00 プロローグ





ー某所
サンサンと暑い日差しが照りつける七月中旬、俺、間中 敦は自販機の前で財布と睨めっこをしていた。

「1.2.3.4.5.6.7.8.9………くそっ、あと一枚で百円ジュース帰るってーのにっ!」

全くツイてない。
学校近くの溝に百円玉を落とすわ、下校途中に犬の糞を踏むわ、歩道橋の階段で滑って転げ落ちるわ。

「はぁ…喉乾いたな。」

給料日前で金もないし。親が残した多額の借金の返済もあるし。なんて、可哀想な少年だろう。あまりの可哀想さに、誰か代わりに借金全額返済してくんねーかな。

なんて淡い夢を見る。
そんなこと現実で起こるわけない。
そう思っていた。
ある出来事が起こるまではーー





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