぞ」


割り込まれた声にディアッカは飛び上がる


「やばい、怒られる!! じゃ、俺行くわ。日舞は変えてくれていいから」


と言うが早いか飛び出して行った


「アスラン」


声を上げたカガリにディアッカを見送っていたアスランが振り返った


「カガリもこんなところに居たのか。探したぞ」


そう言ったアスランにニコルはいいことを思いついた


「アスラン、いいところへ来ましたね」


にっこりと笑って




「ありがとう。おかげで助かった」
「じゃあな、失礼する」


筝曲部が使う和室の扉を閉めアスランとカガリは大きく伸びをした


「さすがアスランだな。私だったらこうはいかない」
「文化系はね。体育会系ならカガリのほうが上手くいったじゃないか」


二人は先ほどニコルに他の日に変われないか交渉してきて欲しいと頼まれた
二人は一度断ったのだが、ニコル曰く、


「文科系はアスランなら話を聞いてくれるでしょうし、運動部ならカガリさんのほうが聞いてくれるでしょう。

それに、しばらく忙しくてなかなか二人きりになれなかったでしょう?」


と言われしぶしぶ頷いたのだった


「まぁ、元々私は運動部代表だからな。

やっぱりアスランのほうがすごい。

さすが学年トップ。私も鼻が高いぞ」


そういってアスランの背中を叩いて笑う
秋の季節の中に夏の風が吹き抜けた
目を瞬かせたアスランはその笑みに見とれていたが、ふと思いついたことを一言言ってみた



「惚れ直した?」



ボン、と効果音がつきそうなほどに真っ赤になったカガリがそこにはいた


「なっ何言ってんだよ!!」


おたおたしたカガリが叫ぶ
それに対してアスランはさわやかに返した


「何って、愛情確認」
「私は時と場所と場合を考えろって言ってるんだ!!」


そんなカガリにアスランはさらに言い募る


「俺のこと嫌い?」


小首を傾げるオプションつきキラやディアッカ、シンが見たら絶対にキモイといいそうなことでも恋人には関係なかったらしい真っ赤な顔のまま


「……嫌いじゃない」


と上目遣いで言うと、アスランの腕で顔を隠す


「ちゃんと惚れ直したから、もう誰かに聞かれたら」
「聞かれたら?」
「うわぁ、ってフレイ」


突然現れた第三者にカガリは飛び上がったがその第三者が友人のフレイだったので胸を撫で下ろした


「そんなに驚かなくてもいいじゃない。まったく誰が廊下で漫才してるのかと思えばあんた達だし、こんなところでいちゃつかないでくれる? 

一人身には腹が立つのよ」


フレイはカガリの鼻先にびしっと指を立てる


「いちゃついてなんか、」
「傍からみてたら十分いちゃついてます。第一カップルが一緒に居るだけでうっとうしいのよ!!」
「いや、それはかなりの偏見……」
「とにかく!! 痴話げんかだろうが、愛情確認だろうが、惚気だろうがそんなもの学校でしないでって、あのバカップルにも言っておいてよね。

それから、アスラン!! さっきの顔、キモイから」


カガリの台詞を中断させてまで言うとすっきりしたのか、フレイはくるりともと来た道を長い髪をなびかせて帰って行っ


「キモイって……」


「フレイが言ってたバカップルって……」
「十中八九、キラたちだろうな」
「ってフレイに言われたんだけどさぁ、どう思う?」


生徒会室に戻ったカガリは仕事が終わり休憩していたメンバーに先ほどの話をしてみた
皆は頭に学校一の有名カップルキラとラクスを思い浮かべたが、当人は


「そのバカップルって誰なんだろうねぇ。カガリ知ってる?」


とのんきにそんなことを聞いている


「「「「「…………」」」」」


知ってるも何もあなた達のことですよ、と思うが誰も言葉にはしない生徒会のメンバー達


「まっ、まぁ付き合ってない人にとっては一緒に居ることがうらやましいだけよ」


沈黙がつらかったのかミリアリアが助け舟をだした


「そうそう。俺たちがうらやましいんだよ。ねっミリアリア」
「俺たちって誰のことよ」
「いてっ」
助け舟ついでにミリアリアの肩に腕をまわしたディアッカが手の甲をつねられる
それを見た皆が笑う
ようやく和んだ生徒会室にカガリが思い出したかのように聞いた


「そういやミリアリアはディアッカが部活入ってるって知ってた?」


するとミリアリアはめげずにちょっかいをだすディアッカを胡乱下に見上げた


「部活ぅ? あんたそんなの入ってたの」
「入ってたの」


茶化して言うディアッカにミリアリアは小首を傾げる


「知らなかったわ。なに入ってるの」
「日舞だって」
「うそ!?」
「ほんと。しかも文化祭出ることになっちゃって、ミリィ見に来てね」


書類を抱えひらひらと手を振るディアッカにミリアリアは気が向いたらねと返した


「えっ、出るんですか?」


聞いたのはニコルで何故か驚いている


「さっき部長が来てさ、日にち変えてやるから出ろって言われちゃったのよ。しかも断る暇なく会長様がオッケー出しちゃって……」
「当たり前だ。そのおかげで時間調節も上手くいって残りの仕事がしやすくなったんだからな。

大体お前の仕事は文化祭後が忙しくなるから大丈夫だろう。元々会計も書記と同じく二人居るんだ。

それに中等部のホークもいれれば三人だ。問題はあるまい」


ふんぞり返っていうイザークにがっくりとうなだれる


「まぁ、仕方がないわね。私も報道部の展示があるし、カガリも陸上部で出店出すんでしょ。皆同じなんだからあんたも頑張んなさい」


さすがに可哀想に思ったミリアリアが声をかけていた


「じゃあ俺はこれで」
「あれ、アスラン帰るのか?」


立ち上がったアスランにカガリは声を出す


「ああ、今日は用事があって。今日やらなきゃいけないことは全部終わったしな」
「ねぇイザーク今日は終わりでいいんだよね」


尋ねたキラにイザークは頷いた


「ああ、あとは中等部のメンバーも集まらんとどうにもならん。

アーガイルに預けているものもあるし、明日だな」


その言葉にニコルが謝罪する


「すみません。シンは部活の試合、レイは病院で来れなかったんです。

ホーク姉妹と他のメンバーには中等部の書類をしてもらっているんですが、どうにも進まないんですよね」
「仕方がないよ。僕たちも中等部のころはそんなんだったからね。と言うわけで、会長のお許しが出たし僕も帰るね。

ラクスの家に寄って帰るからカガリは先に帰ってて」
「あっ、ああ分かった」


にこりと笑ったキラは荷物をもっていそいそと生徒会室を後にした


「相変わらずはやいわよね」


呟いたミリアリアの声に皆がうなずいた



「カガリ、俺も帰るけどどうする?」


きいたアスランにカガリも頷く


「私も帰る」
「じゃあ送っていくよ」
「いいのか? 用事があるんじゃ……」
「それくらいの時間はあるさ。それに送らなかったらキラに怒られる」


そういうとアスランは自分の荷物とカガリの荷物を持ってドアをあける


「「じゃあお先に」」


声をあわせて二人は笑うと部屋を出て行った



「じゃあな、カガリ」


カガリの家の前。宣言どおりに送ってきたアスランはカガリに荷物を渡す


「ああ。ありがとうな」
「じゃあ、これで」
「あ、アスラン!!」


帰りかけたアスランの制服を握りカガリは引き止めた


「どうした?」
「あっあの、その」


カガリの言葉はしどろもどろで続かない
しかも制服を掴んで下を向いているからどんな顔をしているのかさえ分からない


「あの、そう、文化祭ってその」
「カガリ?」
「文化祭、一緒に回ってくれるよな!!」


意を決したように顔を上げてカガリは叫んだ


「え?」


真剣に見上げてくるカガリの顔は真っ赤で思わずクスリと笑ってしまった


「なっ、なんで笑うんだよ」


機嫌を損ねたようにカガリは眉を寄せる
だが、その手はしっかりと制服を掴んだままだった
「当たり前。まぁ俺もカガリも生徒会の仕事もあるから、ずっとって言うわけにはいかないけど。

絶対に同じ時間に休憩は入れさせるよ。ディアッカに」


アスランの言葉にカガリは顔をほころばすが、後半の言葉に小首をかしげた



「なんでディアッカ?」
「イザークはそんなこと考えてないけど、ディアッカはミリアリアと休憩時間を合わせるから、便乗する」
「それは、またミリアリアが嫌がりそうな……」


アスランがカガリの手を制服からはずししっかりと握る


「それでも彼女もまんざらじゃないと思うけど」


そう言ったアスランの顔をみて二人はクスクスと笑いあった


「一緒に回ろう、カガリ」
「うん」
                           
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補足
二年
イザーク―会長    
ディアッカ―会計   
一年
アスラン―副会長   
キラ―会計
カガリ―体育系代表
ミリアリア―文科系代表
サイ―書記
ラクスフレイ

____________

中学三年
ニコル―会長    
二年
レイ―副会長     
シン―体育系代表
ルナマリア―会計
一年
メイリン―書記  


円さんありがとうございました。
もう余裕綽綽のアスランが素敵です!可愛いよ。



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