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パロディノベル



  chocolate brown color/ホスト・アスラン誕生日


chocolate brown color-athrun zara BIRTH DAY-

「あーすらん」
「・・・・」
ロッカールームで一人佇むアスランにキラは声をかけた。

「なに、怖い顔してるの?」
「・・・するに決まってるだろう?」
「ん?何」

キラは手に制服ネクタイを外した。

「・・・・何って、お前」
「いいじゃん別に。誕生日にハーレムって凄いことじゃん。
素直に喜んでおけば?」

そう、僕たちはホスト。
アスランと僕は高校の同級生で町を歩いていたらスカウトされ、
就職するのがめんどくさかった僕はそのままホストを続けている。
そして、今日の主役は先ほど4時間前ほどに誕生日を迎えたアスランで。
まわりにはアスランの誕生日を祝いに来た女性客でいっぱいだった。

「・・・・・・・カガリがいないのにか?」

カガリというのはアスランが本気で入れ込んでいる女だ。
・・就職するのがめんどくさかったという志望動機は僕だけで、
アスランはたぶん就職がめんどくさかったというわけじゃない。
このホストクラブのオーナーの娘のカガリに一目惚れしたからだと僕は踏んでいる。
だから、アスランにとってホストはカガリのそばにいられるための道具にすぎないのだと僕は思う。

「そりゃそうでしょ。
オーナーもこんな日に出入りを許してくれるわけないでしょ?」

アスラン目当ての女性客はいっぱいいて、
こんな日のアスラン争奪戦争いは凄まじいのだ。

「カガリに会いにわざわざ来たのに、今日はまだ一度も見てない」

本気で落ち込む友達にキラは少しだけ同情した。

「カガリちゃんって、最近綺麗になったよね」
「そうだな」

アスランは最近のカガリを思い浮かべた。

「スタイルもいいしさ」
「そうだな」
「化粧もしてるよね」
「そうだな」
「フレイに教えてもらったのかな」
「そうだな」
「服のセンスいいよね」
「そうだな」
「アスランの服のセンスって最悪だよね」
「そう・・だ・・・」
「あっ、ひっかからないんだ」
「うるさい。
だから、何がいいたい」
「もてるんじゃないかなと思って。
ほら、だってカガリちゃんもいつのまにか大学生じゃない?
彼氏のひとりやふたりくらいいてもおかしくないんじゃないかなと思って」
「・・・・」
「セックスとか、もう経験済みなのかな?」
「キラ、お前ほんとうに、何が言いたい?」
「お願いしたら?」
「へ?」
「カガリにセックスしないかって」
「きらぁ、お前な・・」
「いいじゃん別にあの子アスランになついてるし。
きっと嫌って言えないよ?
それに従順なんじゃない?」
「ばっ何言って///」
「別にー、アスランが嫌ならいいけどさ。
いつまでも保護者のつもりでいたらあっという間に連れ去られていくよ。
カガリがお姫様だとしたら僕らは闇に住まうもの。
そのうち白馬に乗った王子様が来るかもね。
その前に傷物にしといたら?」
「キラ?」
「婚約の話出てる知ってる?」
「は?」
「オーナーも今時時代錯誤な人だから。
早くしないと手の届かない人になっちゃうよ」
「・・・・」

考え込むアスランに僕はにっこり笑った。

「じゃあ、僕はもうあがりだから。
お疲れ様でした」
「・・」

・・*・・

トゥートゥー
傷物にするとかしないとかは置いといて、アスランはカガリに電話をした。
逢いたいからだ。
それに、婚約だなんて聞いていない。

「くそっ」

カガリは一向に電話に出る気配が無い。
今は時計の針は午前4時を指している。
寝てるよな・・やっぱり。
はぁ・・。
アスランは携帯のコール音を止めようとした。

『はい』
「カッ、カガリ!?」
『・・・そうだけど、何。
お前私に電話してきたんだろう、私以外の誰が出るんだよ』
「・・・・酔ってる?」
『酔ってない』
「酔ってるだろう。外か?今どこ」
『酔ってないのにー』

携帯越しにむくれるカガリの声が聞こえる。
それだけで顔がにやけてしまうのだから重症だ。

『アスラン』
「ん?」
『怒らない?』
「・・・時と場合によるけど、何?」
『・・・あのな、』
「うん?」
『私な、アスランに逢いたくてな』
「えっ、あうん//」
『嫌なことがあって・・、それで・・・。
今、アスランのマンションにいたりする』
「へっ!?」
『やっぱり怒ったか?』
「怒っては無いけど。俺のマンションって室内のことか?」
『うん』
「鍵は?」
『・・・・キラに借りた』
「・・・・」

それでか、あいつ。

「分かった、今すぐ帰るからじっとしてろよ」
『やっぱり、怒ってる?』
「怒ってないよ。寧ろちょっと役得だと思ってるから」

アスランはそれだけ言って、携帯の電源を切った。

・・*・・・

見慣れた部屋に入るとその先には、カガリがいた。

「じゅっぷんー、早かったな?」
「走ってきた。はぁ、はぁ・・久々に走ったー」
「おつかれー」

どうやら、カガリは相当酔っているようで要領を得ていない。
とりあえず、俺は水を所望した。
カガリは元気よく頷いて、台所に消えていった。
なんか、こういうのっていいなー。
アスランはふとそう思った。
自分のテリトリーにカガリがいる、それがたまらなく嬉しくそしていやらしく感じる。

「はい」
「うん、ありがとう」

アスランは水を受け取った。

「で、どうしたんだ?
キラに鍵まで借りて・・。
嫌なことって何?」
「いきなり核心だ。あはっは!」
「・・・あー、ごめん。俺が悪かった。
今日はもういいから。
大学何時から?
送るよ・・」
「聞いてくれないのか?」
「・・・・聞いていいのか?」

カガリは頷いた。

「お父様に結婚しろって言われた」
「そう」

キラに知らされていた分、ショックは少なくてすんだ。
これ、突然言われてたら俺きっと号泣だったな。
とアスランは苦笑した。

「・・・・そうって・・・、それだけ?」
「カガリ?」
「・・・あっ、うん。なんでもない。
うん、やっぱりいいや」

カガリはにっこりと微笑んだ。

「いいってカガリ。
そういうわけには行かないだろう?」
「いいよ、もう。
もうとっととお見合いして結婚してやる。
アスランのバカー!!」

カガリの目には涙が浮かんだ。
それを隠す為に、カガリはアスランの脇を抜けた。

「ちょっ、カガリ!?」

アスランは慌ててカガリの腕を掴んだ。

「・・離して・・」
「嫌だ」

だって、この手を離したらカガリは逃げてしまう。
そして、もう二度と取り返しのつかないことになりそうな気がするから。

「・・・・っ」
「ごめん、俺カガリの気に障ること何か言ったか?」
「だって、アスラン。
普通なんだもん」
「普通?」
「もう少し取り乱してくれたっていいじゃないか!?
・・・・アスラン、私のこと好きじゃないのか?」
「って、何で///」
「態度見て、そうかなって・・。
あっ、けどごめん、私の勘違いだったんだよな。
なんか、ひとりで期待して舞い上がってた。ごめん。今の忘れて・・」
「・・・勘違いじゃないよ////////」

アスランはぎゅっと、カガリを抱きしめた。

「あすらん?」
「俺、カガリのこと好きだから」
「////」
「だから、結婚しないで。
俺の彼女になって?」
「えっ・・・ん・・!?」

アスランはカガリの唇に自分のを重ねた。

「・・」
「んんっ!!」

アスランは「ね?」とカガリに尋ねた。

「うん」

アスランは満足そうに笑うと、もう一度唇を重ねようとした。

「ん?」

けれど、そのキスはカガリの掌により重ねられた。

「・・やっ・・だって・・」
「??」
「まだ、言ってない」
「?」
「今日、アスランの誕生日だろう?
・・・おめでとう、アスラン」
「・・・・ありがとう・・///」
「えへへ・・」
「なぁ、カガリ。誕生日のお願いしていい」
「?」
「カガリを頂戴」
「え・・////」
「カガリとセックスしたい。
ダメ?」
「だっ、ダメじゃないけど・・。
私、そんなのしたことないし」
「うん。初めてでいてくれないと困る」
「いいのか?私なんかで?」
「うん、カガリがいい」

アスランはにっこりと笑って、カガリに口付けた。


ハッピーバースディ!!
アスラン!!

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