あなたを想うだけで傷だらけです | ナノ
パロディノベル



  憂鬱な空と綺麗な涙 04


夏休みに俺がカガリに言った。

「カガリ。もう俺に話し掛けるな・・」

から2ヶ月あまりが経った。
その言葉通りカガリと俺は最近話していなかった。

今思えば、昔の方がおかしかったのだ。
恋人でもないくせに家が向かいという理由で登下校が一緒だったり。
クラスだって違うくせに委員会が同じだったからって一緒にいたことの方が・・。
・・・今の方が自然なんだ。
なのになんでこんなに心が痛むんだろう。
なんでだろうな。
諦めようと決心したはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
恋を終わらせるのってどうやったらいいんだろう・・。
そしてその想いは自分の心に深く重く沈んでいた。
誰にも言えず。

10月半ばの休み時間の教室には人はまばらだった。
窓際の席から景色を見ていたアスランは机に影が射したのに気付き、
顔を上げる。
その場にはキラがいた。
キラは前の椅子に座るとアスランと目線を合わせた。

「最近カガリ帰り遅いんだよね〜なんでだろう?」

しばらくの間があった。

「・・・・彼氏とデートじゃないのか?」
「・・・・毎日?」
「・・・・毎日なんだろう」

そんなの知るか。
というか知りたくもない。

「・・・・・ねぇ、アスラン。
最近カガリと何かあった?」
「・・・・いや」
「そう?最近、カガリの前でアスランの話するとカガリ泣きそうな顔になるんだよね」

・・・・。

「・・お前、家で俺の話するのか?
気持ち悪い・・」
「ちっ違う!!
宿題写させてもらおうとかそんなんだからね!!」
「・・・へぇ」
「あたりまえでしょ!!」
「ハハハ・・」

アスランが薄く笑ったところで丁度チャイムが鳴った。
キラは椅子から立ち上がった。

「喧嘩したなら、言ってよ、ちょっとは協力するから」

キラは去り際そう言った。

「・・・・・ああ」

ありがとう。
けど、きっともうどうにもならないよ。
アスランは自嘲気味に笑った。


・・*・・


その夜、アスランは自室の窓から空を見ていた。
星が綺麗だな・・。
空は満天の星空だった。
そして、上を向けていた顔を正面に戻し、下に向けたときだった。
視界に何かが入ってきたのは。

「・・・っ!」

カーテンを閉めたい衝動に駆られた。
けれど、閉めなかった。
興味本位からだった。学校でのキラとの会話がそれを押さえつけた。
・・・・窓の外にはカガリとイザークがいた。
時計は11時を指していた。
本当に遅いんだな。

で、結果もデートか・・。
そうして、冷めた目で二人を眺めていた。
見なければよかったと思った。
好きな女の子が他の男とキスするところなんて。
アスランはカーテンを勢いよく閉めた。

「・・・・さいあく」

アスランは壁をつたいそのまま床にへたり込んだ。
本当に最悪だった。

それから、数日が経った。
失恋を癒すのは新しい恋とか言うよな・・。
最近のアスランはそんなことばかり考えていた。
夜が更けて、家にはアスラン一人がいた。
下の階の時計が12時を知らす音楽が流れた。それをどこか遠い心で聞いていた。
ピンポーン
チャイムが音を立てた。
こんな夜中に来る客なんて一体・・?
そう思いながらアスランは玄関に向かった。
そしてドアを開いた。

「・・・・・カガリ?」

俺は目を見開いた。

「・・こんばんは」

そこにはカガリが立っていた。

「はい。
どうぞ。
ココア」
「ありがとう」

とりあえず、俺はカガリを家に上げた。
そして、リビングに通した。
さすがに自分の部屋にカガリをしかもこんな時間に上げる勇気は無かった。
まぁ、家族がいない時点でとも思うけど。

「で、何?イザークと喧嘩でもした?」

カガリが今、着ている服は普段は着ない、お洒落な服だった。
デートとかで喧嘩して、それで怒って俺のとこに来たのだろう。
悔しい気がするがそんなところだろう。

「えっ?」

カガリは一瞬驚いた顔をした。

「違うのか?」
「えっ、えっと・・。
うん。実はそうなんだ」

カガリは慌てた様子で大きく頷いた。

「そんなことだろうと思った。
だいたいお前ら双子は毎回、毎回・・」

アスランはカガリを見下ろした。
カガリは安心したように微笑んでいた。

「カガリ?」
「あっごめん。この前、あんなこと言われたから嫌われたと思ってたから。
いつもと同じアスランだと思って、安心しちゃった」
「この前って・・」
「なんだよ。
覚えてないのか・・私、凄くショックだったんだからな。
アスランにあんなこと言われて」
「いや、覚えてるけど、そんなこと気にしてたのか?」

アスランは呆気にとられた。
もうとっくの昔に忘れてると思っていた。

「なんだよ!!そんなことって!!
こっちは真剣に・・」
「それは幼馴染として?」

一生懸命なカガリを見ながら、
つい口から本音が零れ落ちた。

「え?」
「・・・・・」

アスランはじっとカガリを見つめた。

「・・うん」
「そう」

アスランは寂しそうに笑った。
分かっていたことだけど、言われるときついな。

「で、イザークと喧嘩した理由は?」
「えっ・・?」
「それが目的で来たんだろう?」

アスランは不思議に首を傾けた。
人が一大決心して、聞きたくない相談に乗るんだ、
困っているのはこっちの方なのにカガリの方が困った顔をしている。

「・・・・・あのな!!」
「?」
「今日はそういうのじゃなくて。
アスランに『おめでとう』って言いたくて」
「・・おめでとう?」

なんで?
おめでとう?
いや、むしろご愁傷様なんじゃ・・。

「だから、アスランの誕生日だろ!!」
「あっ!」

思い出した。
最近気持ち的に病んでたからすっかり忘れていた。
カガリは仕方ないなという風にため息をついた。

「・・でな。
嫌われちゃったのかなって思って。
物で釣ろうと思って」
「は?」

目が点になった。
カガリはガサゴソと鞄を探った。

「これ誕生日プレゼント」

カガリは呆然としているアスランにそれを手渡した。
アスランは「開けていい?」と尋ねた後、カガリから了承を得て包みを解いた。
中には一枚のソフトが入っていた。

「これって、・・・もしかして『ユニットマイクロユニットソフト』か?」
「そうらしいな」

カガリは微笑んだ。

「いいのか?」
「うん。私そんなの持ってても意味ないし。
アスランが欲しがってたって聞いたから」
「ありがとう!!!嬉しい」

アスランは嬉しそうに微笑んだ。

「・・・・・物釣り作戦大成功すぎ・・///」
「ん?何か言ったか?」
「な、なんでもない!!」
「?」

カガリは嬉しそうに微笑んだ。
ずっと考えてたから。仲直りの方法。
アスランと仲直りしたいなと思いながらも切欠が見つからず。
アスランの誕生日が近いことを思い出して、欲しいものをリサーチして。
見つかったはいいけど、値段が張ってるものだったから毎晩バイトして。
大変だった・・・・けど、よかった。
アスランのキラキラした表情が見れて。
アスランの笑顔を見るとこっちまで嬉しくなる。
胸の奥が温まってくる。

この気持ちはなんなんだろう?



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