週末のある日 「………っはぁ、も…とき、さ…」 腰の激しい動きを感じ、きれぎれに息をすう。 (なんで俺、裸でこんなことなってんだろ) 事の経緯を思い出す。どうして俺はこの人とこんな行為に及んだのか? 遡ること一時間前、突然の呼び出しをうけ榛名の家へやって来た。流石プロ野球選手、セキュリティー万全の高層マンションで、ちゃんと防音完備している。 「おー来たか、入れよ。」 「お邪魔します。」 一人で住むには広く必要最低限の物が置いてあるだけのリビングに通され、ソファーに腰掛ける。その隣にドカッと勢いよく座る榛名に呼び出した内容を問う。"腹が減って仕方がなかったんだよ。"と言う榛名に溜息を漏らす。"じゃあ、何か作るのでキッチン借りますね"と立ち上がってキッチンに向かおうとする俺の右手を掴み、縋るような表情をしていた。 「そう言う意味の腹が減ったんじゃねーよ。」 「じゃあ、なんですか?」 「知りてぇ?」 「いや…別…………!?」 腕を引っ張られその衝動で口と口がぶつかる。逃れようともがくが唇が離れた瞬間、ソファーに押し倒されさらに深い口付けが落とされる。 「んっ、んーーっ!」 口が閉ざされている間、上半身に纏っていた服は榛名によって綺麗に脱がされる。この時ばかりはボタンのシャツを着て来たことに後悔を覚えた。片手で外せる上に更なる行為を許す羽目になり、口が開放された次は上半身の膨らみを舌と指で弄び始めた。空いている手で下半身に纏っている物を膝下まで脱がされ全裸に近い半裸状態になる。そして下半身の膨らみを上下に擦られ上擦った声が漏れる。それを確認すると口をそこ迄滑らせ口に含み手と一緒にそれを上下に擦る。 未だ嘗てない刺激に混乱と羞恥が襲い、俺は目に涙を溜めて「辞めろ」と懇願する。だが、辞めてはくれず更に刺激を与えられ、我慢出来なくなった俺は奴の口の中で達した。 榛名は口の中の白い液を手に出すと、尻の中へと塗り込んでいく。さらに近くに置いてあったボトルを取り、透明のジェルのようなものを奥の敏感な部分を執拗に塗り込まれ、吐息が零れる。息使いが荒くなると再度長くて深い口付けをおとされ、完全に抵抗する力を奪われる。榛名は一旦離れて自分のモノに半透明のゴムを器用に付けて、透明のジェルを其の上から塗り俺の尻の中の入り口に先を押し当てる。 「初めてで痛いかもしんねーけど、我慢しろよ。」 そう言うと榛名のモノを中に押し込められて、俺は激痛のあまり悲鳴をあげる。 「タカヤ息吐いて力抜け、マシになっから。」 榛名の言う通りに押し込められるたび息を吐いて耐えた。確かに最初よりマシだが、其れでも痛くて目から涙が零れ落ちる。 全て入りきると浅くゆっくりと上下に動き始める。其れから次第に段々深くなっていき、俺は女みたいな声を上げて、榛名は愛おしそうに俺の名を呼んでいた。そして気づいたら腹の上に榛名のモノの白い液を腹の上で受けていた。 下半身の刺激に解放され直様ここから立ち去りたいのだが、腰が怠くて動け出せないでいた。榛名は俺の腹の上の白い液をティッシュで拭い、俺を抱きかかえて風呂場へと連れて行く。 また何かされるのかと不安になり、残っている力を振り絞って抵抗する。 「暴れんな。身体キレイに洗うだけだからよ。」 優しい声音で耳元に囁かれ大人しく身体をあずけた。 言葉通り身体を洗うだけだった。それから立てない俺を支えて身体を拭いて髪を乾かし、少し大きな榛名の服を着せられキングサイズのベットへ運ばれる。 泊まっていけと言うことなのだろうか? それとも寝てろと言うことなのだろうか? 真意はわからないが、あれだけの行為をされて疲れたのは確かだ。俺はまた襲われないことを祈りながら、瞼を閉じた。 なんだか息苦しさを感じ目を覚ますと、後ろから榛名に抱きしめられていた。抱きしめている本人は熟睡していて、それを起こさないように慎重に腹辺りの腕を解く。腰の痛みに耐えてベットから抜け出し、リビングへと向かう。そこで自分の鞄を探すが見たあらない。きっと榛名に隠されたのだろうと思い、溜息がこぼれる。鞄の中には原付の鍵等の貴重品がはいっており、帰りたくても帰れない。しかし、帰れないからと言ってまた榛名と同じベットで寝るのは気が引ける。俺は仕方なく朝までリビングのソファーで寝ることにした。 が、早朝、何故か俺はキングサイズのベットに寝ていて、後ろから榛名に抱きしめられていた。 しかも1度目覚めた時よりしっかり抱きしめられている為、榛名のモノが尻辺りにあたっている。昨日の出来事を思い出すので腕を解こうとするが、しっかりと抱きしめられて離れない。寝室の時計を見ると朝5時を指している。今日は日曜日なので大学も部活も休み。榛名もシーズンオフな為試合もない。けれど、この男は毎朝ランニングを欠かさないので起こしてやるべきだろう。ついでに鞄のありかを吐かせようと、身体を榛名と向き合うように捻らせる。 「元希さん起きてください。」 んーと声を唸らせ太陽で明るくなったばかりの外を眩しそうに目をしばしばさせている。もう一度起きてくださいと言うと抱きしめている手をさらに強め、顔を胸元にうずめる。 「いい加減起きてください。さっさと俺の荷物出してランニング行ってください。」 「……わーったよ。行きゃあいいんだろ?」 次第に抱きしめられていた腕が解かれ、榛名はノロノロと起き上がりジャージに着替える。 「俺が帰ってくる迄に飯の支度よっしく!」 「はっ?えっ、ちょっと!」 俺の鞄と言う前に榛名に出ていかれ、しまいには朝ごはんの支度迄頼まれてしまう自分の不甲斐なさに肩を落とす。 榛名が戻ってくる迄は鞄の在処がわからないので、仕方なく朝ごはんを作ることにした。ほうれん草のお浸し、味噌汁、ご飯、卵焼き、焼き魚、剥いたリンゴ。意外にも冷蔵庫の中に食材があったので驚いた。 あの人、実は自炊したりすんのかな?エプロンしてる榛名とか想像できねぇ。 そう思ったら何だか笑いが込み上げて頬が緩む。 朝ごはんをテーブルに並べて、飲み物とお箸を用意した処で榛名がランニングから帰ってきた。 「タカヤ、着替え出しといて。あとタオルも!」そう告げて風呂へ直行する。 着替えと言われても何を出したら良いのか分からない。下着と…ジャージで良いのか?それともTシャツとジーパンとか?つか、タオルどこにあんだよ!洗った物はちゃんと畳んで仕舞えよな。 寝室に山積みになっている衣服などを畳みながら、適当に選んだ着替えとタオルを持って浴室へ向かう。今度は洗濯物が洗濯機に山積みになっていた。とりあえず着替えとタオルは籠の中に入れて、山積みの洗濯物の中から練習着等、よく使う物からとり別けて洗濯機を一回まわす。残りは元々着た衣服を入れるのであろう大きな籠に入れて、一回目の洗濯が終わる迄置いておく。ちょうどその頃に風呂から上がった榛名が、「タカヤついでに干していけ。」とアホなことを言うもんだから、「そんなことは自分でやれ!」と怒鳴ってやった。 口を尖らす榛名に「朝ごはん出来てますから、さっさと着替えてください。」と告げて、先に席に着く。遅れて席についた榛名は「いただきます」と言って、朝ごはんをたいらげていく。 朝ごはんの後は榛名が洗濯物を干せ干せ煩いので、仕方なく干す。何故か俺の服を含む洗濯物の量が多い為、吊るされているピンチハンガーだけで収まらず、クローゼットから空いているハンガーを榛名に集めさせて何とか干し終えた。 もうする事はないだろうと思い、帰るために「鞄を返してください。」と頼むのだが、「どうせ休みだからいーじゃねーか。」と言って返してくれない。俺は先ほど、榛名が風呂に入ってる間に探せば良かったと後悔を覚える。 暫くしてから「タカヤどっか出かけようぜ!」と榛名が言うので、鞄を返してもらえない俺は渋々榛名の車で出かけることになった。 榛名に連れ回され、いつの間にか夕方を過ぎて夜になろうとしていた。 (ああ、折角の休日が終わる。) なんとも榛名に振り回される最低な休日だった。もう二度とこいつの家には行かないとそう決心していると、俺の住むマンションに着いていた。 「今日はあんがとな。」と嬉しそうに笑い、軽く触れる口づけをする。俺が反論する間も無く鞄を返され腹が立ったので「もう二度とあんたん家にはいかーね!」と車の扉を勢いよく閉めた。車の中で奴が何か言っていたが、そんなの無視してマンションへと入る。そして家に入って、原付をあいつのマンション内に置きっ放しということに気づいた。鞄の中に入っている鍵を持って取りに行こうと思ったが、入っているはずの鍵が何処にもない。やられた。あいつの家へ行かなければならない理由が出来てしまった。 次の休みもまた、最低な休日となるのだろうと思うと憂鬱になる週末の終わりだった。 |